日笠 |
いままで本当にいろんな人をたくさん見ていて、
やっぱりすごい人っていうのは印象深いというか、
すごい人はすごいんですよ。だから例えば‥‥
糸井さんは、YMOと同じくらいすごかったの。
ていうか、YMOのとき
手相で調べたみたいなのもあって。
YMOってメンバーを選ぶまでに
1年半か2年かかってるんだけど、
まず細野さんの手相がすごくよかったんですよ。
勢いみたいなものとかいろんなもので。
で、ほかの人、なんかこれだなっていうのが、
‥‥手相だけじゃないですよ、全体の感じとか、
うまいんだけどイマイチなみたいな。
YMOっていうのはもう本当手相的にも、
あのときの幸宏さんと教授の
すーごい、同じ勢いでガーッと来るってのがあって。
正三角形にならないと、
イエローマジックオーケストラの
“マジック”が絶対生きないから、
同じぐらいの力がある人じゃないとっていうので、
この3人決まったときパーッといったし、
どこがすごいか説明せよと言われても
説明できないんだけど、
やっぱり素晴らしかったんですよ。
やっぱりずば抜けて、ものすごかったの。 |
糸井 |
とくにそのときっていうことなんですか。
また変わるんですか。 |
日笠 |
もちろん変わってきますよ。
それで、糸井さん見たときに
もうびっくらこいたっていうか。 |
糸井 |
YMOに入れてくれ!(笑) |
日笠 |
というか、もう全然、やっぱり勢いとか、
これからを作っていくとか、
本当にものすごかったんですよ。
私、すごく褒めたと思うんです、興奮して。 |
糸井 |
僕はいつもマーコには褒められてる印象で。 |
日笠 |
ものすごくいい手相。 |
糸井 |
YMOには入れてもらえないけど‥‥(笑)。 |
日笠 |
(笑)でも、当たってきてるじゃないですか。
私のちょっとでもどこかで自信になってるのは、
例えばYMO、例えば糸井さん、
もちろんもともとすごいし、
だれもがすごいとはわかってるけど、
「やっぱりね、ほらね、ほらね、やっぱりね」
って、言えることなんです。
だれも消えてってない。
やっぱりすごいものが出てた人は、
やっぱりすごかったって。 |
糸井 |
僕ね、今言われて初めて思ったことなんだけど、
弱いなりにちょっとだけ強いんだよね。
そのちょびっとの使い方が
ものすごくうまいんだと思う。 |
日笠 |
あ、そうですね。 |
糸井 |
今勝負だ! とかね。 |
日笠 |
ずっと見てて、ピッと的を定めて行く感じが
すごく上手でしたよ。
自分がどこでどう発言するかとか、
聞くとこまで聞いておいてとか、
力任せにガーッと行くタイプじゃなかったけど
それはやっぱり上手でした。
ただの計算だけで進む人じゃなくて、
やっぱり見抜いてピッと行く感じ。
だからトランプなんかでも、
ものすごく強いと思うんですよ。
強かったですよね、ゲームなんかやってても。
今だってやっぱり勘ってあるじゃないですか、
トランプでも麻雀でも。
「今来た、来た来た来た」って、
それがすごくわかる人。
で、そういうものを持ってる人の手相というのは、
YMOも糸井さんも、横尾さんなんかも、
やっぱりすごい人はすごい。いっぱいそういう人が
お客さんの中にいるけど、やっぱりそれがわかる人。
「来た」とか「今だ!」っていうのが。
そういう人の手相はやっぱり、
説明はうまくつけられないんだけど、
出てるものがエースなんですよ、トランプでいうと。 |
|
|
糸井 |
それ、何とか自分で
「こういうことなんだろうな」って
わかりたいんだけど、あえて言うと、
僕が今言ってることとか
マーコが僕に見てるものって、
本当はみんな同じなのって信じてるんですよ、
心から。つまり、
「あなたはそうだから言うけど」
ってよく言われたりするんだけど、
本当はみんな同じなのに
何かで邪魔してるんですよ。
つまり、1勝99敗でいいのに、
欲かいて5勝95敗を狙っただけで、
もう何かは変わっちゃうんですよね。
だから99敗の仕方みたいな、
あるいは6勝4敗程度でいいやとかさ、
なんかね‥‥勝とうとしすぎるんだと思うんだよね。 |
日笠 |
みんなね。 |
糸井 |
そこでズリズリと計算が入ったり、
保障がほしくなったりして‥‥ |
日笠 |
自立してないんですよ。
自立してないからブランド品にこだわったり、
大きな組織や、有名な学校に属したくなる。
親の言いつけどおりの生き方していったりするし、
自立ができてる人が少ないんですよね。
糸井さんは最初から
「糸井重里」という職業で生きてきた。
けど、自立できてない人が多すぎるの。
みんな同じなんだろうけど、
どこかやっぱり怖がって。
それで、妙に謙虚で、出る杭は打たれるって
洗脳を受けていて。 |
糸井 |
うん‥‥あの時期は生意気だったよね。 |
日笠 |
でも、その生意気さがないと
できない時代もあるわけですよね。 |
糸井 |
思えばねえ。
知らなかったからなんだろうなと思うね。 |
日笠 |
そう。もう私、
人間じゃなかったような気がした、あの当時。 |
糸井 |
あなたすら? |
日笠 |
あ、もう、最低、今思うと。
もう本当にイヤになっちゃうって感じでしたよ。
もうこっ恥ずかしい。
ちょっとは、少しはましになったような気がしますよ。
本当にダメダメ野郎だった。 |
糸井 |
「世の中甘くないってよく人は言うけど、
それは舐めてみなきゃわからないじゃないか」
って言ってたんだよ。
「だから舐めてんだよ」って。
平気な顔して言ってましたよ。
「甘かったよ」って。 |
日笠 |
(笑)生意気ですねえ。
糸井さんは、ロックですよ。
一番最初会ったときも、
矢沢さんの歌うたってた。 |
糸井 |
プッ(笑)。 |
日笠 |
糸井さんは、生き方は本当にロックですよ。 |
糸井 |
みうらじゅんと同じこと言ってますね。 |
日笠 |
私が? あ、そう。ちょっと違う意味での、
かもしれないけど(笑)。 |
糸井 |
同じだと思いたくないでしょ? |
日笠 |
いやいや、いやいや、そんな失礼な。
‥‥でも、ロックスターですよ。 |
糸井 |
みなしご発想でしょ、つまりロックって。 |
日笠 |
うん、そうかもしれないですね。 |
糸井 |
「ママ、ママ」って
歌っちゃいけない分野ですよね、多分。
天から降ってきたような
顔しないといけないんですね。
地から湧いて出たでもどっちでもいいんだけど。 |
日笠 |
うん‥‥でも、それ、
ママ、ママっていうふうに
清志郎さんは歌えてるし、
糸井さんもそうですよね。
だから、ママ、ママって歌える
そういう作品が作れる
ロックアーティストなんじゃないかな。 |
糸井 |
ああ、なんかマネジャーみたいに
なってきたね、だんだん。 |
日笠 |
いや、私、マネジャー癖が取れないんですよ。
プロモーター癖と、ね(笑)。 |
糸井 |
ときどき、なんかマジな顔して
そんな話してるよね、今。 |
日笠 |
たぶん癖なんじゃなくて
身についちゃってるものだから。 |
糸井 |
そうだね。それはでも、よかったよ。
生きてるよね。 |
日笠 |
ああ、それは。
馬力が少ない分、世渡り上手になってるだろうし、
コバンザメってさっき言っちゃったけど、
素晴らしいものを素晴らしいって伝えたい、
っていうのがあるわけです。
なんかこう、どうして日本人って、
素晴らしいもの、面白いものがあっても、
例えばロックコンサートのあとでも
お芝居見たあとでも、素晴らしいんだから
「素晴らしかった!」って言えばいいのに、
それが言える人が少ない。
知っている人の舞台でも
楽屋で本人に言えなかったり‥‥。
みんなとってもシャイで。 |
糸井 |
「あれはどうかな?」みたいな言い方したり? |
日笠 |
「面白かった! 素晴らしかった!
ここはこうだったね!」って言えばいいのに、
演っている人は、それが知りたいのに
言ってあげる人は少ない。
何事もなかったようにとか変に照れてたりとか。
私は素晴らしいものを見たら、
「素晴らしいー!」って言いたい人間だから。
手相でもそうですよ。
いろんな人、必ずいい部分はあるわけでしょ、
どんな人でも。
そうすると‥‥そう、褒め業。
だから、まず素晴らしいとこを発見すると、
手相でも何でも「すごい!」って。
さっきから糸井さんも、
私に言ってくださるでしょう。
私、ふだん、あまり人に言われないから、
「それはすごいね」って褒めてもらうと、
「私のこんなところがすごいんだ!!」
なんて思ったりできるんです。
私のお客さまもそう思ってくださるんですよね。
だから、褒めさせていただくというのも、
例えばひとつの仕事なのかもしれないですね。 |
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(つづきます。) |
2007-04-16-MON |