ギリシャにもやっと春がやってきました。 春のギリシャと言えば、一大イベントである イースターを無くしては語れないところですが、 それはまた別の機会においておき、今回はその前の、 冬から春への移り変わりについて書きたいと思います。 日本でいうところの桜のように、ギリシャにも自然の中に、 春の訪れを知らせてくれるユニークなものがあります。 まずは2月中旬、桜によく似たアーモンドの花が咲き始めます。 残念ながらアーモンドの木はまとまって植えられていたりはせず、 まだちょっと肌寒い時期でもあるので、 花見をすることはないのですが、 この花を見ると「そろそろ冬が終わるんだな」と感じ始めます。 またギリシャにいる日本人は、100%桜に想いを馳せます。 そして2月の終わりから3月にかけて、それは苦難の月。 なぜなら道路や舗道の至る所で毛虫の行列を目にするからです。 ギリシャでは街路樹として松の木がよく植えてあるのですが、 この毛虫は松の木に巣を作り、 この時期になると行列を作りながら降りてくる、 その名も「マツノギョウレツケムシ」。 調べたところ、後に土の中に潜ってサナギとなり 最終的には「マツノギョウレツケムシガ」という 蛾になるらしいです。すごいネーミングセンスです。 踏まないように歩くのにもヒヤヒヤし、 行列を見る度におぞましい気持ちになるのですが、 一番恐ろしいのはそれが団子状にかたまった時で、 私もソフトボール大の毛虫団子を見た時には、 しばらく鳥肌が止まりませんでした。 とんでもない風物詩ですが、 この毛虫がいなくなるといよいよ暖かくなってきて、 春の訪れを実感するというわけです。 そして今は菜の花やたんぽぽ、ばら、 コデマリやマーガレットといった 日本でもおなじみの花が咲き乱れ、 つばめもよく見かけます。 つばめが飛んでいる今回の絵は、 8年前のこの季節に訪れた リヴァディアという場所を描いたものです。 透き通った小川の流れる、 清々しいこじんまりとした街です。 時期がずれていただけかもしれませんが、 私が行った時には毛虫は見られませんでしたので、 この絵に毛虫の面影はありません。どうぞご安心を。 升ノ内朝子
2017-04-21