今回の絵は、主人と一緒にアテネで 友達へのプレゼントを選んでいた時のものです。 私達が入ったのは、 アテネのオモニアというエリアにある 「モスホナス帽子店」。 今となっては数少ない帽子専門店でした。 世界中で言えることだと思いますが、 ギリシャでも大型のショッピングモールや、 海外から入ってくる格安ファッションブランドにおされて、 昔から地元にあるお店はだんだん少なくなってきています。 実際私が普段よく利用するのも、 残念ながらそういう大きなお店が多いです。 というのも、昔ながらのお店は 何かと不便なことが多いからなのですが、 中でも一番の理由は 「お店の人の買え買えオーラがすごい」からです。 私としてはふらっと入って お店の中のものをさらっと見たいだけなのですが、 店に入ったが最後、 「入ってきた客、手ぶらでは帰すまじ」 とでもいうような お店の人のテンションをバシバシと感じ、 隣にビタッとマークされます。 そして必ず「(具体的に)何が欲しいの?」と聞かれます。 そういう個人商店では 「何か特に欲しいものがあるわけではないけれど、 ちょっと見てみたいからお店に入る」 という感覚は全く理解されないようです。 また意味なく商品を触られるのも嫌なようで、 特にたたんである洋服は決して広げてはなりません。 なぜなら見本として全種類ハンガーにかけてあるので、 デザインを見たければそれを見よ、ということなのです。 ギリシャに来たばかりの頃は、 そういったお店にうっかり入って出るに出られず、 たいして欲しくもないものを買ってしまうということが ちょくちょくありました。 というわけで個人商店に入る時には、 できるだけ「ここで絶対買う!」と 腹を決めて入ることをお勧めします。 このモスホナス帽子店は主人が昔から知っていたお店で、 またクラシックな帽子が好きな友達への 贈り物を考えて入ったので、 お互い気持ちよく買い物する事ができました。 オモニアのエリアにはこういった昔ながらのお店が まだ比較的多く残っています。 散々文句を言ったものの、 私は概念としてはこういった個人商店が好きで、 特にその趣のある佇まいや、時代を感じさせる看板は、 いつまでもそのままあり続けてほしいと思っています。 実際の使い勝手を考えると、 なかなか貢献できないのが歯がゆいところですが‥‥。 でもお店がなくなってしまう前に、 勇気と捨て金を持って、もっと散策してみたいと思います。 升ノ内朝子
2017-07-08