hobonichi

Greetings from Greece ギリシャからのおたより。Greetings from Greece ギリシャからのおたより。

「眠らない夜」

もう随分と経ってしまいましたが、
4月8日はギリシャで一番の
お祭りであるイースター(復活祭)、
ギリシャ語で言うところの「パスハ」でした。
学校はパスハの前後2週間はお休み、
仕事も1週間ほどお休みが取れます。

一般的にパスハは家族で田舎に行ったりして過ごしますが、
我が家はよくこの休暇に旅行に行きます。
今年はギリシャ北東の島、ヒオス島へ行ってきました。

ヒオス島のパスハのお祭りは、
ロケット花火のど派手な打ち合いで有名です。
そもそもは二つの教会の権力争いから、
お互いの鐘楼をめがけて
石を投げあっていたのが始まりだとか。
それがエスカレートして
一時は大砲を撃ち合っていたそうですが、
当時の政府に禁じられ、
代わりに何万本もの手作りロケット花火を
打ち合うようになりました。
かくいう私も日本のテレビで紹介されていたのを見て、
ヒオス島の存在を知りました。

ところが‥‥この花火の打ち合い、
周辺の家々の損傷が激しく(そりゃそうだ)、
不満も多いことから近年は
花火の本数が大幅に減らされたとのこと。
それでも幾ばくかの期待をしつつ、
私達は島で用意されている無料シャトルバスで
花火観覧スポットへと向かったのですが‥‥

安全面を考えると仕方のないことではあるのですが、
そもそもこの観覧スポットが花火からはだいぶ離れていて、
まばらに打ち上げられる花火は
まるで流れ星かのような小ささ。
そしてちょっと連続して飛んだと思っても、
長くは続きませんでした。

事前情報では花火の打ち合いは2時間ほど続き、
パスハを迎える夜中の12時がピークだそうで、
それまではなんとか居続けようと思っていたのですが、
1時間ほど経ったあたりで娘が尿意を訴え、
花火も相変わらずしょっぱい感じだったので、
ピークを前に混み合う人の波に逆流しながら、
私達はしぶしぶホテルへと戻ったのでした。

テレビで見たときは、花火を打つ人々のドラマがあり、
火の粉を散らしながら飛び交う花火は
大きく映し出されてすごい迫力だったのですが、
実際に行って見ると、
案外それを実感することができなくて、
ちょっと残念でした。

せめてもの救いは、
ホテルにパスハの食事サービスがあったこと。
パスハの日はツレキと呼ばれる甘いパンや、
子羊の腸やハーブから作るマギリッツァスープが出ます。
また赤く染めたイースターエッグを使って、
運試しのゲームをしたりします。

本来ならば夜中の12時を過ぎてから食べるものですが、
私達はその前に食事を済ませ、花火の音を遠くに聞きながら
早々に眠りについたのでした。

という訳でピーク時の花火がどういうものだったのか、
結局わかりませんでしたが、
翌日色々な人から「大したことなかった」とか、
「かつてはもっとすごかった」という話を聞きました。
観光客にはちょっと残念でしたが、
毎年パスハ前にその年の花火のあり方についての
話し合いが行われているそうなので、
またいつか、かつての凄まじい花火の打ち合いが
見られることもあるかもしれません。
升ノ内朝子

2018-05-29

乗組員フジタのひとことギリシャメモ

ヒオス島のロケット花火を打ち合うお祭りは、
日本でも何度かテレビ番組や
ネットニュースで取り上げられたので、
ご存知の方もいるかもしれません。
「ヒオス ロケット花火」で画像検索すると
かなり迫力があるシーンが出てきますよ。
ロケット花火が打ち込まれているあいだも、
互いの教会では平然と
厳粛な儀式が行われているのが、
このお祭りの一番すごいポイントだと
個人的には思っています。