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去年の4月、
イースターホリデーを利用して
ギリシャのロドス島へ行ってきました。
ロドス島はエーゲ海南東部に位置する、
アーモンドの形をした大きな島です。
日本でいうと福島県より少し大きいくらい、
というと想像しやすいでしょうか。
ヨーロッパ、中東、アフリカを結んでいる
重要な場所であるために、
時代によって様々な国に統治されてきました。
今も残るその時々の異なる様式の建造物に
歴史の片鱗を見ることができますが、
中でも有名なのは、聖ヨハネ騎士団が残した
中世の城塞都市で、世界遺産ともなっています。
この地で聖ヨハネ騎士団がオスマン帝国と
死闘を繰り広げていたのは約500年前。
今では城壁の石の隙間からケシの花が顔を出し、
あちこち転がっている石の砲丸の傍には
カモミールが咲きこぼれ、蝶が舞い、
しまいには猫が佇んでいたりするものだから、
あまりののどかさに初めは本物の砲丸だと
気づけなかったくらいです。
実際散歩の一休みとして腰かけている人もいたりして。
草陰に時々トカゲを見つけることもありました。
騎士団といえば、以前マルタ島に行った時もあったな、
と思い調べてみたら同じ騎士団でした。
この地でオスマン帝国に敗れた聖ヨハネ騎士団
(当時はロドス騎士団と呼ばれていた)は
その後マルタ島へと移ってマルタ騎士団となり、
今度はナポレオンに侵攻されて再び撤退しますが、
その後も本部をローマに置き、
団体という枠を超えて「領土なき国家」として
今も残存しているというから驚きです。
ロドス島はまた、世界の七不思議の一つと言われる
「ロドス島の巨像」が古代に存在したことでも
知られています。その想像図としてよく見るのは、
手に器を持った太陽神ヘリオスの巨像が港の入り口を
仁王立ちの姿勢で立ち、その股下を船が通っているもの。
しかも伝説では、器には煮えた油や鉛が満たされていて、
不法に侵入してくる船があれば
内部のからくりで容器が傾き船に注ぎ落とすとか……。
それが事実であれば、なんともおもしろく
ロマンのある話ですが、現在の研究ではその姿勢では
記述として残されている全長(33m)よりも
大きくなりすぎ、耐久性も弱くなるため
当時の技術では不可能と考えられているようです。
今はその巨像の足があったと考えられていた場所に、
島に生息し、またシンボルともなっている雌雄一対の
鹿の像があり、ロドス島のランドマークとなっています。
他にもオスマン時代のモスクや
イタリア時代のゴシック建築が隣り合ったりしていて、
雑多でありながら妙に融合しているのが
島の不思議な魅力となっています。
巨像の再建計画も長く議論されているようなので、
次の500年後にはまた違った様相を
見せているかもしれません。
升ノ内朝子
2023-05-31