みなさんこんにちは、
気仙沼在住のほぼ日乗組員、サユミです。
目黒での催しに来られない方のためにも、
「焼きさんま」と「さんまのすり身汁」のつくりかたを
地元の方々にうかがってきました。
新鮮なさんまを探して、ぜひぜひ挑戦してくださいねー。

   



新鮮なさんまを手に入れたなら、
せっかくですからおいしく焼きたいですよね。

ふつうのご家庭で美味しいさんまを焼く方法を、
気仙沼の人たちにうかがってきました!

「魚焼き網」をつかって、ガスコンロで焼く方法

焼く前に、さんまに塩をふります。
塩はフライパンなどで煎って、
湿気をとばしておきましょう。
ぜんたいに塩をふり、
しっぽやひれには塩を少し多めに、
直接手で触ってつけてもいいです。
塩をふったら10数分置いておきます。

ガスコンロにのせる「魚焼き網」は、
スーパーなどに売っているもので十分。
まず、焼き網を熱します。
網が十分に熱された状態だと、
はじめから強火で焼くことができるため、
魚の美味しさが逃げません。

※ご家庭のガスコンロについている魚焼きグリルで焼くときも、
 予熱でグリル内を十分に熱くしてから、焼くとよいそうです。

 

おもてうらのどちらを先に焼くかは、とても重要。
皿に置いたとき、頭が左・お腹が前の状態で、
上になる側が、さんまのおもて。

そのおもて側を先に、熱した網へのせます。
おもてを先に焼くことで、
きれいな焼き目が上にくるのです。たいせつ!

しっかりと焦げ目がつくまで焼きます。
何度もひっくり返しません。
おもてとうら、一度ずつ焼きます。
片面が焼けたら、
「背を軸にして」ひっくり返します。
背を軸にして回すのは、
お腹側を軸にして回すと、
はらわた部分がつぶれてしまうから。
お腹がわを持ち上げて‥‥
背中を軸に‥‥

コロンと裏返します。

 ちなみに、「目黒のさんま祭」で炭火で焼くときは、
 『おもて面を7割焼いたあと、
 背を軸にひっくり返し、裏面を3割焼いて仕上げる』
 を合言葉にしているそうです。
 ガスコンロでも、これは同じ。
 おもて7割、うら3割のイメージで焼きましょう。

焼き上がったら、大根おろしをそえて盛りつけます。
すだち、かぼすもお好みで。

いただきまーーす。

ここまでの写真は、
実際に「ほぼ日」キッチンで焼いたものです。
教わった通りに焼いたら、ちゃんと上手に焼けました。

でも‥‥ご注意をひとつ。
かなりの、煙が出ます。
もうもうになります。
着ていた洋服は、さんまの匂いになりました。
ご家庭で焼く場合は、
大量の煙が出ることを覚悟して挑戦してくださいね。
煙はたいへんですが、たいへんな分だけ美味しいです!





ご家庭で焼いてもおいしいですが、
プロの焼き魚は、やっぱりすごいんですよー。
ご紹介しましょう。
気仙沼の名店「福よし」さんにお邪魔してきました!

「日本一の焼き魚」との呼び声高い
気仙沼の名店「福よし」さん。
震災で店舗を被災されましたが、
今年の8月7日に再オープンをしたばかりのお店です。

「おれは勝手にやるから、勝手に撮って」と言いながら、
親方の手元はすばやく動いていきます。


名店の焼き方も!

竹串は、親方が自作したものだそうです。
さかなを手にもったときの重み、大きさで、
ちょうどよい太さの串を選び、
エラから尾びれに筋のように続いている、
魚の側線のすこし下を目安に、ぐいっと一刺し。
「さかなと串の相性が悪かったら、
 焼いている途中で魚が落ちてきてしまう。
 しかも、一回刺したのを抜いて、もう一回刺すと、
 穴がゆるくなってこれも魚が落ちる。
 刺すのは一回。
 ぴったりの位置にできないとだめなんだ」

さんまに串が刺し終わったら、塩をふります。
しっぽには、指ではさむようにして塩をつけます。
コツを聞くと、
「塩をふるのは簡単」
としか言ってくれない親方。
ただ、この塩は、煎ってから使うそうです。
「塩を煎ると、湿気が抜けるのもあるけど、
 俺はカドがとれる気がする」
とのこと。
またこの塩は、
数種類の塩をブレンドして用意されているそう。

 

さんまは、いろりのまわりで焼かれます。
さかなの脂は、炭のまわりの脂受けに落ちて、
水たまりのようにたまっています。
炭には一切脂が落ちることがないので、
魚がいぶされることがなく、においがつきません。
火の加減と焼き加減を見ながら、焼く位置を変え、
おもて、うらを焼いていきます。

焼くとき大切にしていることを聞いたところ、
「こうやって焼けるのを見てるの、飽きないだろ?
 焼ける時間も楽しんで、ってことかな」
と親方。

「それに、どういうものを食べるのか、
 調理をみてれば安全だろ?
 食事でいちばん大事なのは、
 美味しいことよりも安全なことだよ」
そう語る親方。

調理はいわゆる「さらし」のスタイル。
これって、「目黒のさんま祭」もそうだよなぁと
すこし思いました。
「目黒のさんま祭」では、
ゴーグルをつけた焼き職人が目の前で焼き、
訪れたお客さんはそれを見ながら会話の花を咲かせます。

焼き上がってきました。
ジャーーーン。
これが「福よし」さんの、焼きさんまです!
ご、ごめんなさい‥‥わたし、食べました!

身はふっくらしています。
脂臭さはまったくありません。
さんまのはらわたは、
苦みがないわけではないのですが、
クリーミーなパテを食べているような感じです。
皮も、小骨も、しっぽも、美味しい‥‥。
あっというまに、いままでの人生でいちばんきれいに
さんまを食べ終えることができました。

おいしいおいしい焼きさんま、を
ぜひ皆さんにも食べていただきたい‥‥。
旬の時期、こちらにお越しの際はぜひ「福よし」さんに!

「福よし」住所/気仙沼市魚町2丁目5−7
※「福よし」での写真協力/初沢亜利さん