岸 |
今日、清順さんが教えてくださった
キーワードのひとつは、まず
若者はお金がないということです。
でも、やる気がある若者はいっぱいいる。
細川さんのビジョンで、
モデルケースをいっぱい作れば
「日本列島暮らし直し」という
おもしろいことがはじまる予感がします。
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細川 |
そうできたら楽しいですね。
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糸井 |
緑の話って、見えやすいだけに、
掘らないで進んでしまう、ということが
あり得ますから、
そこは注意したいところですね。
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岸 |
善意で集まってくる人の希望も、
とても大きく、厚いんです。
それがいい形になるといいと思います。
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糸井 |
でも、今日お話していて、
土の下の「根っこ」のほうが
深いんじゃないかな、という気がしました。
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細川 |
まさにそうですね。
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糸井 |
「長城」といわれるよりは、
ブロックごとに、
そこに住む人たちの幸せ感のようなものが
表現されているといいんでしょうね。
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細川 |
いま「森の長城プロジェクト」という
名前にしていますけれども、ほんとうは、
「長城」というイメージは
あんまり合ってないですね。
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糸井 |
はい(笑)。
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細川 |
わかりやすくするためにこうしていますが、
実際にはやっぱり、そんなになりっこない。
むしろ、前にも言ったように、
デコボコになったほうがいいんです。
さっきの岸先生のお話のように、
山から水が流れてきても海に出ていきやすいし、
海から来た水も、デコボコになっているほうが
ブロックしやすい。
まあ、どうせ
現実的にはデコボコにしかならない。
それでちょうどいいんですよ。
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清順 |
はははは。
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糸井 |
これ、読んでる人は
「おもしろい」と思ってくれるかもしれないけど
手伝おうと思ったら、いまのところ
植栽の苗を買うことしかできないですね。
それではちょっとつまらないように思うんですが、
何かほかにないかなぁ。
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細川 |
植栽に参加していただくというのもありますよ。
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岸 |
やっぱりモデル地域ですよ。
おもしろい若者を集めて、
モデル地域を作りましょう。
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糸井 |
うん、モデル地域ですね。
場所をある程度確定してやっていく。
清順くん、もしそういうお話があれば、
やってくれる?
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清順 |
もちろん。場所があれば。
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糸井 |
ぼくらは、
このプロジェクトから
枝として発生したか、
根っことして潜るか、
それはわからないけど、
「こういうのじゃないの?」
というのをやってみたい。
そういうことで、また声をかけあいましょう。
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細川 |
はい。ぜひよろしくお願いします。
とにかく1kmなら1km、
500mなら500mでもいいですけど、
そういうモデル的な場所が決まると、
わかりやすいから
非常に仕事がやりやすくなります。
それが見えないと、いちいちはじめから
説明しなくてはならない。
声をかけるのも難しい。
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清順 |
そうなんですよね。
ぼくも人前で講演させていただくことが
ちょっとあるんですけれども、そのときに
気をつけなあかんと
思っていることがあります。
それは「森を大切にしましょう」と言いすぎない、
ということです。
若者の耳が聞き慣れすぎている言葉だから
「ああ、そっち系か」とすぐ思ってしまう。
そうじゃなくて、
「こんな楽しいことあるよ」
「糸井重里さんに会えるよ」
とか、変な話なんですけどもね(笑)、
そういうことを伝えあうほうがいいです。
もちろんみんな、森林を大切に思ってて
大好きで、学んでいたりするんだけれども、
そういう難しい話じゃなくていい。
そういうことを考えてない人たちも、
実際に足を運んだらたのしくて、
何かに気づいたり、お金を落としたり、
気持ちを交流させて帰ったりする。
そういう仕掛けができたら
すばらしいのではないでしょうか。
それは復興という意味で発展すると思うんです。
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糸井 |
こんもりした緑地が
人を巻き込んでいく、
そこからも発信できる。
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岸 |
そこをすごく個性的に、やってみる。
おもしろいと思います。
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清順 |
現代版の、ほんまに、1000年の森。
鎮守の森ですね。
それは、人が足運ぶ理由になります。
足運ぶ理由って、ほんとに
ひとつでも多いほうがいいと思います。
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細川 |
うん。いい感じだと思います。
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糸井 |
国がインフラとして
開発するという場所は、すでにあります。
しかしぼくらはぼくらなりに、できることを、
ちいさなポイントで手伝っていくと決めたら
あかるくやれる気がします。
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清順 |
いや、なんか、そんなん、すごくいいな。
ほんとに糸井さんらしいと思う。
ぜひやっていただきたいです(笑)。
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細川 |
そうですね。
糸井さんが動かれると、たくさんの人が動きます。
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清順 |
やっぱりそれはね、逆に言ったら、
乗らない手はないと思うんですよ。
いやいや、ぼくはべつに何か、
思惑があるわけじゃなくって、
ほんとにこれは、そうです。
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糸井 |
いわば、点の発想。
モデルが点々にできていって、
それに憧れる視線が次の行動を起こす。
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細川 |
そうなるといいですね。
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糸井 |
つながらなくてもいいから、
星座をつなげるみたいに。
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清順 |
そう。心がつながったらべつに
物理的にベルトになってなくてもいいと思う。
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糸井 |
ぼくら、若いときに
「エレキ合戦」ってありましたね。
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岸 |
はい、はい。
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糸井 |
ぼくにはあのイメージがいつもあります。
みんなばかで、
音楽の授業も出てないのに、
エレキギターを買ってやりはじめました。
あれがいまの音楽を決めたんだと思います。
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岸 |
文化祭なんか「エレキ出たがり」で
いっぱいでした。
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糸井 |
文化祭がエレキ合戦だった(笑)。
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岸 |
みんなベンチャーズですよね。
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糸井 |
そうそう、みんなベンチャーズ。
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細川 |
私はもう卒業してた頃ですね。
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清順 |
ぼくはわからない時代だなぁ(笑)。
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岸 |
テカ、テカ、テカ、テカ♪
チャカチャカチャカチャ‥‥‥‥‥‥♪
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糸井 |
つまり、
「楽譜が読めないけど音楽は楽しめる」
という人たちが増えた。
それが何になったかといえば、
「聴き手」になったんです。
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清順 |
なるほど。
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糸井 |
たぶん、そのイメージです。
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岸 |
なんだか、世の中、そういう方向に
動いていると思います。
センスのいい企業がそっちを追ってる。
そういう動きをぼくがちょっと
大きく信頼しているだけのことかも
しれないけど‥‥。
何が気持ちよくて、何がためになるか。
それが基本の基本であって
これまでの時代にカッコつけてやっていたこととは
なにか全然違う展開という感じがする。
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糸井 |
そう。
「目標を何%にして、達成しなくてはいけない」
というのではないんだよなぁ。
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清順 |
そうですね。
ぼくはデパートの仕事をさせていただいたり
しているんですけれども、
進んだ考えのデパートは、
一坪でどれだけの売上があるか、という
考えではもはやありません。
売上の大事なそのひと坪に、
それこそぼくに頼んで木を植えたりしています。
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岸 |
気分が、そうなってきたんだよね。
無理してカッコつけてるんじゃなくて、
ほんとに気持ちのいいことというのは、
そうじゃないって、わかってきたんだ。
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清順 |
そうですね。むしろ、効率がいいと
思ったんでしょう。
たぶん、判断しているんです。
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糸井 |
昔の人が宗教に払っていたコストを
そういうところに
持っていっているのかもしれませんね。
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岸 |
そうですね。
お葬式なんか、最近はほんとうに
簡略化していますから、
そんなお金が、別の気持ちのいい
おもしろい分野に
あっけらかんと流れはじめていい。
従来の常識とはバランスが
取れなくなってきているのかもしれない。
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糸井 |
お祭りとか、お寺さんに
昔はお金も気持ちも使っていましたからね。
それは緑化とか、ピタッとくると思う。
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清順 |
そうなってきています。
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糸井 |
ぼくも、なんでこんなことするのか
わかんないんだけど、
おもしろいと思うんだよ。
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清順 |
すばらしいと思います。
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糸井 |
お二方とも、お声をおかけすれば
お会いできますか?
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岸 |
もちろんです。
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清順 |
はい。
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糸井 |
細川さんも?
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細川 |
いつでも。
ありがとうございました。
ほんとうに。
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糸井 |
ありがとうございました。
これから、よろしくお願いします。 |
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(この4人の座談会は、ひとまずこれで終わります。
いつか、この次の動きがあることでしょう。
たのしみにしていてください) |