糸井 |
今日はお集まりいただき、ありがとうございます。
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細川 |
ありがとうございます。
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糸井 |
みなさんをかんたんにご紹介させていただきます。
こちらは、慶応大学の先生で、
NPO法人鶴見川流域ネットワーキングや
三浦半島小網代の流域の
自然保全をなさっている岸さんです。
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岸 |
よろしくお願いします。
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糸井 |
こちらは植物卸問屋さんの5代目で、
プラントハンターの清順くんです。
世界中、飛び回って、
いろんな「緑のもの」を日本に持ってきています。
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清順 |
よろしくお願いします。
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糸井 |
で、こちらは‥‥陶芸家の‥‥。
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細川 |
細川です。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
今日は陶芸家の立場ではなくて、
「森の長城プロジェクト」を
立ち上げられたということで
おいでくださいました。
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細川 |
はい、よろしくお願いします。
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糸井 |
細川さんからこの
「森の長城プロジェクト」の
お話を聞いたとき、ぼくはまず、
とてもおもしろいなぁと思ったんです。
けれども簡単に
「はい、そうですか」「なるほど」と
のみこんじゃうと、広がりがありません。
ある程度、自分たちの足で歩いて、
自分たちなりの考えに
たどりつきたいなと思いました。
「とにかくその話を、ぜんぜん違うタイプの人と
一緒にしてみませんか?」
と、細川さんに申し上げて
みなさんにこうして集まっていただきました。
そのときすぐに思いついたおふたりが、
ここに来てくださって。
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岸 |
はい(笑)。
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清順 |
何ができるか、わかりませんが。
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糸井 |
東日本の海岸の堤防を
こうすればいいんじゃないか、
という話だけにとどまらず、
緑全般に広がる、たのしく大きな話に
していきたいなと思っています。
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細川 |
どうぞよろしく。
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糸井 |
ではぼくから、まず
ちょっとしたきっかけとなればいいな、という
話をさせていただきますね。
これはこれまで何度となく
原稿に書いてることなんですけど──
飛行機の窓から日本を見ると、緑色なんです。
飛行機が着陸する前には、
どこの国でも、その大地が見えます。
茶色とか白っぽいとか、いろんな色をしています。
日本だけは、どこを通っていても、たいてい緑色。
植物が茂っているということは、
水がいいということでもありますし、
生きものが育ちやすい、住みやすい、
ということでもあると思います。
この緑色の国にいるということの喜びを
ぼくらはもっとわかっていたいな、という
気持ちがあります。
しかし、逆にいえば、
だから住みにくかったんだよ、
ということもあるかもしれません。
緑や水、人が、ひとつになって育っていく
未来への見通しの中で、
細川さんたちが関わっている計画も、
広がりをもっていくといいな、と思います。
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細川 |
飛行機から見た緑は、
日本が特別多いイメージですか。
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糸井 |
ええ、ぼく個人的にはそういう印象です。
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細川 |
古事記でも、
「やまとは国のまほろば たたなづく 青垣」
と謳われているように
やはり、緑が
日本のイメージなのでしょう。
「ひと言で、日本は何か?」と言われたら、
私も、緑だと思います。
熊本の知事をしているころから
そういうイメージがありました。
熊本では、ひとつの集落にひとつ、森を作ったり
空港に「空港の森」を作ったりしたのですが、
そのときに、今回の
森の防波堤作りの提案者である、宮脇昭さん
(みやわき・あきら 横浜国立大学名誉教授)
と、ご縁ができました。
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清順 |
この計画は、
瓦礫を埋め込んだ丘を作って
津波を防ぐ堤防にし、
そこに植樹をしていく、というものなんですね。
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細川 |
そうなんです。
被災地の太平洋側に、
土地本来の森を構成していた
シイ、タブ、カシなどの照葉樹を植えて
防潮堤にしようという計画です。
東日本を復興するためには、
まず瓦礫を片づけないと、進みません。
瓦礫を活かして、そのマウンドのうえに
その土地本来の植生の木を植えていくのが
いちばん現実的な方法じゃないだろうか、
ということで
宮脇さんと、瓦礫を活かすプロジェクトを
立ち上げることになったのです。
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糸井 |
瓦礫を活かして。
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細川 |
はい。東日本の沿岸300kmに
幅30mから100mぐらいの
瓦礫でできたマウンドを作り、
10年間で9000万本の木を植えて 森の防潮堤を作ろう、という計画です。
ずいぶん大がかりな話ですが、
具体的には、5mから10mぐらいの高さの
マウンドを瓦礫などで作っていく、
ということになります。
瓦礫がいつまで残っているか、
今後10年間で被災地がどうなるのか、
いまはわかりません。
この7月のはじめに
財団が立ち上がったばかりで、
すべてはこれからです。
東日本を中心に、
植樹をしたり苗を作りたい、という
さまざまなグループがあります。
松でやりたいという人もあれば、
桜を植えたいという人たちもいるようですが、
そういうところとも
一緒にやっていけたらいいですね。
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糸井 |
国のほうは
どういう関わりをしているんでしょうか。
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細川 |
林野庁や復興庁、国土交通省、
さまざまなところが関わっています。
国交省はやはり
「コンクリートの堤防」ということですが、
それでは海が見えなくなってしまうという
意見も寄せられて、地元の自治体も
「森派」との調整がなかなか大変なようですね。
やっぱりコンクリートでてきた
高さ17mの堤防というのは
抵抗があるんじゃないでしょうか。 |
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(つづきます) |