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清順 |
ぼくが30歳前半の一男子として
いろんな社会活動のプロジェクトを見て、
「どれに参加したいかな?」と考えるとします。
それはもう、めっちゃ単純で、
おもしろいか、おもしろくないか、
興味そそられるか、そそられないか。
それだけです。
逆にいえば、べつに
極論でもいいかな、とも思うんですよ。
これね、
「100万本と決めないほうがいい」と言ってた、
さっきとは違うこと言ってるって、
わかってるんです。
でも、ほんとうはつながってくることなんですよ。
おもしろくなかったら、誰も動かないから。
いまの時代、ぼくら若者って、お金ないし。
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糸井 |
うん、若者はお金がないね。
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清順 |
だから、シビアです。
いちいちネットで情報調べてから、
おもしろそうなところに行こうとします。
このプロジェクトは、例えばさっきの
「デザイナーと工務店」の話じゃないですけど、
宮脇昭先生という圧倒的カリスマの
デザイナーがいる、という話です。
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岸 |
うん、そうだ。いいね。
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清順 |
それってすごく人を惹きよせます。
ボランティアが参加する。お客さんが来る。
宿泊する。ご飯を食べる。
お金が落ちます。
ブログにアップする。ツイートする。
広がっていく。
これ、もしかしたら
すごい復興じゃないでしょうか。
これは、正しい道だと思うんですよ。
そう考えると、ぼくらみたいな世代の人が、
「ジャンプインしたいな」と思えるようなことは
大事やと思うんです。
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岸 |
このプロジェクトは、
細川さんがいるから、きっと
できることが多い。
上意下達でやるんじゃなくて、
ちゃんとコーディネートされてこそ、
若者も「おもしろがり」の人も
みんな集まるんですよ。
それぞれに固有の歴史があり、
そこに集まる人の個性もある。
あちこちでやって、
おもしろくなったところをつまんで、
さらに広めていけばいいと思います。
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細川 |
そうですね。地元にも、
それこそ植木屋さんもおられるだろうし、
景観デザイナーもおられるだろうし、
必ずしも一本化しなくてもいいと思いますよ。
例えば仙台の荒浜のあたりとかですね、
3か所ぐらいに、1kmずつぐらい、
候補を出してきていただいたらおもしろいですね。
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岸 |
いわゆるモデルケースですね。
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細川 |
モデルケースです。
それがすごく大事だと思うんです。
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岸 |
わかります。
モデルケースがうまくいくコツは
地域の個性を尊重してできるところ。
それで、予算詰めてみるんです。
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細川 |
そうですね。ええ。
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糸井 |
やっぱ、そういう経験は、
岸さんはものすごく積んでらっしゃるんですね。
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岸 |
年中やっています。
例えば自然保護をうたう、さまざまな
運動や組織がありますけれども、
指示が上から下りてきて、
政治の力を使ってやろうとしても
自然は守れません。
それぞれの場所や人の個性って、
ものすごく複雑なので、
上から演繹的にいったって、
簡単にできるわけない。
それで、理念がみんなに認められなくなると、
一挙玉砕戦略になって、
「誰が悪者だ?」って、
企業や行政を悪者にして
引いていくんですよ。
ぼくはけっこう大規模な保全に
何か所かで係わってきましたけど、
「土地の個性にしがみつく」
基本は全部それです。
それで、時間を使ってタイミングを待つんです。
それしかできないですよ。
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糸井 |
ようするに、無名戦みたいなもので
戦っていくわけですね。
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岸 |
そうですね。
無名のぶん、表面には
カッコいいことも出しますよ。
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糸井 |
そこを配慮して、
言葉ひとつだって、考えて出していく。
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清順 |
そうしないと、せっかくの計画や考えが
もったいないです。
おそらく、細川さんの動きに
みんなが期待しているところが、
大きいんじゃないでしょうか。
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糸井 |
あとは、周囲の人たちも
一色になって「賛成!」ってやるだけじゃない。
「だけど、手伝い方はいろいろある」
みんながそう思えるといいですね。
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細川 |
そういうことなんでしょうね。
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糸井 |
みんな自由でいいんです。
「このためにいったん集まればいいじゃないか」
ぼくらのやり方はいつもそうです。
ばらけている、個性的な人たちが
集まってやるわけですからね。
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細川 |
それはたしかに。
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岸 |
ばらける位置、ばらける具合を
計算してやっていくのが仕事なんですね。
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糸井 |
おそらくそこが
細川さんのお仕事なんでしょう。
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岸 |
そう思います。
政治家というのはミッションを負って
まっすぐ行くのではありません。
可能なこととの中から
たえずベターを選ぶ能力がないと
政治家はできるはずがないと、思うな。 |
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(つづきます) |