三國万里子さんの新刊『冬の日の編みもの』出版記念   ウェルカム、ぶきっちょさん!  目薬ポーチで  編みもの入門。 先生は三國万里子さん


ほぼ日 というわけで、なにはともあれ、
「作り目」というものができました。
みなさんの目の前にも、「作り目」があるはずです。
三國 15目の「作り目」。
こんな具合です。
三國

三國 前回の最後でも言いましたが、
「編み図」のことはいったん脇においておいて、
このステップでは、
ここから2段、「裏目」を編みます。
ほぼ日 はい、しっかりと見ます!
   
1)編む毛糸を手前に。
三國 左手で「作り目」がある編み針を持ち、
右手では、
これから編む糸(毛糸玉につながっている方)が
手前にあるようにします。
こんな具合ですね。

ほぼ日 裏目を編むときは、手前に糸があるようにするんですね。
三國 ええ。
ちなみに今回は、
「アメリカ式」という編み方でお教えしています。
ほぼ日 アメリカ式。
ほかにも編み方があるんですか?
三國 はい。最近は「フランス式」という編み方で
編む人の方が多いと思います。
ほぼ日 フランス式。
アメリカ式との違いは?
三國 アメリカ式はこうやって、
編んでいく毛糸を右手にかけていますよね。
フランス式では編んでいく毛糸を
左手にかけるんです。
ほぼ日 へえーー。
三國 ふたつの編み方は
ちがう仕事をしているようにさえ見えるので、
大丈夫かな? と思われるかもしれませんが、
ぜんぜん心配はいりません。
アメリカ式でもフランス式でも、
まったく同じ正しい編み目ができるのです。
ほぼ日 今回、アメリカ式を選んだ理由は?
三國 わたしがアメリカ式だからです(笑)。
祖母から教えてもらいました。
ほぼ日 ああー、いいですねぇ。
三國さんのおばあさまが教えてくれたアメリカ式が、
今回こうしてみなさんに伝えられているわけです。
三國 そういうことになりますね(笑)。
   
2)1目めに編み針を入れる。
三國 話がそれました。
「裏目」の編み方をつづけましょう。
これから編む毛糸を手前においたら、
「作り目のいちばん右側の目の中」に、
右手の編み針を「奥から手前に向かって」入れます。
もう1回言いますね。
「作り目のいちばん右側の目の中」に、
右手の編み針を「奥から手前に向かって」入れます。
‥‥こうです。

ほぼ日 ええと‥‥右の奥から左手前に向かって、ぐいっと‥‥。
ここも大切ですね。
三國 大切です。
「裏目を編むときは、向こう側から手前に針を入れる」
これをしっかりと覚えてください。
ほぼ日 「裏目を編むときは、向こう側から手前に針を入れる」
三國 復唱をお願いします。
ほぼ日 「裏目を編むときは、向こう側から手前に針を入れる」
   
3)反時計回りに糸をかける。
三國 そうしましたら、
手前においておいた毛糸を持ち上げて、
上からくるっと反時計回りに巻きつけます。
どこに巻きつけるかというと、
右手の編み針の先に、です。
反時計回りに、くるっと‥‥。

▲右手の毛糸のテンションをほどよく保ちながら‥‥

▲「反時計回り」に、くるっと。

▲巻きつけた糸に右手でテンションをかけて軽く引く。
三國 「反時計回り」というのも大事なポイントです。
忘れないように。
ほぼ日 「反時計回り」。
三國 復唱をお願いします。
ほぼ日 「反時計回り」。
   
4)巻きつけた糸を、奥へ押しこむ。
三國 今回のステップ2で、
ここがいちばんたいへんかもしれません。
ほぼ日 そ、そうですか(緊張)、難しいところですか。
三國 難しくはないのですが、
ちょっとだけ込み入っているのです。
よく見ていてくださいね。
ほぼ日 ここであきらめたくありません。
頑張って、見ます!
三國 では。
さっき右の針に巻きつけた毛糸を、
右の針の先に引っかけながら、向こう側へ押しこみます。
右の針をスーッとすべらせ‥‥。

▲矢印の部分が、右の針に引っかけられて奥へ押しこまれます。
三國 右の針の先端で、
さっき巻きつけた毛糸を引っかけます。
いまちょうど左手の親指で隠れて見えませんが、
この親指の下では、巻きつけた毛糸が、
「手前から奥に向かってしゃくりあげるように」
引っかけられています。

三國 引っかけた毛糸を、奥におしこみます。
「手前からしゃくりあげりように引っかけて奥へ押しこむ」
ほぼ日 なるほど‥‥ここはじっくり理解したいです。
みなさんぜひ、動画でもご確認ください。
   
5)裏目が1目、編めました。
三國 右側の編み針に毛糸がかかって抜けたら、
左側にある「作り目」のいちばん右側の目を、
編み針からはずしてしまいます。

▲「ココ」の目をはずしてしまいます。

▲はずれました。
三國 はい、これで、「裏目」が1目編めました。
ほぼ日 いま編めた「裏目」は、どこに?
三國 右手の編み針にあるのが、いま編んだ「裏目」です。
つまり、編まれた「目」は、
こうやって右の編み針に移動しているわけです。
ほぼ日 あー、なるほどー。
右の編み針に移しながら、編み目をつくっていく。
この段が編み終わったときには、
右手の編み針に「目」がぜんぶ移動しているわけですね。
三國 そういうことです。
   
6)裏目の2目めを編む。
三國 裏目の2目めを編みましょう。
この段はずっと「裏目」を編みます。
ほぼ日 いま教わったことの復習になります。
三國 まずは最初のポイント、
「裏目を編むときは、まず編む毛糸を手前に」、
これを忘れないように編んでいきます」。
ほぼ日 あ、さっそくそれを忘れてました。
三國 左の針にかかっている「作り目」のいちばん右側の目の中に、
右の編み針を「奥から手前に向かって」入れます。

三國 右手にもった糸を、手前(右側)の編み針に巻きつけます。
反時計回りにくるっと。

三國 ちょっと糸を引っ張って整えます。
三國 右手の編み針の先端で、
さっき巻きつけた毛糸をひっかけます。
「手前から奥に向かってしゃくりあげるように」
ひっかけて、奥におしこみます。

三國 糸がきちんと右手の編み針にかけられたら、
左側にある、「この目」を編み針からはずします。

三國 これで、2目めも編めました。
   
7)同様に裏編みで2段目をすべて編む。
三國 この「裏目を編む」作業を、
2段めの最後まで同様にくり返してください。
15目編み終わったところで、2段めは終了。
すべての「目」が右手の編み針に移ったら‥‥。
   
8)3段目も裏編みですべて編む。
三國 その編み針を、水平にぱたんとひっくり返します。
邪魔にならないよう最初に結んでおいた毛糸の端が、
こんどは右側にきているはずです。
それを左手に持ち、
これから編む毛糸を手前に置きつつ、
右手にも針を持って‥‥
と、このあたりは2段目を編みはじめとまったく同じ。
まったく同様に、
3段目も15目まですべて、裏目を編んでください。
   
9)3段目まで、完成。
三國 「作り目」が1段目ですので、
これで3段目まで編みました。
3段目も、
編み終わったら水平にぱたんとひっくり返します。

▲3段目まで編み終わり、パタンとひっくり返した状態。
ほぼ日 邪魔にならないよう結んでおいた毛糸の端が、
今度は左側にきました。
三國 そうですね。
この状態から、次は4段目を編みます。
ほぼ日 ということは‥‥
偶数の段を編んでいるときは、
結んでおいた毛糸の端が左にあるわけですね。
三國 そうです。
奇数段を編んでいるとき、
結んでおいた毛糸の端は右側にあります。
覚えておくと、すこし便利かもしれませんね。
こうやって、一段ごとにぱたんとひっくり返し、
編み地の表と裏を交互に見ながら編むことを
「往復編み」といいます。
ほぼ日 ‥‥一気にここまできたようでもあり、
まだたったの3段目でもあり‥‥。
三國さん、道のりは長いです。
三國 大丈夫(笑)。
最初だから、いろんなことがぎくしゃくしますが、
あきらめないですこしずつ進みましょう。
ポイントを忘れないよう、
なんども復習をしてください。
わからなくなったら、最初から編み直してもいいです。
ほぼ日 ときどき手がつりそうになります‥‥。
三國 毛糸に軽いテンションをかけていないといけないので、
どうしてもそうなりますよね。
それも、慣れです。
たぶん気づいたら、らくになっているはずです。
ほぼ日 わかりました。
じゃあ、つづきをよろしくお願いします!
三國 休憩しましょう。
ほぼ日 え。
三國 ちゃんと集中するために、ちゃんと休憩を。
ストレッチしましょう。
ほぼ日 わかりました。
では失礼して。
うーーーーーーーーん!(背伸び)


(ストレッチしつつ、つづきまーす)

動画でおさらいしましょう

メリヤス編みとは、表目が2目2段以上並んだ編み地の状態を指し、
個々の編み目は、表を見て編むときは「表目」、裏を見て編むときは「裏目」です。
同様に、裏メリヤス編みとは、裏目が2目2段以上並んだ編み地の状態を指します。


質問に関するお願い
「目薬ポーチ」の編み方に関するご質問は、
コンテンツの最終回まで受け付けています。
ただし、質問へのお答えは最終回にまとめて行いますので
すぐにご対応できないこと、ご理解くださいませ。
また、すべての質問にお答えできるわけではないことも
あらかじめご了解いただきますようお願いいたします。

感想をおくる

 

2012-11-10-SAT


まえへ
このコンテンツのトップへ
つぎへ