さぁ、サカキシンイチロウさんに、
美篶堂さんから届いたノートと手帳を
一緒にお渡ししようと思います。
サカキさん、手帳とノートができましたよ。
「ウワ、ウワ、ウワッ!
えぇ‥‥、すごいな、すごい。
これ、すごいよ」
表紙の、タグの部分をじっと見るサカキさん。
「オーダーメイドをすると、
内側の胸ポケットのところに、
これが縫い付けられるんです。
それにしてもこんな黒の、
ストライプのスーツを着ていたんだね。
やっぱりこの頃、ブイブイだったんだ‥‥」
そして中を開いて。
「いろいろ思い出すな。
スクラップを貼っていったら、
あまりに厚くなってしまったものだから、
使わなかった白紙のページを切ろうって考えたんだ。
けれども、手帳にはさみを入れるっていうのは、
じっさいやろうと思うと、できないんだよ。
なんども逡巡して、思い切ってはさみを入れるんだけど、
最初はあんまり深く(本のノドのところまで)
切ることができなくて。
でもそれじゃ厚みがかわらないから、
だんだんエイヤって切るんです。
何がすごいって、ほぼ日手帳って、
そうとう深く切っても、本がばらばらに
なることは、なかった」
はい、糸かがり製本のうえに
のり付けしていますから、
じょうぶなんです。
そしてサカキさん、スーツがとても大きかったので‥‥
「あはは、当時、ぼくも大きかったから」
美篶堂の会長の上島さんが、
1冊だけじゃもったいない、
解体した生地をできるだけ使って、
ノートをつくりましょう、って。
「ありがとうございます!
あれ? これは、肩の芯地を使ってる!
こういう部分も、オーダーするときに
自分で決めるんだけれど、
切るぼくですら、
一度も見ることはない部分なわけです。
それが、こうして日の目を見たのは
すてきだなあ‥‥」
「あ、これは、袖についていたボタンだ」
「2冊! つまり右腕と左腕、
それぞれつくってくださったんですね」
この加工、裏を補強したり、
たるみをださなかったりするのが
そうとうな熟練の技だそうですよ。
「ありがとうございます。こんなにしてくれて。
手帳は取っておくなぁ。
たぶん、ずっと、何かにつけて、見てるんだと思う。
そして、このボタンつきの2冊は
スペシャルだからね、
パートナーと持ち合うんだろうな」
いいですね。
「このノートの良さって、
どっち開きでもいいところだね。
フォトブックにするといいかもしれない。
そうして分厚くなっちゃったら、
またちょっとページを間引くかもしれないけど、
ずっと持っていたいものをつくるのに
いいと思うんだよ」
こうして無事にサカキさんのもとに
2005年の「ほぼ日手帳」が、
1998年のスーツを着て、戻ってきました。
もう、とっくの昔に「使う」ための役割を終えた手帳に、
あたらしい命がふきこまれ、
ずっと大事にされるものに生まれ変わりました。
しかも、仲間をつれて!
サカキさん、ノートを使い終わったら、
また、ぜひ、取材をさせてください。
「わかりました。ありがとうございます!」
(おしまい) |