さぁ、サカキシンイチロウさんに、
美篶堂さんから届いたノートと手帳を
一緒にお渡ししようと思います。
サカキさん、手帳とノートができましたよ。
「ウワ、ウワ、ウワッ!
えぇ‥‥、すごいな、すごい。
これ、すごいよ」
表紙の、タグの部分をじっと見るサカキさん。
「オーダーメイドをすると、
内側の胸ポケットのところに、
これが縫い付けられるんです。
それにしてもこんな黒の、
ストライプのスーツを着ていたんだね。
やっぱりこの頃、ブイブイだったんだ‥‥」
![](images/p_05/02.jpg)
そして中を開いて。
「いろいろ思い出すな。
スクラップを貼っていったら、
あまりに厚くなってしまったものだから、
使わなかった白紙のページを切ろうって考えたんだ。
けれども、手帳にはさみを入れるっていうのは、
じっさいやろうと思うと、できないんだよ。
なんども逡巡して、思い切ってはさみを入れるんだけど、
最初はあんまり深く(本のノドのところまで)
切ることができなくて。
でもそれじゃ厚みがかわらないから、
だんだんエイヤって切るんです。
何がすごいって、ほぼ日手帳って、
そうとう深く切っても、本がばらばらに
なることは、なかった」
はい、糸かがり製本のうえに
のり付けしていますから、
じょうぶなんです。
![](images/p_05/03.jpg)
そしてサカキさん、スーツがとても大きかったので‥‥
「あはは、当時、ぼくも大きかったから」
美篶堂の会長の上島さんが、
1冊だけじゃもったいない、
解体した生地をできるだけ使って、
ノートをつくりましょう、って。
![](images/p_05/05.jpg)
「ありがとうございます!
あれ? これは、肩の芯地を使ってる!
こういう部分も、オーダーするときに
自分で決めるんだけれど、
切るぼくですら、
一度も見ることはない部分なわけです。
それが、こうして日の目を見たのは
すてきだなあ‥‥」
![](images/p_05/04.jpg)
「あ、これは、袖についていたボタンだ」
![](images/p_05/06.jpg)
「2冊! つまり右腕と左腕、
それぞれつくってくださったんですね」
この加工、裏を補強したり、
たるみをださなかったりするのが
そうとうな熟練の技だそうですよ。
![](images/p_05/07.jpg)
「ありがとうございます。こんなにしてくれて。
手帳は取っておくなぁ。
たぶん、ずっと、何かにつけて、見てるんだと思う。
そして、このボタンつきの2冊は
スペシャルだからね、
パートナーと持ち合うんだろうな」
いいですね。
「このノートの良さって、
どっち開きでもいいところだね。
フォトブックにするといいかもしれない。
そうして分厚くなっちゃったら、
またちょっとページを間引くかもしれないけど、
ずっと持っていたいものをつくるのに
いいと思うんだよ」
こうして無事にサカキさんのもとに
2005年の「ほぼ日手帳」が、
1998年のスーツを着て、戻ってきました。
もう、とっくの昔に「使う」ための役割を終えた手帳に、
あたらしい命がふきこまれ、
ずっと大事にされるものに生まれ変わりました。
しかも、仲間をつれて!
サカキさん、ノートを使い終わったら、
また、ぜひ、取材をさせてください。
「わかりました。ありがとうございます!」
(おしまい) |