分厚くふくらんでいた
2005年のサカキシンイチロウさんの
「ほぼ日手帳」を解体、
前回は、ハードカバー製本をするために
「ととのえる」状態までを紹介しました。
今回は、スーツを解体するところから、
完成までを紹介します。
スーツの解体を担当するのは、
上島さんの娘さんで、
美篶堂をいっしょにきりもりしている、
明子さんです。
「ここの部分を使おう。
ネームの部分が大事だからね」
と、相談。
スーツの解体を開始しました。
裁ちばさみで、縫い目を慎重に切っていきます。
手縫いのスーツなので、比較的作業しやすいみたいです。
いっぽう、上島さんは「見返し」をつける作業にかかります。
糊で、1ページ目と、最終ページにはりつけます。
スーツから、裏ポケットのネームの部分が外されました。
そして表紙になる部分も、切り出し。
背、そして表紙、
裏表紙をじょうぶにするため、
生地に裏打ちをします。
この裏打ちには、和紙を使います。
ちなみに今回の製本方式は「ドイツ装」。
背と表紙、裏表紙を別々につくって
あとで合体させる手法です。
補強といえば、本体の背の寒冷紗は、
2枚、重ね貼りをすることにしました。
強度を上げるためです。
製本職人でもある上島さんの甥の真一さんが、
上島さんの工程をサポート。
スーツの生地を貼った表紙を、
サイズどおりにカットしていきます。
裏打ちの紙の、さらに裏側に、ボール紙を貼ります。
これが芯となり、ハードカバーの表紙ができます。
端をくるんで、表紙のパーツが完成。
ちなみに製本用の刷毛は、
「いいものほど、ちがう」そう。
いい刷毛は、糊に刷毛の跡がつかないんですって。
裏表紙と、背。
表紙を仮にあててみます。
各パーツを接着。
表紙ができあがり。
ぴったり!
あれ、なにか足りない‥‥。
スピン(しおり)がなかったのでした!
「ほぼ日手帳」はカバーにしおりがあるのですが
本体にはついていなかった。
「本」ですから、つけなくちゃね、
というわけで、ちょっと剥がして、再接着。
仕上げです。ボール紙の内側にさらに紙を貼り。
背の部分に、溝をきれいに入れて圧着させるため、
機械を使います。
これはちょっと特別な工程。
見返しと、表紙を貼り付けます。
よし、完成!
まだ糊が乾いていないので、
ずれないようにきっちり紙でくるみました。
さて、これでサカキさんの2005年の「ほぼ日手帳」の
ハードカバー製本ができあがりました。
あまったスーツ生地は、上島さんたちがあらためて
ノートにして送ってくださることに。
それをまとめて、サカキさんに渡すことになりました。
サカキさん、いったい、どんな反応するだろう?!
(つづきます) |