燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。 燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。
燃読者のみなさんの感想と、燃え殻さんからのお返事。その1

その昔、
「あのブランドのあのTシャツ、
 あのブランドのスニーカー、
 あのアーティストのあのライブ」でなければダサい
と思っていたかつての自分を思い出しました。
それはめちゃくちゃ恥ずかしい思い出なので、
自分でも思い出さないようにしていました。

この小説を読んでいたら、
そんなこっ恥ずかしい思いを持ったかつての自分も
この物語のはじっこの方で歩いている気がして、
とても嬉し恥ずかしい気持ちになりました。

横浜、渋谷、六本木、この小説に出てくる町を巡ってみたいな。
一人だと恥ずかしくなりそうなので
この気持ちを解ってくれる人たちとで行って見たいですね。

(keitobi)

ダサかったあの時、もしかして今この瞬間も
10年後にはダサッ!と思うのかもしれない、
いや思うだろうとそろそろ気づき始めた自分は、
せめてダサさを共有してくれる人と一緒に生きていかないと
心のどこかが壊死するんじゃないかと思う今日この頃です。
あなたの恥ずかしさを共有してくれる誰かが
見つかることを心より願っております。

(燃え殻)

買ったのは発売日当日の6月30日で、
私にとっては別にプレミアムでもなんでもない
6月最後のフライデーでした。

場所は吉祥寺、ブックファーストにない、ルーエにもない。
しょうがなくジュンク堂にも行って
新刊のコーナーを見たけれど、ない。
なんでこんなに無いのか、売れて無いのか
本屋に見向きもされなくて無いのか、
わからないがとにかく無い。
検索用の端末で調べてみて、
ようやくサブカルとかそんな感じのコーナーに、
この本を見つけたのでした。

買ってその足でエクセルシオールカフェに入り読み始めると、
めくる手を止められなくなり、ひたすら没頭していました。
閉店の時間だと声をかけられて店を出た後も、
自転車に乗りながら小説の世界から抜けられず、
帰宅後再び読み耽り、一気に読み終えました。

読むごとに印象に残る1行は変わるのですが、今回は
「カチッと合わないそのイビツさを笑うことができていたら、
 ボクたちは今も一緒にいられたのかもしれない。」です。

現在30歳の私には、少し上の世代の人の物語でありながら、
同じ空気を吸っているような感覚がありました。
自分自身のあれこれを思い出してはなんだか切なってしまう。
別にいまさら精算するでも後悔するでもない「過去」に
何か特別な感慨を覚えてしまう。
それが自分にとっていいことなのか
そうでないのか分からないけれど、
この小説のせいであることは確かです。

おもしろかったです。
あなたの小説に、感謝の言葉を送ります。
書いてくださってありがとうございました。

(エイリアンズ)

読んで下さってこちらこそありがとうございます。
答えはもっと先にあるのかもしれないなぁ
なんていつも自分は思っています。
そんなことを言いながら死んだりするのかなぁ
なんて思ったりもします。
それもまた悪くないんじゃないかと若干感じています。

(燃え殻)

この頃の懐かしい痛み。
なんとなく息苦しさを覚えながらも、
日常に見つけるほんの小さなキラキラのカケラたち。
この感情は、私だけのものだと思ってたけど、
ひょっとすると、みんなで共有していたのかな。
同じ時代のペーソスのもとで。

(毎日)

人間は100%は共有できないけれど、
20%くらいは例えどれだけ年が離れていたとしても
共有できるんじゃないかと真剣に思っています。
そう思いながら小説を書いていました。

(燃え殻)

よかった本には、みんなにレコメンドしたい本と、
ごくごくかぎられた人だけに、
そっとおすすめしたい本がありますが、
この本は完全に後者です。

(もっつぁん)

嬉しいです。ありがとうございます。

(燃え殻)

住んでいる場所も、時代も、
わたしのそれとは違っていたけれど、
わたしにもおんなじような時間や思いがあって。

20代はじまりのころの
どうしようもない時間をいっしょに過ごした、
もう会えない彼とのこと全部が、くるしくてせつなくて、
いつからか心の奥底にぎゅっと押し込んで、見ないふりしてた。

あのころ、伝えられなかった思いを、
最後のボクの言葉にのせて、
心の奥底からひっぱり出してこれた。

あのときのわたしの言葉にならなかった言葉、
今になってようやくちゃんとわかった。

燃え殻さん。
ありがとう。さよなら

(myy)

ボクたちは感謝の気持ちと、
さよならの4文字を大切な人に
なかなか伝えられずに生きているような気がするんです。
「じゃ、また連絡するよ」なんて言っちゃって。
だからあのラストは、
小説だから物語だから入れたかった言葉でした。

(燃え殻)

一気に読んでしまいました。
友人の結婚式のために京都へ向かう新幹線の中で読み、
帰りの新幹線で今これを書いています。

最初は恋愛小説なのかなと思って読み進めて行きましたが、
仕事をすること、それも含めて日々を生きていくことの
切なさやおかしみが詰まっていて、
心が心地よく動く感じが良かったです。

結婚式で昔の友人と会い、
「あの人は今」を体験をしたわけですが、なんというか、
今までの結婚式よりも、友人たちに会えた喜びや
その場で初めて会った方々との出会いに
しみじみとした思いになりました。

『ボクたちがあと50年生きるとして、
 人類のひとりひとりに挨拶する時間も残っていない。
 ボクたちが会えたことは奇跡だと思わない?』

このセリフ、これからも大切にしながら
日々生きていきたいと思います。
素敵な時間をありがとうございました。

(こまつ)

それでも見たい「あの人は今」ってありますよね。

(燃え殻)

「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読んで
涙と鼻水でぐちょぐちょになりながら、
過去の出来事が次々に思い出されてしかたありませんでした。
まるでその思い出が、もうひとつのお話として
平行して在るかのようでした。

イジメられっ子だったこと。
社会の構成員にカウントされなかった浪人生時代のこと。
クリスマスイブの夜に文通していた同級生が
亡くなったと知った時のこと。
デザインの仕事を始めてから必死に働きすぎて、
好きになったひととの生活も続かず、
心を無くしそうになったこと。
社会人になってもイジメやハラスメントにあい続けたこと。
そして、いまもひとりで生きていること。

第二次ベビーブームの生まれで、
超氷河期に社会に出た燃え殻さんと同世代のわたしの、
たぶん順調とは言いづらい道のりを、
小説を読み進めながら辿っていました。

小説を読み終えてから、それでも生きてきたことを、
少し認めて褒めてもいいような気持ちになれました。
燃え殻さんと同世代としてこれから先も生きられると思うと、
頼もしく嬉しいです。

(ヨーコ)

生き残れたなぁなんて最近思います。
ヨーコさんもきっと生き残れたなぁなんて思ってませんか?
ヨーコさんの大切だった誰かも、
自分にとっての誰かも形は違うし立場は違うし、
人から見たらどー言われるか知らないけれど、
みんなどこかで生き残れたなぁなんて
思えてるんじゃないかと信じています。
生き残ったボクたちはもう少しの時間、
しぶとく生きていきましょうか。たまにズルとかしながら。

(燃え殻)

Twitterのプロモーションの映像にやられてしまい
数日後購入して燃え殻さんもフォローさせていただき
1ヶ月ほど経ちます。

今37歳の私は燃え殻さんが描く90年代が
少し年上の憧れてた時代で
東京で渋谷系でキューティーでジッパーでバーストで、
いま子育てしながらパートに行く自分が
自由で無敵で無謀で寂しくて元気いっぱいやった時代を
思い出してドキドキしっぱなしでした。

エキセントリックに憧れて岡崎京子に憧れていた私は
そんな世界とは無縁の生活感満載の泥臭い毎日を送っています。

でもなんか‥‥。

読めて良かった‥‥。

なんか色々思い出して勝手に赤面したりしてますけど
そんな個人的なぞわぞわを呼び起こす凄い力が
この小説にはありました‥‥。

(ヒロミツコ)

「キューティーでジッパーでバースト」が
子育てしながらパートしてるって、
なんて力強い言葉だろう。
きっとあなたの毎日は、
あの頃よりさらに頑丈な幸せなんじゃないだろうか。
時々、無謀で寂しくて元気だけで走り抜けようとした
時代の匂いを感じたくなって、
この小説をペラペラとめくってくれたら、
そんな幸せなことはありません。

(燃え殻)

少し前にTwitterでお見かけして。
気になってフォローさせていただいて。
間もなく本が出版されるとのことで長く忘れていた、
予約して本を購入するという作業をして。

本当に地味な私ですが。それなりにドラマもあって。
20年想いを持ち続けた人への想いを
断ち切らなくてはならなくて。
まさに燃え殻さんの時代を一緒に過ごした彼への想いを。
で絶望して生命を終わらせようとして。でもまだ生きていて。
今はただ、周りの人をこれ以上悲しませたり
迷惑をかけたりしないためだけに、
味のない毎日を生きている気がしてて。

そんな時に、ボクたちはみんな大人になれなかった。
なんともいえない、忘れていた感情が溢れて。
というか、感情がまだ残っていたのかとびっくりして。
今は味がしない毎日だけれども。
昔は何かを温めていた自分もいたのだと。
何かを感じて翻弄されていた自分がいたのだと。
思い出させてもらえただけで。
なんとか1日1日生きていけそうです。ありがとうございます。
いつかお会いして、感謝の気持ちをお伝えしたいです。
心からありがとう。

(おくら。)

長い時間でしたね。
簡単に気持ちは切り替えられるわけないとは思います。
「断ち切る」という勇ましい言葉をお使いですが、
この本の主人公も
何も断ち切ることがないまま生きてきた人間です。
そこまで想いを寄せた人を断ち切るなんて決断は
なかなか難しいですよ。
少しずつ少しずつ1日ずつ1日ずつ澱が溜まっていくように
かさぶたになっていくんだと思います。
いつか、懐かしみながらも笑顔で話せるおくらさんに
お会いできることを楽しみにしています。
毎日は面倒も多いとは思いますが、
お互いしぶとくやっていきましょう。

(燃え殻)

なぜだろう。
世代も微妙にずれているし
こんな恋愛も経験した事ないのに
なんだか妙に共感してしまった。
その理由が分からないまま
あっという間に2周読み終ってしまった。
そしてその勢いで人に本とか勧めたこともないのに
何故かちょっときになるあの子に貸していた。
まだ答えは帰ってきていないけど
どんな感想を抱いてくれるのかな。
あの娘から返ってきた時にもう一度読んで見たら
また違う感想が生まれるかもしれない。
そんな不思議な本でした。

(浮き雲)

気になるあの子に貸したくなる本だった。
なんて、最高の褒め言葉です。
こちらこそありがとうございます。
で、気になるあの子の感想が
人一倍気になる私ってのがいるんですが、
どーだったでしょうか?

(燃え殻)

「ああ、自分だけが取り残されてしまった」
と読んだ後、思いました。
大切な人も、友人も、知り合った人たちも。
時間や、微かな願いさえも。
自分が大切にしたいと思ったものを大切にできず、
それでもいま生きてしまっているなあ、と。
それは、墓場まで持っていくつもりだったけど、
燃え殻さんの小説を読むことで、また光をあてることができた。
自分の心の一部を見ないことにするのは辛いことだ。
それが、自分で自分の傷をえぐるようなことでも。
見つめないといけないなと。勝手に思いました。

(たびと)

ここいない誰かも、
旅立った誰かも、きっと
「ああ、自分はまた一人になってしまった」
なんて思ってますよ。
ここに残るという選択は、
ここを離れるという選択と、
どこまでも対等だと思います。

(燃え殻)

どこからきたのかわからない、
いまだ名前の知らない感情で胸がいっぱいになった。
名前を知らないことも、それを言葉で表せないことも、
もどかしかった。
思い返す「あのころ」や「あの気持ち」がある人、
「あの子」や「あの人」がいる人たちが
心底羨ましいと思った。
東京のことも90年代後半のこともわからない。
誰かが、二度と会えない遠い場所へ行ってしまったこともない。
仕事をしたこともなければ、中学も高校も今も
ごくごくありふれた学生生活しか送っていない。
いや。ありふれたどころか、
私は生まれて19年間まだ恋をしたことがない。
たぶん。

だからなおさら、この本のどれもが羨ましかった。
(誰かと二度と会えなくなるのは嫌だけど)
自分にもしそれらの経験があったら、
もっとこの物語を深く感じることができたかもしれないのに、
と思わずにはいられなかった。
恋をしたことがないからか、
恋をしたことないくせにかわからないけれど、
36ページで涙が込み上げた。
今まで自分の涙の理由を疑ったことなどなかった。
でも何の感情かわからなかった。
読み始めるまで、
これは自分の知っている恋愛ものではないと勝手に思っていた。
(そもそも、あまり恋愛ものの本を読んだり
 映画を観たりしないので「知っている」というほど
 知っていないし比べるものすらないけれど)
自分が思い描いている
「恋」や「好き」を覆してくれるんじゃないかと。
でも、
「生まれて初めてボクは頑張りたくなっていた」
「彼女がいないともうダメだった」
「好きな人のすべてが正義になる」
「彼女に電話をして、好きだよと言おうと思った」
「この瞬間の気持ちがずっと続けばいいのに」
「明日も、明後日も、何年先もずっと」
「ねぇ、ずっと一緒にいようよ」
「自分より好きになった人のなんの根拠もない言葉ひとつで
 やり過ごせた夜が確かにあった」

‥‥噂に聞く恋そのものじゃないかと思った。

がっかりしたわけではない。
ただただ、やっぱりそうなのか、と思った。

もちろん、全く知らない景色を嫌でも頭のなかで
色つきで映像化してしまうような細かい描写や
一つ一つの表現の仕方は
私が今まで感じたことのないものだったけれど、
「恋」や「好き」ということ自体は
いつだって誰がみてもわかりやすくて、
意外と単純なのかもしれないと思った。
「ボク」にしかわからないはずの物語が、
誰の記憶にもあるかもしれない何かを
思い出させたり懐かしく思わせる理由が
ほんの少しだけわかった気がした。
私にとって、「好きな人ってなに?」という台詞が
唯一強く共感できた言葉だった。
なにをもって「好き」と判定していいのかわからない。
四六時中だれかのことで頭がいっぱいになることも
ふとしたときにだれかの顔を思い出すこともない。
仕草や見た目を「いいな」と感じても
それ以上の感情を抱ける人にまだ出会えていない。

知りたい
触れたい
付き合いたい
とか。

それ以上踏み込もうと思えたことがない。
でもそれは、自分にしか興味がなくて、自分が大切で、
自分が一番好きだからかもしれないと気付かされた。
同時に、ますます恋に恋してしまった。
自分より好きになれる人に出会ってしまったら、
いったい世界がどうなってしまうんだろう。
なんか、すごいことができそうな気がしている。
笑われてもいい。
「ボク」のように、自分の人生を普通じゃないと
思えるものに変えてほしいと思っている。
キラキラした部分だけじゃなくて、
その人に対しての自分の醜くて嫌な部分すらも知りたいと思う。

期待しすぎかな。幻想かな。

求めすぎていることが自分からそれらを
遠ざけているのかもしれないけれど、
そんな諸々の理屈を
吹き飛ばしてくれるような誰かを待っている。

「年をとったらとるだけ 増えていくものは何?
 年をとったらとるだけ 透き通る場所はどこ?
 十代はいつか終わる 生きていればすぐ終わる
 若さはいつも素裸 見苦しいほどひとりぼっち」

20歳になるまであと半年。
十代のうちに出会えてよかったものはたくさんある。
人も言葉も音楽も。
その多くに自分の気持ちを代弁してもらうしかなかったけれど、
大きくなるにつれてあまり小説を読まなくなった自分にとって、
本を読んでこれだけ自分の言葉を吐き出せたのは
この本だけかもしれない。
しかも、恋愛について。

「先に続いてるのは未来であって、過去じゃない。」
私はこの本を読んで羨ましいと思ったけれど、
それよりも強く、今を生きたいと思った。

19歳。
何がとははっきりわからないけれど、
まだまだ期待してもいいんじゃないかとちょっと思えた。

「こうしている間にも、刻々と過去に仕上がっていく今日。」
ただ、今までのことも出会った人も
やったことも覚えたことも感情も全部、
これからもひとつ残らず持っていく。
どこまでも持っていく。
感じることだけが全て、感じたことが全て。

世代なわけじゃないし恋愛がどうとか関係ないけれど、
「エイリアンズ」も「サーカスナイト」も好きだけど、
なによりこの本の雰囲気もなにもなくなってしまうけれど、
今を生きたいと思ったとき、
私が聴きたくなったのはこの曲だった。

(たらってぃ)

19歳でフラワーカンパニーズの
『深夜高速』を引用するあなたに
10代だったら自分は恋に落ちていたかもしれない。
あなたのこれからの人生に起きることが、
なるべくハッピーエンドになりますように。
まぁ、そんなこと言っても
たまにはバッドエンドな出来事もあるかと思うので、
そんな時はまたこの小説をペラペラとめくってみて下さい。
最後のページまでいってパタリと本を閉じた時に
「まぁ、いろいろあるよね」なんて
噓でもいいので発してみてください。
いろいろあるんで生きてると。

(燃え殻)

2017-08-25-FRI

(つづきます)