燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。 燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。
燃読者のみなさんの感想と、燃え殻さんからのお返事。その6

一度も東京に出ることなく
地方で働いている40代男性です。
かっこ悪いけど一所懸命。
東京で暮らすことへの憧れが
自分の中にくすぶっていたことに気がつきました。
それと、人を好きになってしまう気持ちって
どうしてコントロール出来ないんでしょうね。
もうおっさんなのに、いまだに
自分の気持ちに振り回されています。

(たけし)

そんな瞬間、「今俺、生きてるなぁ」とか
思いませんか?

全然切迫感の違う話になってしまいますが
先日、香川県の男木島にイベントで行ったんです。
2日だけでしたが、住人の気持ちで過ごしました。
東京に2日ほど休みを取って、
まるで住人のように古本屋に行ったり、
町のラーメン屋にふと入ったり、
普通に過ごしてみるんです。
〝ごっこ〟ですが、フーンなんて思いますよ。
気が済むかもしれないし、
もっと興味が沸くかもしれません。

40代ですよね? ボクもです。
もうおっさんですが、おっさんだから
気持ちが右往左往しないなんて
それこそ誰かが考えた模範的なおっさん像です。
いつもは仕方ないので、それを心がけてますが
ボクもたまに右往左往を楽しみます。
そんな瞬間、
「今俺、生きてるなぁ」とか思ったりしています。

(燃え殻)

2分おきのパンチラインが
どこか違う次元に連れて行く。
きっとこれは東京の別周波数の話。

定点に刻みこまれるリズム、
クライマックスの鼓動の壮大なオーケストラ。

35mmフィルムの
パタパタパタという音が
ずっとどこかで流れていたような気がする。

1番好きな人は1番好きなまま。
今で過去を更新しなくても良い気がした。

この物語を通して私の中の
何かも成仏したような気がした。

(かつじゅん)

よかった。
すべてに白黒なんてつかないですよね。
滅多に開けない心の箱にしまって置くものも
生きてれば出てくるもんだと思います。
たまに怖いものみたさに
小説を開いてくれたら嬉しいです。

(燃え殻)

「女性は(恋愛の)思い出を上書き保存するから
過去のことはきれいに忘れる」なんて
よくいわれるけれど、
自分はそんな器用なことはできず、
すべて「フォルダに分けて別名で保存」している。

それは未練ではなく、どれも良い思い出として
忘れたくないものだから。

この物語の主人公と自分は同世代なので
90年代のあのころの
「ボクたち」の物語と当時の自分の出来事を
頭の中で並行させながら読んだ。
記憶の中にしまっておいて
忘れてしまわないように時々引っ張り出しては
ぼんやりと思い返していた思い出が
この物語を読んだことで
ぐぐっと最前面によみがえってきて
ちょっと戸惑うほどだった。
20年も前のことなのに。

悲しい思いもしたけれど、あらためて
いい経験ができたと思えた。
そしてこれからも、目の前の日々を
楽しく過ごしながら、当時のことは
良い思い出として保存し続けていくのだろう。

戻りたいとかではなく、幸せな記憶の一つとして。
そして、そんな自分を
肯定してもらえたような気もする。

きっとこの先も、何かあるたびにこの本を開いて
当時を思い出しては
あえて感傷的になったり、納得したり
幸せな気持ちを思い出したりするだろう。

小学生のころ読書感想文は嫌いだった。
なのに、この本は読んだ後
無性に誰かに感想を言いたくなる。
でも、その感想はかなり個人的な内容なので
人に話すのはためらわれて
結局誰にも言えずにいた。

この企画のおかげで
本を読んだ後ずっと自分の中に抱えていた
そんなもやもやが解消されました。
素敵な企画をありがとうございました。

そして、フェイスブックを
始めてみようかなと思ってしまった。どうしよう。

(ろくろく)

感想のメールありがとうございます。
フェイスブックを始めるのは再考した方がいいかと。
全部上書きできるほど単純じゃないですよね。
ガラクタみたいな思い出すら
抱きしめて生きていきたいなぁと今は思っています。

(燃え殻)

[孤独][大丈夫][世界に2人きり][もう会えない]
このキーワードが浮かびながら、読みました。
実は、燃え殻さんの本を
読むつもりはありませんでした。
昨日、実家に帰る渋滞に巻き込まれ、
のろのろ運転をする高速バスの車内で
村上春樹さん著の『国境の南、太陽の西』を読みました。
『国境の‥‥』は約10年ぶりの再読で
先日本屋で購入したのですが、
なぜ買ったのかは自分でも分かりません。
導かれるように。というのが一番近い感覚です。
実家に着く頃には読み終えて。
あぁ、この時期、この日に読む本だったのだな
と納得しました。その後、友人との会食までの時間
街中のスタバでチャイを飲みながら、
「あ、そうだ。燃え殻さんの小説を買おう」
(読もうじゃない)
と急に思いたち、本屋に行き、購入しました。
そして、何かにせかされるように
自宅に戻る新幹線の中で
『ボクたちは‥‥』を読み始めました。

私は4年前の8月に主人を亡くしました。
なので、8月は大嫌いです。
小説は、いろんな主人との思い出が蘇ってくるので、
主人を亡くしてから1冊しか読んでいませんでした。
昨日まで。

でも。 また読み始めようかな?と思ってます。

私は、4年前、主人と一緒に死にたかったのです。
けど、必死で生きようと頑張っていた人を
間近で見ていたからこそ
自ら命を絶つことはできませんでした。
主人の死から数か月後、死ねないのなら‥‥と開き直り、
「これからの人生は余生だ」と決めました。
つまり余分な人生、余分な時間です。
毎日彼岸からのお迎え待ちです。
待機時間を有効に使って、楽しんでいます。
そして、直観のまま生きようと思えるようになりました。

まだ毎日をそう思えるようにはなれてませんが。
こうやって、大嫌いな8月に
また小説を読もうかなと思うきっかけを、
馴染みのある村上春樹さん、そして
はじめましての燃え殻さんからプレゼントしてもらえて
「なんだ、余生もなかなかいいことあるじゃないか」
って思えました。ありがとうございます。

(asante)

すべて分かりますよなんて言えないのですが
小説を出してよかったと思えました。
余生だと思って生きるのを真似してみます。
余生だと思えば自分のしくじりも許せるような気がするし、
些細な出来事も特した気持ちになれそうですね。
小説の中で七瀬という登場人物が言う
「人生の大切な瞬間、俺たちに選択肢はないんだよ」
という台詞。それはボクの持論でもあって。
ある意味、人生なんてケセラセラだと思っています。
流れに任せればいいんじゃないですかね。
これからのことも、いつ命が尽きるかも、
自分でジャッジしなくていいような気がしています。
そのうち向こうから迎えにきますよ。
それまで余生を充実させることに
お互い全力を尽くしましょう。時々サボりつつ。

(燃え殻)

初めて、自分から読書感想文を書きました。
私は女子大生の1年です。
今まで、小中高と夏休みの宿題に
読書感想文がありましたが、
ノルマとして書いていただけで、
書きたくて書いたことはありませんでした。
ですが、大学の授業で
自由記述の作文を書く機会があったので、
思わずこの本から感じたことを文章にしてしまいました。
この本からは非常に大きな影響を受けたので、
どうにかして誰かに伝えたいと思っていた時です。
あんなに自分の感情が入った、
まさに感想文ということができる文章は、
おそらく初めて書きました。
親や友人に薦めるには、
自分の頭の中をこじ開けられるような
照れくささがあって躊躇しましたが、
絶対に届くと保証された誰かに
この本の魅力を伝えたかったです。

私はまだ18歳で、この本の登場人物が
懐古している時期と同じような歳ですが、
読んでいると、何かを思い出したくなりました。
その何かはわからないし、
おそらくそれにはこれから起こることも
含まれるのだと思います。
でも、すごく懐かしい気分になりました。
そして、いつもは涙もろく、すぐ泣く私ですが、
この本を拝読している時は、
涙が溢れるか溢れまいかと
うるうるしてページがすぐ進まず、
同じ箇所を何度も読み返してしまいました。
色々な角度から心を刺激されて、
うまく言葉にならない感情が、
うるうるになっていたのだと思います。
今も、ここに感想を書けば書くほど
私の言葉では陳腐な気がしてきますが、
一言だけでも、どんなに言葉を尽くしても、
私の語彙では伝えきれないのが残念です。
大学の先生には、私が何かを強く感じている
ということだけでも伝わってくれるといいです。
この本には、生温かくて、
誰も拒否しない言葉たちが並んでいると感じました。
そんな言葉たちが好きです。
感想を送ろうか送るまいか悩んでいて
すぐには送る勇気が出ず、
勢いで送ったこの文章は
なんとなくはずかしくて自分でも読み返せません。
ただ、最後に、ひとを愛したひとは、強い、
とそう思いました。
素敵なお話をありがとうございます。
何度も読み返しています。

(れいか)

感想をありがとうございます。
cakesで連載していた時に、自分も勢いで書いて、
恥ずかしくてロクに読み返すこともなく、
よく担当の方にメール送信しておりました。
だから何となくあなたの返信、
うれしくなってしまいました。
18歳のあなたにとって、
これから起きる色々なことの
サンプルになったとしたら嬉しいです。
あんまり良いサンプルじゃなかったかもしれませんが、
どんなことがこれから起きようが、
あまり立ち止まらなくていい気がします。
勢いで駆け抜けてください。
どんな出来事も遠くまでいけば、
時が経てば、懐かしくなると確信しています。

(燃え殻)

はじめまして。
ふたりのこどもを大学にいかせるため、
本は文庫本になるまでまって買っていたわたしですが、
「ボクたちはみんな大人になれなかった」は
今すぐ読みたくて買いました。
ほぼ日で燃え殻さんのことを知り、
この本に出会いました。
この本を読まれた多くの方が感じておられるように、
わたしも、自分と重ねて読んでいました。
好きなひとがいました。
たぶん、二度と会えないひとです。
でも、ずっと忘れられなくて、
そのひとには、どこかで幸せになっていてほしいと、
今でも心から願っています。
でも、もしそのひとに会えたときは、
胸をはって会いたい、と、
心のどこかで思いながら、生きてきました。
燃え殻さんの本を読んで、ふだんは意識することのない、
そんなきもちを思い出しました。
燃え殻さん、ありがとうございました。

(コック)

本を購入して頂いてありがとうございます。
人に大声で言えることばかりじゃないですよね。
お忙しい毎日だとお察し致します。
お身体ご自愛ください。
しぶとく生きてると色々なことがありますよ、
今回自分は小説を出版してそれを実感致しました。
しぶとく生きていきていきましょう。
その先に色々あると思います。色々。

(燃え殻)

「キャバクラ一回でいいよ」と
新幹線旅行に送り出してくれた関口、
教科書を直してくれたナオミさん、
濡れた書類を一緒に拾ってくれたヤクザのお兄さん、
線が交わってできた点のように
重さも大きさもわからないけど、
たしかにそこにある優しさ、
旅行先でできた思い出、
嬉しいのに悲しくなる感情、
友達に説明できないかおりの良い所。
自分の中にある言葉にできないけど
なんか良いコトを改めて思い出ました。
小説を言葉で読み、感想を言葉で書いている、
けど言葉にできない何かに支えられて
今の人生を生きているのかな、と感じた小説でした。

(横牧)

まだ名前のついてない感情は、
たくさんあるんじゃないかと思っています。
数少ない名前のついている感情、
状況、固有名詞を駆使して、
そのまだ形状も温度も定まらない
感情の感触を伝えたいと
悪戦苦闘したように思います。
うまくいったかどうかは微妙なんですが、
そう思って取り組んでいました。

(燃え殻)

ああ、終わってしまった。
私には
【腰ぐらいのところで小さく手を振ってる】
【普通のブス】であるところの彼女が見える。

(こーいち先輩)

「絵が見える」は何よりも意識しました。
自分と同じ飽き症な人が
最後まで読んでくれるにはどうしたらいいかを
ずっと考えながら改稿していました。
その中の一つの答えが
文中ずっと「絵が見える」か?
ということでした。
それが小説として上等かどうかは
自分には分かりません。
ただ最後まで読んで頂けることを
目指して書きました。

(燃え殻)

途中から、ずっと泣いていました。
私自身も抱えている、成仏しない想いを
これでもかと刺激された小説でした。

一生のうちに読んだ本の中で
最も刺さった一冊になるかもしれません。

余談ですが、発売日前日は、
「どうか売れますように!」と
なぜか自分のことのように緊張していました。
なので、今とても売れているのが嬉しいです。

(Black Candy)

ありがとうございます。
昔、大槻ケンヂさんの
「リンダリンダラバーソウル」を読んだ時に
自分にとって生涯ベストだ!と思いました。
でもその後、大槻さんのおかげで
ちょこちょこですが読書の習慣ができて、
中島らもさんや吉本ばななさんなどを読み漁りました。
どうか自分以外の色々な作品にも触れてみてください。
自分で一冊書いてみて、思った率直な気持ちは
「プロの小説家の人って本当に凄いんだなぁ」でした。
良い経験をさせて頂きました。
でも、緊張して発売前日に祈ってくれていたなんて
飛び上がるほど個人的には嬉しいです。

(燃え殻)

三年前にギターを始めて、
周りの人に何目指してんのとか言われたりしたけど、
燃え殻さんの小説を読んで、
自分はあの頃をやり直したかったのかなと思いました。
仕事行ってきます。

(すい)

行ってらっしゃい!

(燃え殻)

2017-09-29-FRI

(つづきます)