「女性は(恋愛の)思い出を上書き保存するから
過去のことはきれいに忘れる」なんて
よくいわれるけれど、
自分はそんな器用なことはできず、
すべて「フォルダに分けて別名で保存」している。
それは未練ではなく、どれも良い思い出として
忘れたくないものだから。
この物語の主人公と自分は同世代なので
90年代のあのころの
「ボクたち」の物語と当時の自分の出来事を
頭の中で並行させながら読んだ。
記憶の中にしまっておいて
忘れてしまわないように時々引っ張り出しては
ぼんやりと思い返していた思い出が
この物語を読んだことで
ぐぐっと最前面によみがえってきて
ちょっと戸惑うほどだった。
20年も前のことなのに。
悲しい思いもしたけれど、あらためて
いい経験ができたと思えた。
そしてこれからも、目の前の日々を
楽しく過ごしながら、当時のことは
良い思い出として保存し続けていくのだろう。
戻りたいとかではなく、幸せな記憶の一つとして。
そして、そんな自分を
肯定してもらえたような気もする。
きっとこの先も、何かあるたびにこの本を開いて
当時を思い出しては
あえて感傷的になったり、納得したり
幸せな気持ちを思い出したりするだろう。
小学生のころ読書感想文は嫌いだった。
なのに、この本は読んだ後
無性に誰かに感想を言いたくなる。
でも、その感想はかなり個人的な内容なので
人に話すのはためらわれて
結局誰にも言えずにいた。
この企画のおかげで
本を読んだ後ずっと自分の中に抱えていた
そんなもやもやが解消されました。
素敵な企画をありがとうございました。
そして、フェイスブックを
始めてみようかなと思ってしまった。どうしよう。
(ろくろく)