燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。 燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。
燃読者のみなさんの感想と、燃え殻さんからのお返事。その5

引きこもり気味の大学生には
ちょっと早かったかもしれません。
20年くらい後に読んで
今とは違う感想を出せたなら
良かれ悪しかれ人生成功という気がします。

(かぼす)

20年後なんて思いつつ、
来年もしかして
劇的な変化があるやもしれません。
ボクは43歳で
小説を出版するなんて思いもしませんでした。
41歳の時に1秒も考えたこともありませんでした。
劇的な瞬間は突然訪れたりしますよ。

(燃え殻)

90年代、ハチ公口地下のセルフサービスの喫茶店で
アルバイトをしていました。
店内にはMTVでいつもautomaticが流れていて、
渋谷に初めてスタバが出来た時、
バイトの休憩時間にみんなで
「キャラメルフラペチーノ」っていう飲み物を買いに
行列に並びました。
仲屋むげん堂で民族調のスカートを買い、
WAVEでCDを見て、デートはロフト、
ハンズの脇にあったsun-sea っていう、
やっぱり民族調でお香の匂いがする、
くつろげるカフェに
大好きなバーテンダーの彼と入り浸ってました。
結婚とかどうでも良くて、
ずっと、ずっと時間を引き伸ばせるだけ引き伸ばして
一緒に過ごしていました。
忘れていたその全てを
読み始めたときに思い出して、
連載中、仕事場の裏で読んで、何度も泣きました。
私は全く別の仕事に着き、
彼は昔よりいいお店で
バーテンダーをやっているそうです。
過ごしてきた時間を、この本を読んで
良かったと思えるようになりました。
ありがとうございます。それだけ伝えたくて。

(こすずめ)

ボクはこの感想が読めただけで、
書いてよかったと思いました。

(燃え殻)

初めて小説を一気に読みました。
新幹線に乗る前に買って、読み、
新幹線を降りた後には、
色々無かったのに
「昔、色々あったな」と黄昏ながら、
ゆっくり歩いて家まで向かいました。
経験したことの無い世界なのに、
身に馴染む小説でした。
自然と疎遠になって行く様がリアルで、
今後知り合いと会う時も、
疎遠になるかもしれないと頭をよぎり、
向こう数年、毎日が少し切なくなりますね。

(の)

忘れがちですけど、
みんな有限の時間の中で生きていて、
それはいつプツリと切れるか分からないんですよね。
忘れがちですけど。

(燃え殻)

この物語を「救いがない」と仰った方がいるらしい。
「救いがある」「ない」の区別ってなんだろう。
あのお話に、あからさまに
わかり易い救いはないのかもしれない。

スーさんの最後の「あなた」の意味を知るのは後日で、
その意味を知ったとき
何であの時分かってあげられなかったんだろうって
絶望するかもしれないけれど、
「確かにその時愛されていた」記憶でもある。

言えなかった「ありがとう さようなら」
たとえ本人に直接言えなかったとしても
やはり、あれは一区切り。
どんなに小さくても、
次のステップへつながるものだと思う。

それは十分に救いだと、私は受け止めました。

「真っ暗な闇の先に
針の先ほどの小さな穴から差すひかり」
ぐらいの救いや希望の方がなんだか落ちつく、
と思ってしまう自分ですが、
あのお話はそんな小さなひかりじゃなかったです。
目の中やまつげの先に涙をいっぱい溜めたまま
薄目でひかりをみたことありますか?
あんなかんじです。あの本から感じる希望のひかりは。
きらめきが揺れて、あふれてましたよ。

(美和ロックンロール)

ありがとうございます。
根本敬さんの言葉「でもやるんだよ」が
自分のスローガンです。
「でも生きるんだよ」みたいなつもりで書きました。
「だから生きるんだよ」みたいなつもりで
最後、書ききりました。

(燃え殻)

自分よりも好きになった人を思い出しました。
振り返ると僕にだけ輝いて見える思い出を、
この小説の端々に感じてしまいした。
もしデロリアンであの頃に戻れたら、
上手くやれるだろうか?
そんな「もしも」を考えないように
生きてきた人生だったのに、
燃え殻さんのせいで、ここ一ヶ月、
ふとした時に考えてしまします(笑)。
出るはずのない答えを考えるのも、
そう悪いことじゃないんだと新発見です。
ちょっと切ないけど(笑)。
この本を読んで本当によかったです。

(storm)

ちょっと立ち止まって、
振り返ってみることも大切ですよね。
後ろには決して戻れないけれど、
前だけ向いていたら
忘れてしまったであろう思い出が、
今の自分を作ってくれたんだなぁと思うことも
生き続けていく上で、
大切な儀式のような気がします。

(燃え殻)

物語の中と確かに同じ時代に同じ国で
生きていたはずなのですが、
異国の物語のような、
非現実的な感覚で読みました。
こんな人生もあって、
こんな恋愛のカタチもあるんだなと。

彼女さんが「へへ」と笑うところが好きです。
「最愛の」というだけあって、
彼女さんを表現するところだけが
特に色彩豊かに感じました。

物語の基本色が鈍色、
そこにぽつりぽつりと色を落としていく
彼女さんの言葉や行動。
それが燃え殻さんの目に
魅力的に映っていく描写が好きです。

この本を読んだきっかけは、
帯の糸井さんの言葉だったのですが、
本当にリズム&ブルースを聴いているかのように、
人生の苦々しさや時折訪れる幸せを
流れるように味わいました。

(りん)

嘘みたいに「へへ」と笑う人でした。
あれはきっと
心から笑ってなかったんだろうなぁ。笑

(燃え殻)

むしろ、こんな想いを抱えながら、
毎日を生きている人を
「大人」というのかもと思ってしまった。

(Maki)

「大人」という役回りの人は、
色々な想いを抱えながらも
社会的には割り切って
当たり前をこなせる人なんじゃないかなぁ
と思ってます。個人的には。

(燃え殻)

読んでるそばから、昔の記憶が甦る。
誰にもある甘くて苦くてしょっぱい記憶。
燃え殻さんより遥か前の時代、
携帯どころかアパートの部屋に電話がない頃。
あの時に携帯さえ在れば、
つまらない誤解から別れることはなかったかも、
なんて今さら思う。この本を読んだせいで、
せつない失恋の思い出がキラキラしてきて不思議。
自分より大切と思ったあの彼に、
この本をぜひ読んでほしい。
そのためにSNSでポチっとするか思案中です。

(りす)

そのポチは、かなりのリスクですよー!
かなりのリスクですよー!(2回)

(燃え殻)

北海道から東京に出たのが1999年~2001年でした。
青春と言える時間軸は、私と当時の友人だけの
鍵を無くした宝箱みたいな感じだと思ってました。
「ボクたちは~」は
私の中の宝箱の鍵を開けてくれて
同じように共感してくれた、相棒のような小説です。
アラフォーらしい、いつまでも引きずりながら
過去の記憶が年輪を重ねる度に
テラテラと妖しく輝きを増す感覚には
口の中の涎を飲み込むのすら忘れるほど
読み深めてしまいました。
家族が寝静まった夜に濃いめの酒を傾けながら
二回三回と読みたい一冊です。

(namioibito)

自分の書いた物語が、誰かの物語になっていく。
それは自分がこの小説を書く時に、
そうなれば嬉しいなぁと願ったことでした。
とても嬉しいです。

(燃え殻)

未だに好きな元カノ。
彼女との思い出が、本になったかと思いました。
有り触れた、恋だったかも知れません。
ただ、あの頃の感情を再び思い出せて嬉しかった。

(くま)

ありふれた恋と客観視できるようになれば
その恋が思い出に変わる
シグナルなのかもしれません。
またテキトーなことを口走りました。
すみません。

(燃え殻)

何度か断片的にcakesでこの小説を読んで、
もっと読みたくなり、本を購入しました。
本を読むと、既視感がありながら
ネットで読んだものと少し違っていました。
小説に出てくるビューティフルドリーマーという映画は
登場人物が、何度も同じような体験をして
その既視感から夢と現実があやふやになる物語ですが
現実の私たちも、何度も再放送された
この映画を見ることで既視感に包まれます。
このふわふわとして、それでいて
テンションの高い夢のようなイメージが
ネットで何度も目にするこの小説にも
当てはまるように感じ、不思議な気分でした。
燃え殻さんの見ていた長い夢を
一冊の本に閉じ込めたような作品でした。

(あんり)

振り返った時に、夢みたいだったなぁなんて言えたら
もうオッケーですよね人生。
それが悪夢でも淫夢でも
まるで夢みたいだった人生は、
退屈が少ないで済ませそうな気が最近はするんです。

(燃え殻)

小説を読んだというより
ひとつの歌を聴き終わったような読後感でした。
お気に入りの曲を聴くように何度も読み返しています。
お昼休みや電車でめくったページを少し読むだけで
小説の世界観がすーっと広がって心地いいです。

(morinote)

リズムを大切にしたいなぁと思って書きました。
それが間違った方法論なのかもしれませんが
色々なルールを知らない自分だからこそ
書けた小説になっていると
感じていただけたら嬉しいです。

(燃え殻)

面白かったです。そして、切なかった。
私にも、どうにも忘れられない人がいます。
別れて、15年くらい経った頃に
偶然遭遇してしまい、そのあと、
自分がおかしくなってしまった時期がありました。
もう少しでストーカーになる所だった。
というか、半分なってた。

消えない烙印の様に、刻まれてしまったひと。
そんなことなど何もなかった様に暮らしているけれど
何かの拍子に、一瞬で戻ってしまう。
私だけじゃないんだなぁー。
こんな思いしているの。
と、勝手に親近感を持ってしまいました。

燃え殻さんの毎日に
楽しい、幸せなことがたくさんある様に、祈ってます。
素敵な小説をありがとうございました。

(ちょち)

そちらの世界に逝ってしまわないでよかった。
ふと気が緩むと涙が出ることがある。
って人は辛いかもしれないけど、
生きてきたんだね自分とか
たまに言ってしまっていいと思います。
あまり褒めてくれる人、
いないじゃないですか生きてると。
ネットもリアルもすぐに
誤字脱字をみつけるようにあら探しと
本当のことだらけじゃないですか。
たまには傷をなでてやってください。

(燃え殻)

燃え殻さんの
「ボクたちはみんな大人になれなかった」
を読んでいると
いろんな匂いがたちこめて
その染み込んでくる匂いの余韻に包まれていると
ついつい読書中にまどろんでしまいます。
そして、まどろみから目覚めてまた続きを読むという。
そのまどろみ込みの読書の時間がとても良かったです。

燃え殻さんの小説を読み終えたら
The ピーズの「グライダー」が聴きたくなりました。
まどろみながらも背中に重みを感じ、
低いところを浮かんでいるようです。

(ki-machan)

The ピーズの「グライダー」を
新宿の街を歩きながら聴くのが自分は大好きです。

(燃え殻)

ワタシは44歳なのでほぼ同級生です。
大人になるってなんだろう。
まわりには大人と思われているフシがあるけど
自分としてはよくわかりません。
年齢は間違いなく大人、仕事もして介護もして
ちゃんとした大人のように見えるらしいけど。
ボクも側から見たら
ちゃんとした大人に見えるんでしょうね。
あの時、あーしてたら。こーしてたら。
過去は変えられないし、今はその
変えられない過去があるから繋がってるわけで。
胸が締め付けられる想いを時々思い出して
ワザとせつなくするような時間を持つのは
大人の感傷なんですかね。
そんなことを思わせてもらった本でした。
何度も読み返します。
燃え殻さんと飲みに行きたいです。

(はなゆり)

そんな戻れない何処かを抱えながら
生きてるあなたはきっと大人なんだと思います。
割り切れない何かを抱えて、
でも生きるんだって人と飲むジンリッキーは
旨いことをボクは知っています。

(燃え殻)

私は燃え殻さんより4つ年上で
童貞を失うのは5年くらい早くて
サブカルよりもロックにハマって暮らしていました。
燃え殻さんとは似てないですね。
でも、フリーターしながら
バンドマン生活を送っていた頃
いつもすぐ近くにいてくれた
「自分自身よりも好きな人」に
将来が見えない怖さを
慰めてもらいながら生きていたあたりは
なんだかちょっと似ているのかなって思っています。
あ、それから、周りよりちょっと要領よくて
それでどうにかこうにか形にしてきたあたりとかも?
そして去っていった人たちを見返したいって
どこか思ってきたあたりも?
‥‥これは小説の中だけの話かな。

わりとあっという間に読み終えてしまったのですが
それでも、中盤以降3回ほど、
手を止めずにいられませんでした。
感情がぐっと前に出てきて
読み進められなくなったり、
これ以上未読ページが減るのが嫌になったり。

『美味しいもの、美しいもの、面白いものに出会った時、
これを知ったら絶対喜ぶなという人が近くにいることを
ボクは幸せと呼びたい。』

喉の奥からグゥって音がして、
近くにいた妻が不審げな顔で私を見たけど
気がつかない振りをして読み進めました。
でも、すぐその後の
『霞のかかった目的地は、いつまでも霞がかかったまま』
のあたりで、ちょっとどうにもならなくて
開いたままの本を裏返して置きました。
自分がどんな顔をしているのか見当もつかなくて
顔を見られないようにとトイレへ向かいました。

なんだか少し気分が晴れない日がここ数日続いていて。
自分が「価値」だと思っていたことが
ただの独りよがりだったって気づいたり。
強がりや自己弁護のために
あちこちで言い続けてきたことに
すっかり自分自身が信じ込まされているって
改めて気づいたり。

ただなんか、読み終わったら
しばらくは自分自身に優しくしていてもいいような
気分になれました。
そして、不安を必死に
隠し続けてきた私を「アナタ」と
街のあちこちでトレイントレインが
流れていたあの頃から呼び続けてきてくれた人と
違う何かを探す旅に
一緒に出てもいいかなって気持ちになってきました。

燃え殻さんありがとうございました。

(Pachi)

こちらが癒されてしまった。
自分の小説の使い回しになりますが、きっと
どこへ行くかじゃなくて
誰と行くかなんですよ、きっと。
良い旅を。

(燃え殻)

2017-09-22-FRI

(つづきます)