燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。 燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。
燃読者のみなさんの感想と、燃え殻さんからのお返事。その4

わたしは今恋をしている。
その恋は長くは続かない予感のあるもの。
どうしようもなく幸せで、
どうしようもなく切ない。
切ない、という言葉を使うわたしは滑稽で、
それが恋なのだねと客観で笑ってしまう。

ほぼ日を通じて燃え殻さんを知りました。

「フェイスブックで昔の彼女に友達申請する」、
未来か過去か、いつの話なのかな…と

どきどきしながら、待ちきれなくて
発売初日に本屋さんで買って読みました。
文章や映像とか、
恋愛についてのことにすがりたい時期で。

よかった。読んでよかった。
過去のどうしようもないしあわせを、
未来へと抱いていける最高の恋の話だった。

わたしも、今のわたしを最高の恋にしたい。

(かなこ)

暖がとれるほど、あなたの文面から
恋をしてる人特有の熱を感じました。
いいなぁ(こんな感想ですみません)。

(燃え殻)

きっと大根監督で映像化の話が進んでいるのかなあ、
なんて想像していますが、
個人的には橋口亮輔監督で見てみたいな、と思いました。

心をガードする膜を全部はぎ取った、
生の感情をフィルムに焼き付ける監督だと思っているので、
主人公の目というフィルターを通さない登場人物たちが
どんな風に描かれるのか、見てみたい気がします。

ドラマ版→大根監督、
映画版→橋口監督、
なんて贅沢、どうでしょう?

(ジョゼ)

そんな素敵なことが実現したら
飛び上がって喜んでしまいそうです!

(燃え殻)

「最愛のブス」である彼女が、
「今度CD持ってくるね」といったままおわりにした、
その気持ちを少し、考えてしまいました。
たぶん、カードを見られたことを気づいて、
それからどんなふうに心が移り変わったんだろう、って。

その彼女は、ほんとうに強かったんだろうか、って。

私にも、昔にそういう風に、
いまの自分をかたちづくるものを
与えてくれたひとがいました。
かなり悲惨な終わり方だったので、
思い出さないようにしていたことが
たくさんあったのですが。

情けなかったあの頃の自分、そしてその自分が、
信じるものが欲しいあまりに絶対にしてしまった、
たぶんほんとうはそんなに強くはなかった
そのひとにまた、会えた気がしました。

不思議な小説です。
濃度があるのにどろっとしていない、
だからいろんなことを、思い出せたんだと思います。

いい時間を、ありがとうございました。

(ゆめこ)

自分の中にある答えをキーボードで
思わず打ち込んでしまいそうになりました。
答えはそれぞれの中に。
ただ強そうな人ほど弱いなんてことも
あるんじゃないかなぁと、
ここまで生きた人間としては思ったりもします。

(燃え殻)

あの頃についてしまった嘘を、
嘘をついてしまった自分を
今まで悔やんだこともあったのだけど、
もう良いのかもと思えました。

ごめんねって、ありがとうって。

本当に読んで良かったです。

燃え殻さん、ありがとう。

(しずたろ)

取り返しのつかない事もたくさんありますよね。
綺麗事で済まない事もたくさん。
少なくとも自分にはいくつかあります。
自分の為に書いた部分もあります。
それが誰かにとっての
鎮魂歌のような存在になれたら嬉しいです。

(燃え殻)

燃え殻さん、はじめまして。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」
読ませていただきました。
自分はまだ21歳ですが、
かつての自分の大切なさみしさ、弱さと重なるようで、
もう何度もこの本のフレーズを
思い出しては胸を焦がしています。

今回ほぼ日から感想を送ろうと思ったのは、
どうしても「東京という町に心底愛されたひと」の章で
気になったことがあり、
どうしても燃え殻さんに訊いてみたくなったからです。

この章の最後、会場を出た主人公はスーと会い、
初めて言葉を交わしますが、
この時の内容がcakes連載時のものとは大きく異なっており、
主人公がスーに少なからず惹かれているような、
エロい表現がカットされていました。

cakes版も小説版も何度も読み返して、
どちらの文章も好きなのですが、
小説版で大きく表現を変えたのは
何か意図があるのでしょうか?
もしよろしければきいてみたいです。

(ORZ)

スーと主人公の
直接的なセックスシーンはすべてカットしました。
cakesでは時系列が違う中で、
彼女とスーに出会うので問題ないとしたんですが、
小説にした場合は同時期に出会う設定になってしまった為、
彼女の存在が薄れてしまうので、
スーとの直接的なシーンはカットしました。
当初はスーの存在自体を消してしまう案もありました。
ですが、個人的にスーと主人公の
やりとりの回が好きだったので、
内容を修正して物語に組み込む道を選びました。

(燃え殻)

近くの本屋になく、紙媒体で読みたかったので
やっと置いてある本屋に行けて
手に入れることが出来ました。
一気読みしました。

私は今24歳で、
燃え殻さんの20年前頃にあたる年齢です。
私はいい意味で忘れられない元彼がいて
私という人間を構成するのに
大事な事を沢山教わった人がいました
その人の事を思い出しました。
懐かしい気持ちになり
あの時あった大事な気持ちを忘れてはいけない
これから出会う人も
短い関わりである事がわかっていても
大切にしようと思いました。

読んでしっくりきた、というか
「ああ、この本が読みたかった」と感じました。

医療福祉関係の仕事をしているのですが
沢山の方と触れ合い
一人一人の人生がドラマだな、と感じます。

産まれ方生き方、そして逝き方。
わたしもまだ大人になれていません。

(汐理0812)

たいへんなお仕事と想像します。
「大人になれていません」と綴ったあなたの謙虚さが
きっと日々のお仕事で接するであろう患者さんや
そのご家族に安心感と安堵感を
与えているような気がしています。
どうかお身体ご自愛ください。

(燃え殻)

「私はいままで本当に恋愛をしてこなかったんだな」
と思いました。

私は仕事とセックスが好きなので、
エクレア工場や制作会社でのシーン、
ラブホテルでのセックスのシーン、
どちらもうんうんと頷きながら読んだのですが、
かおりさんへの思いが綴られるシーンだけ、
ぼんやりとして、
「そういうものなのか…」と思いました。
小説だからぼんやりとして悪いことはないのですが、
この小説の要が(帯のコピー等から察するに)
恋愛なんだとしたら、自分はちょっと
薄い読み方をしてしまってる気がしました。
燃え殻さんが男性で
自分が女性っていうのもあるのでしょうか。
この感情に近いもので、自分にあてはまるのは、
女友達への友情かな、と思いました。

自分とかさならなくておもしろくなかった、
という感想ではないです!(笑)
おもしろかったです。

「いま」という感じがしました。
10年後の30代40代が読んだら
どんな反応をするのかなと思いました。
今と変わらない気がします。

(32歳美人OL)

時が経って、
また読み返して頂けたら嬉しいです。
その時はまた、違った感想を持って頂けたら、
それ以上の喜びはないです。

(燃え殻)

燃え殻さん。

たくさんの方があなたの小説を絶賛し、
そんなに良いのかと思い、
紀伊国屋書店で出版日に
はじめの数ページだけ立ち読みしました。

ぶん殴られた気分になって、
この本はテスト期間に
なんとなく読んじゃダメだって思って保留したら、
数日後にはなくなって。

でもちゃんと、
その更に何日かあとに確保したんですよ。
再入荷を待って、ちゃんとテストも終わらして、
単位はないかもだけど。

でもそれから一ヶ月近くたって、
まだ読めてないです。

当たり前のことだけど、本は読んだら終わります。
もう読めないんです。
はじめの一撃はもう受けられない。

ずっと本棚で、
ブックカバーも外されないまま佇んでいるその本を、
時々可愛そうだなと思い手に取って、
数ページ読んで戻してしまいます。

僕も同じような恋愛をしました。
普通に死ぬまで一緒だと思っていた、
僕しか良さがわからない彼女が、
あっさり大学に入って垢ぬけて別の彼氏を作りました。

僕はこの本を読んでもいいのでしょうか。
感想とは言えないこのような文章は、
あなたの目に届くのでしょうか。
それとも誰かが弾いてしまうのでしょうか。

ちゃんと読んで、感想を送ったら、
それをまた燃え殻さんが読んで。
そうしたら、僕の物語は、
僕とあなたの物語になるのでしょうか。

大阪は空がクソ汚いです。

(国語しかできない僕)

心の傷口から血が吹き出てる期に、
メールをありがとうございます。
あまり読む気にならない時はできればそのままで。
もしくは本をぶん投げてもらっても構いません。
周りに人やモノがないことを確認してください。
生きてるとままならないこともあります。
それが人生なんて綺麗事で
片付ける気にもならないのですが、
「良い事も悪い事もそう長くは続かない」
という大槻ケンヂさんの言葉を贈ります。

(燃え殻)

私自身は、小説になるような人生は送ってこなかった。
でも、この本を読むと何故か「あの頃」に戻ってしまう。

何かを書くということは、自らの魂の断片を切り取って
その断面を見せてくれている事だと、思う。

「あの頃」に戻ってしまうのはきっと、
魂の共鳴なんだなあ‥‥。

四十数年生きてきて心のまわりの殻も
ずいぶんとしっかりしてきたけれど、
その真ん中のいちばんやわらかい所にいる、
忘れられない、思い。

何かのきっかけでフラッシュバックして
強い光に目が眩み、足が止まる時がある。

それでも人生は続いていくし、
廻すべき日々はやってくる。

みんな、そんな柔らかくて泣きそうで
塞がらないものを抱えて生きていくんだなって。

そんな思いの傍らにいてくれる、
この本に会えて、良かった。

(sea_0819)

凸凹が生きてるとたくさんついてきますよね。
うまく隠したり、たまに人に見せたりして、
どーにかこーにか生きています、
少なくとも自分は。

(燃え殻)

ちょうど知り合いの不登校の息子さんに
初めてあった日に読みました。
その日彼が言ったひとことに
大人としてつまらないアドバイスをして
落ち込んでいた時だったので響きました。

ナオミみたいな大人を目指したいって思った。

(ゆっきー)

うまい一言がその人を救うか怪しいなぁ
と自分は思います。
その彼にまたつまらないアドバイスを
送ってみたりしていいと思います。
ちょっと気になっちゃってさ、
ぐらいの気持ちが一番救うんじゃないかぁと
無責任ですが思うんです。

(燃え殻)

ウェブも単行本もとてもよかったですが、
不揃いでもウェブ版のほうが
心を振るわされることが多かったです。
質問としては、なぜおばあさんの話は
なくなってしまったのでしょうか。

また、根源的なところとしては、
さえない毎日を解消するには、
異性との交際、または異性から承認が
最も効果的とお考えでしょうか。
けっきょく、救われるかどうかは
そこなのかと思ってしまったりも。
たぶん、良くも悪くもそうなんだと思いますが。

(えもらが)

この小説では「ボクと彼女の物語」を
根幹に据えたので泣く泣くカットしました。
さえない毎日を解消するには
異性との交際、承認が
もっとも効果的だとは思っていません。
そうじゃない人間も自分はたくさん知っています。
この小説は一例です。
他の何かに置き換えて読んで頂けると幸いです。

(燃え殻)

学生の頃、楽しい時間を一緒に過ごした人との
同窓会明けの朝、
秋晴れの涼しい風に当てられたような、
妙な切なさが残りました。

そして、燻った余力を使い果たしたくなる、
こり固まったエネルギーをぐっと押してくる、
言葉の数々でした。

意図されてか、制作上の都合か、
最後1ページ白紙のページが入っていたのは
何か意味を込めていたのでしょうか。

なぜか、あのページが目に飛び込んで来た時、
無性に泣けて来ました。

これからの未来、明日のこと、
主人公の彼と並ぶ彼女のウエディングドレス姿、
友人の未来、忘れて行く昔のこと、
全部、見えないシミになって、
そこに映し出されている気がして、あのページに、
勝手な解釈ではありますが、胸を焼かれました。

良い時間をありがとうございました。

(ささきなお)

わ、答えは言わない方がいいですね。
ただこの感想を読んで、
なるほどーなんて思ってしまいました。
素敵な感想をありがとうございます。

(燃え殻)

2017-09-15-FRI

(つづきます)