燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。 燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。
燃読者のみなさんの感想と、燃え殻さんからのお返事。その3

女ですが同じ経験をたくさん見つけて、
封印してた過去がカラーで蘇りました。

私の何者でもないバイク事故は赤坂でした、
手助けしてくれたのは工事現場のおじさんでした。

七瀬のセリフ「もしかしてないのよ人生」
似た言葉を五反田のママに言われました。

むげん堂や高円寺、ラブホテル、激務、デザイン‥‥
今は連絡がとれない会いたい人がたくさん浮かびました。

良い時間を過ごせそうです。
今の私をあの頃の私が見たら、
叶っているけど普通だね。と言われそうです。
でもその何てこと無い普通も大切にしたいと思います。

閉じていた箱を開けても良い時だと思えました、
ありがとうございました。

(あやのすけ)

小学校の通信簿で全教科「ふつう」だった自分を
担任は
「ふつうってのは難しいことだぞ、よくがんばったな」
と言ってくれたことを覚えています。
今日、ふつうの一日でした。
それはきっと幸せなことなんだと思っています。

(燃え殻)

『ボクたちはみんな大人になれなかった』
cakes連載時から読ませていただき、
書籍も書店を何軒もまわって購入致しました。

私はまだ20代後半で、作中で出てくるキーワードや
時代背景を知らないまま拝読させていただいていますが、
燃え殻さんの言い回しや書き方がとても好きで、
スッと心に入ってくるような感触を楽しんでいます。
ありがとうございます。

cakes連載時から拝読していた身として、
お聞かせ願いたいのですが、
書籍化にあたっていくつか
削除、修正された章があると思います。
よろしければ理由などをお聞かせください。

個人的にですが、なくなっていたシーンに
好きなところがあったもので、
少し名残り惜しく思ってしまいました。

(ぽん)

書籍化にあたって削った部分、
変更した部分は細かい部分も含めると相当あります。
手を入れた理由は「ボクと彼女の物語」を
背骨にした小説にするという目的のためです。
その根幹から大きく反れてしまう出来事は削ったり、
言葉の変更などをして改めて組み上げていきました。
cakesの時の生々しさが削がれたと言われる事も
覚悟の上で削りました。

(燃え殻)

28歳です。広告の仕事をしています。
就職してから1日を生き抜くが精一杯な日々です。
死んだ魚の目で丑三つ時に捻り出した自分のアイデアが、
煌めきようもなく媒体や電波に乗って飛んでゆきます。
煌めけ、素敵になれ、と、
呪いをかけた案件が少しでも誰かを
ときめかせればいいと思いながら働いてます。
隣にいる誰かを喜ばせる事も出来ず、
何処かの誰かを喜ばせる事ばかり考えています。

主人公の人生のバランスの悪さが自分の事のようで
内臓がギュッとなりました。
何事も突き詰めずに置いたままの事がたくさんあって、
白黒つかないまま同時進行していく感覚で過ごしてます。
RPGのように一つの事件を解決しないと前に進めない、
他の人の人生はそんな仕組みなのかと思ってました、
この本を読んだらどうやらそうでもない人も
いるのかなと少し温かい気持ちになりました。
何時でも全部が同時進行で、
過去と今の線引きが上手くできない私も、
大人にはなれないままなんでしょうか。

(ゆのか)

物事には、片付ける事と、置いて置く事と、
忘れる事があると思います。
そんなに全部うまくいきませんよ。
今分からない事は平気でちょっと置いて、
次に進む事も時には大切だと思います。
(半分以上、自分に向けて言っています)

(燃え殻)

同い年の主人公の20代を追体験しながら、
昔の自分の姿を重ね合わせました。
過去を振り返ると後悔ばかりだけれど、
その思い出があるから
今も何とか頑張れている自分がいます。
もしいつか、当時の彼女と再会した時に
落胆されるのだけは嫌だよなって。
男はいくつになっても見栄っ張りですね。
大変面白かったです。ありがとうございました。

(poisoncherry)

そんな自分すらいつか許せる日が来る気がします。
だいぶ許せるように自分はなってきました。
悲劇も時が経つと喜劇になるんだなぁなんて思いつつ。

(燃え殻)

社会や周囲の人間と照らし合わせて
「自分はどうか」、
「基準をクリアしてるか」、
そうやってあらゆる人や物、
事と比較しないと幸せというものを
捉えることができなくなってしまいました。

20代に入ったばかりですがもう疲れました。
しんどいです。

自分にしか見えなくてもいい、
他人にとってはゴミでもいい、
そう思えるような幸せを探そう。

この作品を読んでそのように感じました。

(シャロン)

「幸せになるためには他人と比較しないことだ」
とアッサリ言い切ったとしても
それを完全に出来る人は本当にごくわずかな気がします。
でも部分部分でも他者と比べない場所を
作っていくことは大切な気がします。
本当に難しいけれど。

(燃え殻)

若かりし日を思い出して、甘酸っぱい気持ちになった。
昔大好きだったあの人との記憶が
ありありとよみがえり涙が出た。
感動とか悲しいとかそういう涙とは違う感じの涙。

あれは若かったからなのか、
出会った相手が良かったのか、
私の心の中にいるあの人もやっぱり最高だった。

彼の部屋のシングルベッドで2人で寝ても
狭いとは思わなかったし、
今だったらちょっと不潔な感じがしてしまい
嫌になってしまったラブホテルも、
2人だけの楽園だった。

私も小説の主人公と同じくらい、
彼のことが好きで、自分よりも好きで。
同じタイミングで死にたいと思ったこともある。
もしくは、彼が寂しい思いをするのは嫌だから
看取りたいとも思った。

今は夫が先に死なれるのはめんどくさいから、
看取って欲しいと思ってるのに(笑)。

否定するでも肯定するでもなく、
あのときの全てがあれはあれで良かったんだと思えた。
一緒になることはなかったから良い思い出なのかもしれない。
それはもうよくわからない。

思い出の中のカレに感謝した。

(もじろう)

「看取りたい」って気持ち分かるなぁ。
看取って欲しいに変わるところまで分かるなぁ。

(燃え殻)

(すごく上から目線な意見かもしれませんが)
小説を出版した勇気というか心意気が素晴らしいと思います。
強い人なんだなと思います。
ネットで火がついて、糸井さんやその周辺の方々からの
バックアップを武器に
(してないと思いますが
 世間ではそのように見えているのでは)
小説家としてデビューして
いっきに7万部も売れるということで、
やっかみややっかみややっかみがとても飛んできたと思います。
そして、それは想定内だったのではないでしょうか。
本当に勇気のいることだったと思いますし、
傷ついたりもしているのだと思います。
でもそれ以上に多くの人が読んで
素晴らしいと言っていることが喜びでしょうし、
大丈夫だと言ってくれる人たちが支えでしょうし、
吐き出したかった(小説として)のが吐き出せて、
きっとすっきりしてもいるのだと思います。
うらやましいです。
燃え殻さんに感想が届けられますという企画に、
のりましたが、感想を届けたいというよりも讃えたい、
とか、大丈夫ですか、とか、大丈夫ですよ、
とかを言いたかったのでこのように書くことにしました。

(ニナ)

自分は強い人間なんかじゃないのですが、
この小説に関しては
途中で投げ出すのはやめようと心に決めていました。
色々なことを言われるとは思っていましたが
(実際そうですが)自分の中で形にして
残したい物語だと心から感じていたので、
これだけはやり遂げたいと思っていました。
あたたかいメールありがとうございます。
あまり大丈夫じゃないですが、
そんなにツラくもありません。
つまりいつも通りです。もう少しだけ頑張ってみます。

(燃え殻)

大学のテスト終わりの電車で本を読んで、
読み切りたくて折り返すほど続きが気になりました。

自分よりも好きな人ができたことがまだありません。
正確にいうと、好きという感情がよくわからずに
20年間生きてきました。
家族は大切という気持ちはあるのですが、
どうも他人にそういう気持ちを持たずに悩んでました。

燃え殻さんの小説を読んで
少しやんわりですがそれを理解できた気がします。
忘れられない人ができる人生を歩んで生きたいです。
そのくらい全てに夢中になって生きたいと思いました。

まだ私には逆方向の電車に乗れる時間の猶予があるので
大切にしたいと思いました。

いつか私にも自分よりも好きな人ができるといいなぁ‥‥。

(かほ)

これから色々始まるんですね。羨ましいなぁ。

(燃え殻)

もうじき50になろうというのに、
未だに全く成長していない‥‥、
もう諦めながら持て余している小部屋が、
心の中にあります。

じつはその小部屋は、昔、
「世界中で二人ぼっちだった
 クーラーの効きすぎているラブホテル」が
入り口になっていたんだ‥‥と、
燃え殻さんの小説を読んで気づいてしまいました。

必死に誰かにしがみついていないと
生きて行けなかった、20代の自分。

彼氏と二人ぼっちになることで、
かろうじて息がつけて、
そこが唯一無二の安息の地のように感じられましたっけ。

大人になるって、なんでしょう。

そんな心の中の小部屋を、
持て余しながらも大切に持ち続けることでしょうか。

20代の自分が‥‥あの時の切羽詰った、
ギリギリの自分が、今でそのまんま私の中にいて、
愕然とする事があります。

そして、そんな自分を、
温かく包んでいる自分も、今は私の中にいます。
そういうことが、大人なるっていうことなのでしょうか。
わかりません。

まさか50歳手前のおばさんが、
こんな風にジタバタしているなんて‥‥。
昔は想像も出来ませんでした。
笑えるやら呆れるやら‥‥。ね。

(あっちゃん)

時にかさぶたになった部分は痒くなったり、
無理矢理剥がそうとすると血が吹き出たり、
いつまで経っても元通りにはならないのかもしれませんが、
その傷も生きてきた証だ!
ぐらい思って毎日を繋げていくしかないですよね。
今年、自分は44才になります。
我ながら引いてます。笑えるやら呆れるやら。

(燃え殻)

15年の付き合いになる友人のバンドの
ライブを見に行く電車の中で読みました。
着くころに読み終わって、
15年前にその友人が好きだったことを思い出しました。
気持ちを伝えた事もないし、
これからも伝えないけど
これで良かったんだと思えました。

(もちこ)

なんかいいですね。
ありますよねそういうこと、ありますあります。
この先もまた色々あるかもしれませんし、
ないかもしれませんし。なんかいいですね。

(燃え殻)

胸の奥に置き去りにして忘れていた(と思っていた)
ほろ苦くも甘い想いを引きずりだされた感覚でした。
あの時代のあの場所の風景、
音、におい、空気感、肌触り‥‥
全てがリアルに押し寄せてきて
小説の中に入り込み私もその場所に一緒にいて、
何とも言えない気持ちになりました。

小説を読んでこんなに感情移入してしまったのは初めてで、
それは小説を読んでいるというよりは、
自分の過去とリンクさせ繋げて
帳尻を合わせていくような感覚で、
読んだ後もそのなかに浸っていたいような‥‥。
でもすっかり大人になった自分には、
もう戻れない時代の色んな心残りのようなものが
キラキラした宝石のように思えてきて
何だかスキップしたくなるような
嬉しい気持ちになりました。

『男は過去の自分に用がある。
 女は未来の自分に忙しい。』

今の自分と未来の自分に忙しかった私が
過去を振り返って愛しく思える時間を
ありがとうございました。

(シナモン)

過去形で人は幸せを確認するもんじゃないかなぁ
と本気で思ってます。
「幸せだった」なんて感じで。

(燃え殻)

いま、大好きな人を、とりあえずいま、
全力で大好きでいようと、思いました。
牛乳シーフードヌードル美味しかったです。

(さるほん)

いいなぁ。

(燃え殻)

2017-09-08-FRI

(つづきます)