秋空の下のマーケット 「もみじ市」がやってきます
その8 手紙社さんにて ♯5     ぜんぶそろったときの感動。

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山下 600人からはじまったイベントが
2万人を超える動員になっているわけですけど、
増え方はどうだったんでしょう?
じわじわという感じでしたか、
それともある時急に?
北島 うーん‥‥どうなんだろう。
わたなべ 会場を大きくするたびに、
その大きさに合わせて増えたような、
そんな印象はありますけど‥‥。
セソコ そうですね。
北島 あとは、急に増えたという意味では、
やっぱりあの日ですね、台風のとき。
スギエ ああー。
北島 1日目が台風で中止になったので、
2日目に来場者が集中したんです。
とうぜんですよね。
すごくお恥ずかしい話なんですけど、
対応が考えられてなかったんですよ。
みなさん駅からずーっと並んでくださって。

スギエ そうでしたね。
北島 何にも考えてなかったんですよ。
列を整理するスタッフさえ準備していなかった。
なのに、お客さんたちはみんないい人で、
しずかに並んでくださって‥‥。
あのときは
めちゃめちゃ落ち込みました。
わたなべ お叱りのメールも
あとでたくさんいただいて。
スギエ そうだったんですか。
わたなべ 食べ物がぜんぜん買えないとか、
どこに並んでいいかわからなかったとか、
人が多すぎたんですぐ帰りました、とか。
山下 ‥‥なるほど。
わたなべ いっぱいメールがきて、
もう無理だと思いました、あのときは。
北島 ‥‥うん、そうだね。
そういう意味でも、
あのときが大きな分岐点でしたね。
山下 分岐点。
北島 やめようかっていう話までになったんです。
スギエ そこまで、だったんですか。
北島 秋から年明けまで、ずっと考えました。
続けるのか続けないのか。
なぜ続けたいのか。
続けるならどうするのか。
みんなでも話し合って、
それで‥‥
新年、最初に出店者に送る手紙に
「もう1回、リベンジさせてください」
って書いたんです。

山下 ああ、よかった(笑)。
北島 みんなのなかで、
そういうきもちが出てきたんです。
スギエ またやれるって思えた理由は
なんだったんでしょう?
わたなべ お叱りのメールもいただいたんですけど、
それ以上に
「応援してます」「次はがんばってください」
っていうメールをいただいたんです。
スギエ ‥‥そうですよ。
たのしみにしている人が
たくさんいるんですから。

北島 あとは、覚悟を決めました。
たとえば食べ物のお店は、
ある程度お出しするのに時間がかかるので、
どうしても列ができてしまうんです。
わたなべ でも、それは、
ひとつひとつ手づくりだからなんですよね。
北島 そうなんです。
ぼくたちはそういうのを見てもらいたくて、
もみじ市を始めたのだから、
行列ができることを受けとめようと。
そこに並ぶ自由も、並ばない自由もあるということを
お客さんに伝えていこうと。
山下 なるほど‥‥。
あとは天気のこと‥‥
「大雨かもしれない」っていうのは、
もう、イベントが根本的に
中止になってしまうリスクですよね。
北島 そうですね。
山下 それでもやっぱり、野外がいい。
北島 そうですね(笑)、
やっぱり、外の気持ちよさが。
わたなべ もともと「市」っていう
テーマがあってのことなので。
山下 ああ、そうか、「市」なんですよね。
わたなべ 誰でも来られるマーケットにしたい
っていう気持ちがもともとあって、
それで「市」にしたんです。
スギエ なるほど。
わたなべ お天気のこわさはありますけど、
すべての条件がそろったときの
気持ちよさっていうのは‥‥。
スギエ 最高ですよね。
北島 ぜんぶそろったときの感動は、
ほんとにすごいですよ。
わたなべ そうですね。
北島 ‥‥これ、
去年の「もみじ市」のとき、
「出店のお願い」のために
作家さんたちへ出した葉書なんですけど。

スギエ はい。
北島 これはその前の年に、
はじめて多摩川の河川敷でやったときの
絵なんですよ。
日曜日に、ぜんぶが終わって、
「ああ、よかったねー」
「天気ももって、よかったねー」
って言いながらみんなで空をみたら、
鳥がぱーっと、
こういうふうに飛んでたんです。
わたなべ 最高でしたよね。
北島 もう、泣きそうになりました(笑)。
スギエ 泣いちゃいますよ、それは。
北島 そのときに、やっぱり外だよなあと思って。
この気持ちよさは、
なにものにも代え難いと思いました。

山下 ‥‥ことしも、
ぜんぶがそろうといいですよね。
スギエ ほんとに。
北島 当日が近づいてくると、
天気予報ばっかりみてるんです(笑)。
山下 ぼくらも、祈りますよ、晴れを。
スギエ 祈ります!
北島 ありがとうございます。
山下 準備がたいへんな時期に
貴重な時間をありがとうございました。
当日、たのしみにしています。

  (手紙社さんへのインタビューを終わります。
 来週は参加する作家さんの
 座談会をお届けいたします。おたのしみに!)

2010-10-09-SAT
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