山下 | 600人からはじまったイベントが 2万人を超える動員になっているわけですけど、 増え方はどうだったんでしょう? じわじわという感じでしたか、 それともある時急に? |
北島 | うーん‥‥どうなんだろう。 |
わたなべ | 会場を大きくするたびに、 その大きさに合わせて増えたような、 そんな印象はありますけど‥‥。 |
セソコ | そうですね。 |
北島 | あとは、急に増えたという意味では、 やっぱりあの日ですね、台風のとき。 |
スギエ | ああー。 |
北島 | 1日目が台風で中止になったので、 2日目に来場者が集中したんです。 とうぜんですよね。 すごくお恥ずかしい話なんですけど、 対応が考えられてなかったんですよ。 みなさん駅からずーっと並んでくださって。 |
スギエ | そうでしたね。 |
北島 | 何にも考えてなかったんですよ。 列を整理するスタッフさえ準備していなかった。 なのに、お客さんたちはみんないい人で、 しずかに並んでくださって‥‥。 あのときは めちゃめちゃ落ち込みました。 |
わたなべ | お叱りのメールも あとでたくさんいただいて。 |
スギエ | そうだったんですか。 |
わたなべ | 食べ物がぜんぜん買えないとか、 どこに並んでいいかわからなかったとか、 人が多すぎたんですぐ帰りました、とか。 |
山下 | ‥‥なるほど。 |
わたなべ | いっぱいメールがきて、 もう無理だと思いました、あのときは。 |
北島 | ‥‥うん、そうだね。 そういう意味でも、 あのときが大きな分岐点でしたね。 |
山下 | 分岐点。 |
北島 | やめようかっていう話までになったんです。 |
スギエ | そこまで、だったんですか。 |
北島 | 秋から年明けまで、ずっと考えました。 続けるのか続けないのか。 なぜ続けたいのか。 続けるならどうするのか。 みんなでも話し合って、 それで‥‥ 新年、最初に出店者に送る手紙に 「もう1回、リベンジさせてください」 って書いたんです。 |
山下 | ああ、よかった(笑)。 |
北島 | みんなのなかで、 そういうきもちが出てきたんです。 |
スギエ | またやれるって思えた理由は なんだったんでしょう? |
わたなべ | お叱りのメールもいただいたんですけど、 それ以上に 「応援してます」「次はがんばってください」 っていうメールをいただいたんです。 |
スギエ | ‥‥そうですよ。 たのしみにしている人が たくさんいるんですから。 |
北島 | あとは、覚悟を決めました。 たとえば食べ物のお店は、 ある程度お出しするのに時間がかかるので、 どうしても列ができてしまうんです。 |
わたなべ | でも、それは、 ひとつひとつ手づくりだからなんですよね。 |
北島 | そうなんです。 ぼくたちはそういうのを見てもらいたくて、 もみじ市を始めたのだから、 行列ができることを受けとめようと。 そこに並ぶ自由も、並ばない自由もあるということを お客さんに伝えていこうと。 |
山下 | なるほど‥‥。 あとは天気のこと‥‥ 「大雨かもしれない」っていうのは、 もう、イベントが根本的に 中止になってしまうリスクですよね。 |
北島 | そうですね。 |
山下 | それでもやっぱり、野外がいい。 |
北島 | そうですね(笑)、 やっぱり、外の気持ちよさが。 |
わたなべ | もともと「市」っていう テーマがあってのことなので。 |
山下 | ああ、そうか、「市」なんですよね。 |
わたなべ | 誰でも来られるマーケットにしたい っていう気持ちがもともとあって、 それで「市」にしたんです。 |
スギエ | なるほど。 |
わたなべ | お天気のこわさはありますけど、 すべての条件がそろったときの 気持ちよさっていうのは‥‥。 |
スギエ | 最高ですよね。 |
北島 | ぜんぶそろったときの感動は、 ほんとにすごいですよ。 |
わたなべ | そうですね。 |
北島 | ‥‥これ、 去年の「もみじ市」のとき、 「出店のお願い」のために 作家さんたちへ出した葉書なんですけど。 |
スギエ | はい。 |
北島 | これはその前の年に、 はじめて多摩川の河川敷でやったときの 絵なんですよ。 日曜日に、ぜんぶが終わって、 「ああ、よかったねー」 「天気ももって、よかったねー」 って言いながらみんなで空をみたら、 鳥がぱーっと、 こういうふうに飛んでたんです。 |
わたなべ | 最高でしたよね。 |
北島 | もう、泣きそうになりました(笑)。 |
スギエ | 泣いちゃいますよ、それは。 |
北島 | そのときに、やっぱり外だよなあと思って。 この気持ちよさは、 なにものにも代え難いと思いました。 |
山下 | ‥‥ことしも、 ぜんぶがそろうといいですよね。 |
スギエ | ほんとに。 |
北島 | 当日が近づいてくると、 天気予報ばっかりみてるんです(笑)。 |
山下 | ぼくらも、祈りますよ、晴れを。 |
スギエ | 祈ります! |
北島 | ありがとうございます。 |
山下 | 準備がたいへんな時期に 貴重な時間をありがとうございました。 当日、たのしみにしています。 |
(手紙社さんへのインタビューを終わります。 来週は参加する作家さんの 座談会をお届けいたします。おたのしみに!) |
2010-10-09-SAT |