重松 | あのね、自分がいかにさ、 ムーミン好きかっていうのを見せてあげるよ。 仕事場にさ、2つパソコン持ってるんだけど、 そのマウスパッドがね‥‥。 |
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武井 | はい。おーっ。 |
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横里 | おーっ。ミイだー。 もう一枚は、ニョロニョロ! |
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武井 | もうこれ、使い込んだ跡が。 |
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重松 | でしょ。ほんと使ってる感じ、するでしょ。 これがねー。 |
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横里 | うーん、ほんとだー。 |
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武井 | フィンランドで買ってきたんですか? |
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重松 | うん、これ、ヘルシンキで買ってきた。 |
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武井 | ヘルシンキに ムーミンショップがあるんですよね。 |
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重松 | デザイン的にかっこいいんだよね。 |
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武井 | じゃあ僕のマウスパッドも、見てください。 |
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重松 | 何、武井さんもそうなの? |
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横里 | え、ムーミン? |
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武井 | 僕のはシブいですよ。 |
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重松 | あっ! |
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武井 | ムーミンやしきです。 |
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重松 | これも持ってる!(笑) 設計図だよね。 |
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武井 | お持ちでしたか。 |
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横里 | へぇー、かっこいいー。 じゃ、僕も。 いつもこの鞄に、 スナフキンをつけてるんです。 |
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重松 | あっ、ほんとだ(笑)! 何、何、もう、みんな、 そのへん(グッズ)から 来てるんだ、もうー。 |
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横里 | ぼろぼろになっちゃって。 フィンランドのお土産に貰ったんです。 あと、これ、武井さんから フィンランドのお土産で貰ったスナフキンの絵。 |
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武井 | たぶん原画のリプロダクトなんですが、 かわいいですよね。 |
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横里 | かわいい、かわいい。 |
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重松 | この絵いいね、うーん。 不思議なんだけど、みんな、 単に好きだっていうだけじゃなくて、 こうして身の回りに置いてるんだね(笑)。 |
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武井 | 置きますね! アラビアのカップはいかがですか? |
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重松 | 俺はね、たぶん、 現行のアラビアのマグカップ、 全て持ってると思うよ。 ほんとに集めてさ、 いちばん人気があって、 「在庫なし」だったのがね、 ミイなんですよ。 |
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横里 | へえー。 |
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武井 | おー、ミイが、意外! |
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重松 | ミイがね、斜面を滑り落ちるような 絵柄のマグカップ、 それだけが、いっつも、なくてね。 イッタラやアラビアを集めてる雑貨屋に リクエストを出して、やっと手に入ったんだ。 そうなんだよ、ムーミンって、 心の中で、少年時代の思い出として好きだった、 っていうんじゃなくて、 今、まさに、現役で好きなんだよ。 |
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武井 | 現役で好きです。 そういうものって、結構珍しいですね。 |
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横里 | だから身の回りに置いてるんですね。 |
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重松 | マウスパッドをミイにするとね、 小説に対して、ちょっと厳しい目が(笑)、 「あんた、またきれいごと書いて!」 とか言われちゃうんだよ。 |
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横里 | (笑)いいなあ。 |
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武井 | ニョロニョロのマウスパッドとは、 気分で変えてるんですか。 |
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重松 | そう、ニョロニョロはあまり反応がないから 寂しいな、とかさ(笑)。 いや、でもほんとね、 傍に置きたくなるんだよね。 つまり(横里さんのかばんを指し)、 スナフキンと共に君はいるわけだ。 |
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横里 | そうです、いつもこれで歩いてます! | ||||||||
武井 | 原作も読みますか? |
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横里 | うん、むかし読みましたよ。 |
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武井 | 僕はなんども読み返した文庫版が ぼろぼろになったので、 最近、単行本を買い揃えました。 読まないかもしれないけど、 置いておきたくて、 |
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横里 | ハードカバーの方? |
『ムーミン童話全集』 (講談社刊) |
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重松 | ボックスセットでしょ。 |
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武井 | そうです! ボックスセット。 |
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重松 | 俺、それ持ってる。 文庫で読んでてもね、 年取るとさ、 字がおっきな方が楽になるんだよね。 |
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横里 | おっしゃる通り。 |
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武井 | 原作でお好きなエピソードとかありますか? |
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『ムーミン谷の彗星』 (講談社刊) |
重松 | 彗星の話があったじゃないですか。 |
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横里 | あー、はい、はい、はい! |
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武井 | 『ムーミン谷の彗星』。 彗星が来るっていって大騒ぎになる。 |
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▲第28話「浮かぶばけもの屋敷」 |
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重松 | あと、洪水の話。 |
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横里 | 『ムーミン谷の夏まつり』。 |
『ムーミン谷の夏まつり』 (講談社刊) |
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▲第23話「ムーミン谷の冬の住人」 |
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重松 | それからさ、冬眠中に 1人だけムーミンが起きちゃった話。 |
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武井 | 『ムーミン谷の冬』! |
『ムーミン谷の冬』 (講談社刊) |
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『ムーミンパパ海へいく』 (講談社刊)
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重松 | で、あと、夏の終わりにさ、 ムーミンパパがみんなを連れて 島に行っちゃう話があるじゃない、 |
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武井 | 『ムーミンパパ海へいく』ですね。 |
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重松 | 原作を読むと、 不安だったり、不気味だったり、 少年たちが怖いと思うものが 結構入ってるんですよね。 子ども心の不安なところとか心配事を、 ムーミンが、結構背負ってくれてるんだよね。 |
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横里 | 単なるユートピアじゃないですもんね。 何回も世界の滅亡とか洪水とか、 そういうものに出くわします。 |
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武井 | 「飛行オニ」が現れるとか (『たのしいムーミン一家』)。 |
▲第1話「ムーミン谷の春」 |
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▲第2話「魔法の帽子」 |
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重松 | あと、モランだっけ。 |
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武井 | 冬の魔物! |
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重松 | みんなから嫌われちゃってさ、 この人が座ると凍りついちゃうみたいな。 でもムーミンだけが友だちになって。 |
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武井 | 近づいていくんですよね。 |
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重松 | みんなさ‥‥みんな、 寂しそうなんだよ。 |
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横里 | そうですね。 |
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重松 | 全体的に。 |
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武井 | パパはパパで孤独を抱えてるし、 ママはママで、何か1回、島に行ったときに ママがやることがなくなって、 ちょっとノイローゼ気味になっちゃったり。 |
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重松 | そうそう、そうなんだよね。 |
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武井 | そして絵を描きだすんですよね。 |
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重松 | そう、絵を描く。 そしてその絵に飲み込まれちゃうんだよね。 |
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武井 | そうそうそうそう。 そうか、みんな寂しさを抱えて。 |
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横里 | 寂しい。 寂しくて、いい。 |
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重松 | でね、ひとりぼっちの寂しさじゃない 寂しさってあると思うんだ。 つまり仲間はちゃんといてさ、 孤独感じゃないんだけど、 何か、そういう寂しさってあるんだよ。 それが、大人になってからの方が染みるんだよ。 |
2011-12-27-TUE