おもしろくて、寝てしまった
- 糸井
- 太田さんが台本や原稿を書くのは
完全にひとりになってからですか?
- 太田
- そうですね。
家に帰ってからとか、ま、あと移動中、
パソコンで書いてますけど。
だいたいひとりで書いてますね。
- 糸井
- そんなふうに書いてて、
ネタが、くたびれてないのがすごいね。
- 太田
- いやー、そんなこともないですよ(笑)。
ネタは、ほんとに、もうずいぶん前から、
なんか、枯れちゃったっていう意識があって。
その、もう、ほんっとに、
ちょっとずつ搾り出す、みたいな感じですね。
- 糸井
- それは、あらゆる仕事、みんなそうだから。
ずーっと枯れてると思いながら、
みんな、やってるんですよ。
- 太田
- うーん、そうなんですよね。
そうなんだろうなと思いながら
やってんですけど。
- 糸井
- たとえば収録なんかで、
咄嗟に出てくる言葉っていうのは、
反射神経みたいなもんですよね。
じつは、台本を書いたりするよりも
あっちのほうが重要でしょう?
- 太田
- そうですね。はい。
- 糸井
- あっちのほうが、
作家としての仕事以上に、
錆びたらダメでしょうね。
それが錆びてないから、
まったく問題ないと思うけど。
- 太田
- うん、それもね、なんか、なかなか(笑)。
- 糸井
- 太田さんの場合、テレビっていう場があるから
まずは、そのなかでやるっていうことを
基本にしてるわけですよね。しかも、
それがギャランティーになんないと困るわけで。
でも、しばらくすると、
ぜんぜん違うことを
やりたがるのかもしれないですよね。
いま、舞台っていうか、
劇場でやるコントみたいなのは
やってるんですか?
- 太田
- 2ヶ月に1回、
うちの事務所のライブがあるんですよ。
そこで10分ぐらいの漫才はやってます。
- 糸井
- あ、やってるんだ?
昔、ライブを僕が見たときは、
やりたいシーンでやり過ぎてましたよね。
- 太田
- ははははは、
糸井さんがいらしたのは、
たしか僕らの単独ライブですよね。
- 糸井
- うん。あれは、ある意味、ひどかった(笑)。
その、つくってる分量が多すぎて、
お客がついていけないの。
- 太田
- ははははは。
- 糸井
- お客が疲れ果てちゃうんだよね。
あれ、やり過ぎだよ。あれは、異常(笑)。
- 太田
- うーん、そうですねー(笑)。
- 糸井
- もう、西武の松阪みたいでしたよね。
ヒジが痛かろうとびゅんびゅん投げて
球数多いんだけど完投、みたいな。
打たせて取れよ、って思うんだよね、
観てると(笑)。
- 太田
- はははははは。
- 糸井
- でも、ああいうのを一度やんないと、
ふつうのものがなんなのか、
わかんなくなるもんね。
- 太田
- はい。
- 糸井
- あれはすごかったなあ。
オレ、途中、寝たもん。
どういうことですか(笑)。
- 糸井
- おもしろいんだよ。もう、おもしろいんだよ。
でもね、量がすごいんだよ。
だから、レコードで言うとね、
あれは、ビートルズの
『サージェント・ペパーズ』なんですよ。
はっはぁ~、なるほど。
- 太田
- (笑)
- 糸井
- いいんだけど、ちょっと多いんだよ。
あのへんのアルバムって、
かけるのにちょっと躊躇するでしょ?
『アビー・ロード』とか、
『レット・イット・ビー』とか、
ケンカしてる時代の、いい加減なやつは、
意外にOKなんですよね。
だって、『サージェント・ペパーズ』をさ、
ちょっと聴いてみるか、なんて、
軽く思えないもん(笑)。
太田さんの自覚としてはどうなんでしょう?
- 太田
- そうですねえ。
糸井さんがいらっしゃったのは
僕らの2期目のワンマン・ライブなんですよ。
だから、いっちばん、グワーーッっとなって、
ガンガンやる! みたいな時期で(笑)。
その一方で、まだ不安があるから、
あれも入れとけ、これも入れとけ、
みたいにしてやってましたからね。
だから‥‥たしかにそうですね。
- 糸井
- あはははははは。
でも、あれを見て、すいません、負けました、
って思ったのは間違いないから、
やってよかったのはたしかなんだよ(笑)。
いま、なにかやりたいっていうのは、
あるんですか?
- 太田
- いまはやっぱり、う~ん、そうですね、
コントですね、やっぱり。
- 糸井
- ああ、いいですねえ。