素材を活かした
シンプルな味付けが好きだ。
その潔さと奥深さを味わう。
お腹が満たされると次に
どんな人が作っているのか気になる。
厨房が見えるお店だとその人の様子が伺えるが
そうでないお店でも、わざわざ声はかけずとも
「美味しかったです。ごちそうさまでした」
と言ってお店を出たい。
料理を撮影するとき
ポートレイトを意識している。
お皿やテーブルのうえの料理は
ポートレイト=人物写真ではなく、
本来、スティル・ライフ=静物写真だ。
また料理写真はレシピやレポート、
エッセイなどの文章とともにあり
料理の内容や美味しさを説明するための図として機能する。
だからポートレイトを意識し料理を撮るときに
言葉や情報がその写真に添えられなくても
美味しさや美しさ、面白さなどが伝わるかどうか
考えながらファインダーを覗いている。
では人を撮るときはどうかというと
誰かに「写真を撮らせて下さい」とお願いをして撮るので
カメラに向かって撮らせてもらっている以上、
ポートレイト以外、何にもなり得ない。
自分がなぜポートレイトにこだわるのか。
カメラと眼に前にいる人との
シンプルな関係性がすぐに思い当たるが、
故にその人の姿を写真に定着することで
その奥深さを直感的に感じ、
写真のその類いの面白さに取り憑かれているのだ。
福島で潔く奥深い味と
それを作る料理人の写真をならべてみた。
猪苗代のイタリアンレストラン「アンクル」。
名物アルフレードのスパゲティは
アルデンテにチーズの柔らかい匂いが絡み癖になる。
シェフの中野真さんと奥様の道子さんがご夫婦で営む
イタリアの田舎のようなお店だ。
二本松の郷土料理、ざくざくが食べられると聞き
味噌と醤油蔵の国田屋醸造が営む「千の花」へ向かった。
食材を無駄にしないざくざくは丁寧に作られて
初めて食べるのになつかしさを感じる料理だった。
ラーメン「伊達屋」は行列ができる人気店だ。
隣にすわったお客さんに続き、塩ラーメンを頼んだ。
メニューは全て国産の豚や鶏ガラ、
野菜や魚介などからとったダシがベースになっている。
見た目に美しいスープは
さっぱりとしながらもしっかり印象に残る味だ。