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やえさんも秘密基地派ですよね。
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まさしく秘密基地です。
自分の本とか漫画とかがばーっと並んでます。
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本棚はかなり大きい?
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そうですね、いまの部屋で気に入ってるのは、
本棚がつくりつけだったことです。
もともとロンドンに駐在していた新聞記者の方が、
高齢になられて奈良に家を建て隠遁する、
東京の部屋はもう住まないからと言うので、
父の伝手で、安く貸していただくことになって。
読書家、蔵書家の方だったので
本棚はつくりつけのものがいっぱいあったんですよ。
さらに自分の持ってきた本棚もあって、
いまは壁面かなりの量が本棚になってます。
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いいな!
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僕、人んち行くとまず本棚を見るんですよ。
自分の本棚もそうで、
脳の中がちょっと覗けるというか。
同時に、人に来てもらったときに
光嶋裕介はこういう本読んでるんですよっていう、
当然、ある種のアピールにもなる。
それは、僕の場合は事務所でもあるっていうことで
パブリック性があるからでもあるんですが。
けれどもきっと完全に自分の部屋でも、
やっぱり本棚ってすごく大事だと思っています。
自分で確認したいんですね。
「あ、俺、こういう本読んでる」とか、
自分の第三者的な目を。
やえさんはどうですか、
パブリックとプライベートで。
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うーん?
人を呼んで遊ぼうという空間じゃないですね。
武井さんはパブリックですよね、かなりね。
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そうなのかな。
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人を呼びたいっていうのはパブリックですよ。
料理でもてなしたいということだから。
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私は自分の趣味のものだけがきれーいに並んでいると、
それだけで快感なんです。
漫画もちゃんと、出版社別に並べてます。
こっちは花ゆめ系、こっちはジャンプ系、みたいな。
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(笑)出版社別!
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だって、マークが違いますもん。
同じ背表紙が並ぶときれいじゃないですか。
小説などの単行本で悩むのは
装丁や判型が違うから
でこぼこすることです。
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小説はまだいいですよ。
写真集ですよ、いちばんでこぼこするのは。
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そうですよね。
あと、ゲームソフトも、ゲーム機別に並んでます。
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へぇ、それは面白い。
たぶんコンセプトで言うと、
「蔵としての家」ですね。
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まさしく、蔵ですね。
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何が家を家たらしめてるんだろうってことを考えると、
ファッションを鬼のように好きな人っていうのは
ウォークインクローゼットさえあれば
満足なんだと思うんです。
本もそうじゃないですか。
やえさんは自分の図書館に住んでるんですよ。
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図書館! もう最高ですね!
私、図書館の写真集とか買っちゃうんですよ。
うっとり、みたいな。
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そうそう。『ライブラリー』ってありましたね。
カンディーダ・ホーファーの。
(Candida Hofer : Libraries)
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理想で言えば、
ブティックとレストランと図書館と体育館が、
なんていうふうになっちゃいそうですね。
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内田樹先生が自宅に合気道の道場がほしい、
というようなことや、
漫画家の井上雄彦さんが
バスケットボールができる環境の仕事場がほしい、
と考えるというようなことは、
人それぞれに「だいじなもの」があるということですよね。
井上さんは仕事の合間に
シュートが打てるってことがすごく大事なわけで。
そういう意味では、家を家たらしめてるっていうのは、
“もの”であり、身体性なんですよね。
もちろんバスケットボールのコートがあるっていうのは
成功者の一例ですけれども、
僕は昔の家に蔵があったっていうのは
やっぱり理にかなってると思うんです。
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むかしの日本の家は、
部屋の役割がいまほど明確ではなかったですよね。
そもそも部屋にものがなかった。
家具も少なかったですよね。
ベッドはなくて布団ですし、
食卓ですら、片付けることができたし。
ものは押入れと納戸、蔵に入っていた。
そして家というものがとてもパブリックだった。
お客さまが来るということがあたりまえでした。
でも、今は、やえさんのように
自分ひとりがうれしい場所、
という家も、とても増えている気がしますね。
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あるときみうらじゅんさんが「ほぼ日」に
対談にいらっしゃってしゃべっているときにですね、
集めた公園の銅像の写真集を持っていらっしゃって、
それをひとつひとつ解説してくれていたんです。
わたしもそうですが、オタクというものって
あんまり他人と付き合いがあるわけじゃないんですよ。
おのおの独立してて、ジャンルがありますから。
ですからほかの人が趣味に没頭している姿というのを
あんまり見かけたことは無かったんです。
そしたらみうらさんが話の途中で、
パラパラってめくったなかの1ページを凝視して、
しばらくの間ニマー! って笑っていたんです。
それを見て、「あ、さすがに私は人の前で
こんな顔をしちゃいけないわ!」って思って(笑)。
きっと、家にいると、その状態なんですよ。
ダーッとマンガが並んでるの見て
「ンフハー!」みたいな。
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ぼくもまったく同じです。
本が好きで、それが仕事でもあるから、
賃貸探すときは常に、
まず本棚が10本なら10本置ける
壁があるかどうかっていうのを、まず見ました。
けれども結婚して、
家を建てるにあたっては、
そこはいっさい、捨てました。
本棚は一箇所にギューッと寄せてもらい、
そこからはみ出る分は置かない。
そう決めたんです。
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他者との共存という関係性において
自己を変革したんですね。
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かっこよく言わなくていいです(笑)。
妻との暮らしを快適にしたかっただけです。
というか、とにかくとっても狭いから。
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また自分の理想の話になって恐縮ですが、
ぼくはお金が自由になるのであれば
“見せ冷蔵庫”がほしいです。
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見せ冷蔵庫?
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ほら、ケーキやさんがケーキ入れてるのとか、
魚屋さんがお魚ならべてるのとか、
お肉屋さんやチーズ屋さんのケースとか、
あるでしょう、冷蔵庫だけどガラス張りで
平置きででっかいやつ。
陳列冷蔵ケースっていうのかな。
あれにおいしそうなチーズいれたりハム入れたり、
くだもの入れたり、野菜、肉、調味料、
それから常備菜をかっこよく飾って‥‥(うっとり)。
ワインはまた別にかっこいいワインセラー置いて。
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ああ、理解しました。
冷蔵庫ってすごく脇役じゃないですか。
キッチンの中でとにかく端っこのほうに冷蔵庫がある。
でも、本来冷蔵庫って料理好きな人にとっては
まさしく「宝庫」なんですもんね。
そこをきれいに見せたい気持ち、すごく分かりますよ。
野菜がきれいに見えてたら
たぶん料理の発想が変わりますよね。
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そうです! 何が楽しいって、
何を作ろうかって考えてるときが一番楽しいんだから。
せっかく買ってきた美しい食材を、何故閉じ込める。
理想はぜいたくな食材を1週間に1回買い出しに行って、
きれいに並べて、ニマーってしてるのが‥‥。
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(笑)完全にオタクですね。
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でも業務用冷蔵庫ってすごくうるさいんですよ。音が。
かっこいいんだけど、とてもじゃないけど
リビングに同居できないです。
ウイーンってずっと鳴ってるし。
でもまあ、こういうこと言ってるのは
趣味の料理好きだからですよね。
プロはぜったい家でそんなことしないと思う。
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やえさんのマンガやゲームと同じなんですね。 |
(つづきます) |