山田はるか(やまだ・はるか)
人形操演
1979年8月9日生まれ。東京都台東区出身。NHK E テレを中心にレギュラー番組を多数担当。ときどき舞台やライブに出演。趣味は動物園、水族館めぐり、切手収集、温泉とサウナ。好きなアイドルはアンジュルム(ハロプロ)。
[参加番組]
NHK Eテレ「ねほりんぱほりん」(豚、ウシ澤アナ、カエルディレクター)
NHK Eテレ「いないいないばあっ!」
NHK Eテレ「コレナンデ商会」(キーウィちゃん)
NHK Eテレ「ざわざわ森のがんこちゃん」(チョビ)
NHK Eテレ「ノージーのひらめき工房」(クラフトおじさん)
NHK 総合「 おげんさんといっしょ」(ねずみ)
NHK Eテレ「u&i」(メッチャカ)
NHK Eテレ「Q 子どものための哲学」(Qくん)
NHK Eテレ「沼にハマってきいてみた」(ぬっしー)
NHK Eテレ「みんなの手話」(シュドラ)
NHK Eテレ「ざわざわえんのがんぺーちゃん」(モイくん)
NHK Eテレ「銀河銭湯パンタくん」(バース)
NHK Eテレ「えいごでがんこちゃん」(カッパ他)
NHK Eテレ「でこぼこポン!」(ポン)
NHK Eテレ「JAPANGLE」(ベクター)
NHK 総合「 ダーウィンが来た!」(ヒゲじい)
NHK Eテレ「浮世絵 EDO LIFE」(カエル、ナマズ)
NHK 総合「地球大法廷」(ミジンコ)
NHK Eテレ「バビブベボディ」(心臓、骨、胃 他)
テレビ東京「シナぷしゅ」(ぷしゅぷしゅ)
テレビ朝日「機界戦隊ゼンカイジャー」(リッキー)
- ──
- 思いも寄らない人形劇団で、8年間。
- ちなみに、山田さんの役どころって
どんな感じだったんですか?
最初は、もちろん脇役だと思うけど。
- 山田
- はい、技術も経験も度胸も何もないのに、
「いい役」を
最初の最初から、いただいていたんです。 - 経験が浅いのに。
- ──
- えっ‥‥いきなり主役級!?
- 山田
- そうすると、当然ですが、
お客さんにも目が肥えている人がいて、
「キャスティングがね‥‥」
みたいな声とかも、
聞きたくなくても聞こえてきたりして。 - だから、はじめの5、6年は
泣きながら練習していました。
- ──
- わあ‥‥そういう経験が、
山田さんを、成長させたんでしょうか。
- 山田
- 生ぬるい現場では、なかったので‥‥。
- 昔からストイックなタイプでしたけど、
当時は本当に自分に鞭を打ってました。
- ──
- まわりは全員「表現者」なわけですし。
見る目が厳しかったりもするだろうし。
- 山田
- わたしは、もともとADでしたし、
演技をすることが
本当に恥ずかしいわけで、
ずっと俳優として、
殻から抜け出せられずにいたんです。 - だから、誰かに認められたり、
誰かに褒められたりしたことは、8年間、
一度も‥‥あ、ひとり。
- ──
- いた?
- 山田
- はい。あるとき、劇団の美術家さんで
『ノンタック』をはじめ、
テレビの人形劇の人形も
たくさんつくっていた大先輩が、
「よくなったね」って‥‥。 - もう亡くなられてしまったんですけど、
その人だけは褒めてくれました(笑)。
- ──
- うれしかったでしょう。
- 山田
- はい、とってもうれしかったです。
- 入団して7年めとか、
本当に最後の最後のことなんですけど。
- ──
- そうやって8年間もがんばって続けて、
独立するきっかけは何だったんですか。
- 山田
- 6、7年めくらいから、
もう、そろそろテレビに行きたい、
行けるかなって、
勝手に思いはじめていたんですね。 - いろいろ学ばせていただいていたし。
- ──
- ええ。
- 山田
- そこで劇団に「辞めたいんです」って
言ったんですけど、
いま辞められてはこまるということで、
辞めることができなかったんです。 - だから、あと1年は
一生懸命がんばろうと思ったんです。
そう思ったら、その最後の1年、
自分の中では吹っ切れた感じがあって。
- ──
- 皮がむけたって感じですか?
人形劇俳優として。
- 山田
- そこで、ようやく自由に、
のびのび、やることができたんです。 - 何を言われても大丈夫になったし、
技術も、向上していった気がします。
- ──
- 気持ちって、大きいですよね。
そうやって、念願のテレビの世界へ。
- 山田
- そうですね、フリーになりました。
- 引き続き「プーク」時代にやっていた
『いないいないばあっ!』は、
担当させていただいていたのですが、
フリーで最初のレギュラーは
『ざわざわ森のがんこちゃん』でした。
- ──
- おお、かの有名な。
- 山田
- はい、めちゃくちゃうれしかったです。
がんこちゃん‥‥大好きだったから。 - うれしすぎて、
もう毎回毎回知恵熱を出していました。
- ──
- ははは、相当ですね(笑)。
- 山田
- ただ、フリーになってわかったんですが、
ただ待ってても仕事は来ないんです。
- ──
- 売り込みにいかないと。苦手そうですね。
- 山田
- はい、そうなんです。
ドーナツ屋さんでアルバイトをしながら、
仕事、来ないなあって(笑)。 - でも、あるときに、
そうか、待ってても仕事は来ないんだと
気づいたんです。
- ──
- ええ。
- 山田
- それに、家で練習しているだけではなく
実際に
本番をやらないとうまくなれないと思い、
それには仕事を待っているんではなく、
自分で何かをはじめるしかないと思って、
絵本作家のえちがわのりゆきさんと、
「うんころもち劇団」を、結成しました。
- ──
- うんころもち! ‥‥かわいいなあ(笑)。
それが、何年くらいのこと?
- 山田
- 2012年くらいですかね。
- ──
- へえ、そんなに昔の話じゃないんですね。
- じゃあ、それからどんどん、
レギュラー番組が増えていったんですか。
- 山田
- ひとつ、大きかったのは
『ノージーのひらめき工房』という番組です。 - 2013年にはじまった工作番組ですが、
「わくわくさん」と「ゴロリ」の、
あの『つくってあそぼ』の後番組でした。
- ──
- ええ、なるほど。
- 山田
- ADだったとき、
『ひとりでできるもん』という番組を
担当していたんですが、
その番組に関わってらっしゃった
工作のいしかわまりこ先生が、
当時ディレクターだった
佐藤正和・現チーフプロデューサーに
わたしを
人形操演として推薦してくださって‥‥。 - その番組が、
また新たなレギュラーになったんです。
- ──
- そうやって、ひとつひとつ。
- 山田
- 佐藤さんはすごいプロデューサーさんで、
「パプリカ」とかを手掛けた人なんです。
- ──
- おお。
- 山田
- NHKの教育番組を
たくさんつくっていらっしゃるんですが、
さっきの「ノージー」をきっかけに、
人形が登場する番組も、
いくつかつくってくださっているんです。 - 『u&i』とか『Q〜こどものための哲学』、
『JAPANGLE』‥‥
ぜんぶ、佐藤さんがつくった
人形が登場する番組です。
- ──
- かつ、山田さんのレギュラーでもある?
- 山田
- そうなんです。
- ──
- いま、どれくらい番組やってるんですか。
- 山田
- 再放送を含めて、20以上だと思います。
- ──
- ひゃー、すごい。
それじゃ、めっちゃ忙しくないですか。
- 山田
- はい、忙しいです(笑)。
- ただ、ありがたいことに、
番組が番組を繋げてくださるというか。
- ──
- ええ。
- 山田
- たとえば
『ねほりんぱほりん』という番組は、
その佐藤さんのつくった番組を
見てくださっていた
プロデューサーの大古滋久さんと
ディレクターの藤江千紘さんが、
新しい番組を企画されるなかで‥‥。
- ──
- ええ。
- 山田
- 人形を使うのがいいのではないかという
アイデアに繋がり、できた番組なんです。
- ──
- いま山田さんがチーフをやってる番組ですね。
- 2匹のモグラにふんした
山里亮太さんとYOUさんが、
ブタに扮した顔出しNGのゲストにたいして、
いろいろ聞きにくいことまで含めて、
「根掘り葉掘り聞く」という。
で、そのブタを、山田さんが動かしていると。
- 山田
- はい。『ねほりんぱほりん』のおかげで、
人形操演という仕事が、
徐々に広まってきているなぁと感じています。 - たまにやる特番とかで、
番組制作の裏側を見せたりとかもするので。
- ──
- 星野源さんとかも、お好きなんですよね。
おもしろいですもんね、見てて。 - いわゆる‥‥昔からある「人形劇」とは、
ちがう人形の活かし方をしているし。
- 山田
- はい、人形の可能性が一気に広がりました。
- ──
- 文楽の人形は、同じ「首(かしら)」で
いろんな役を演じますけど、
現代の人形って、
ひとつひとつ固有のキャラじゃないですか。
つまり「個性」があるわけですよね。
- 山田
- はい。
- ──
- そのへんは、どう演じわけているんですか。
- 山田
- まず、どのような役柄のお仕事でも
お引き受けすることにしているんですけど、
そもそも、
先に人形のデザインや声優さんが
決まっていたりするケースと、
新たに自分でゼロからアイデアを出して
キャラクターを組み立てていくケースとが
ありまして‥‥。
- ──
- ほう。
- 山田
- 前者の場合は、
その人形がどういうキャラクターで、
どういうパーソナリティなのかが、
はっきりしていることが多いんです。 - たとえば、
おしゃべりなのか、寝てばっかりいるのか、
食いしん坊なのか‥‥とか。
- ──
- なるほど。
- 山田
- 一方で、後者のように、
わたしが
ディレクターさんやプロデューサーさんや
デザイナーさん、
ほかにも、いろいろな方々と相談しながら、
キャラクターやパーソナリティを
つくっていくケースもあるんです。 - この場合は、人形をつくる前の段階から
入念に打ち合わせをして、
その人形の演じる役柄を組み立てていく‥‥
ということになります。
- ──
- つまり‥‥人形をうみだしていく過程に
関わることもあるんですね。
- 山田
- そうすると人形も、その性格に合わせて、
仮におしゃべりな性格だったら、
口が大きくてよく動くようにしようとか、
「チーズが好き」なんだったら、
鼻をクンクン動かせるようにしようとか。
- ──
- おお、なるほど。
性格を元に造形や仕掛けがうまれていく。
- 山田
- キャラクターと真剣に向き合うなかで、
それぞれの個性を活かす動きに、
なっていっているのかなあと思います。
- ──
- でも、その部分が優れているからこそ、
レギュラー20本以上とか、
ありえないことになってるんですよね。 - 生放送で、
操演をやることがあるとも聞きました。
- 山田
- はい、生放送もあります。
その場合、
「アドリブ」が入るケースもあります。
- ──
- すごいなと思うんですよ、それが。
- 収録だったら、
あらかじめ台詞もわかっていますから、
そこに動きをつければいいわけだけど、
生放送とかライブのフリートークって、
声を担当する人が、
何をどう話すかわかんないわけですし。
- 山田
- このあいだ、
星野源さんのラジオに出たんですけど、
その場でフリートーク、
20分くらい源さんが話しているのを、
ブタでやりました。 - ラジオで放映しつつ、
YouTubeでも映像を生配信したんです。
- ──
- はい、YouTubeで見ました。
- 『星野源のオールナイトニッポン』と、
『ねほりんぱほりん』の贅沢なコラボ。
ブタの星野源さんと
モグラのYOUさんが話していました。
リスナーからの質問に答えたり。
- 山田
- そうです、はい。
- ──
- あれは、リアルタイムで
星野源さんとYOUさんのトークを聞きながら、
話の内容に合わせて、
人形を動かしているんでしょうけど‥‥。
- 山田
- 聞きながら‥‥だと遅れちゃうんです。
- だから、こんなふうに言うだろうって、
先読みして動かしています。
言葉と動きとが、シンクロするように。
- ──
- そんなこと‥‥できるんですか。
- 山田
- それが、できるんです。
何ていうか、いちおう特技っていうか。
- ──
- 特技?(笑)
- 山田
- いや(笑)‥‥、呼吸っていうのかな、
しゃべってる人の呼吸がわかるんです。
(つづきます)
2021-10-13-WED
-
撮影:武川 舞
イラスト:大桃洋祐
-
MCの山里亮太さんとYOUさんの
2匹のモグラが、
顔出しNGのゲストがブタさんに
根掘り葉掘り、
いろいろ聞いちゃう人気トーク番組。
10月からシーズン6がスタート。
ブタを動かしているのが、山田さん。
さらに10月12日(火)の
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
にも出演予定!
放映は午後10時30分から。
どうぞ、お見逃しなく!
再放送もチェックしてみてください。
番組のHPは、こちら。