乳幼児睡眠コンサルタントと
大人の睡眠コンサルタントの国際資格をもつ、
ニューヨーク在住の愛波あやさんのお話は、
すべて科学的根拠に基づいた内容のはずなのに
「完ペキじゃなくていい!」と言ってくれます。
生きていたら、眠れない日も、
疲れてしまう日もあるけれど、
愛波さんのヒントを知っておくことで、
質の高い睡眠へと、
子どもたちや自分自身を誘えるのだとしたら、
とてもしあわせなことだと思ったんです。
今回は、たくさんの質問に時間のゆるす限り、
ぜ~んぶ答えていただきました。
担当は「ほぼ日」下尾(しもー)です。

この対談の動画は 「ほぼ日の學校」でご覧いただけます。

>愛波あやさんのプロフィール

愛波あや プロフィール画像

愛波あや(あいばあや)

慶応義塾大学文学部教育学専攻卒業。
外資系企業勤務後、
拠点をアメリカ・ニューヨークに移し、
2014年に米国IPHI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。
現在、IPHI日本代表、
Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役。
子どもの睡眠の悩みに関して、
オンラインや講演などの活動を通じて
累計約10万人に科学的な寝かしつけメソッドを伝授。
寝かしつけの悩みを解決する
おくるみスリーパーや遮光シートも開発。
二児の母。
著書に『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、
『マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)がある。

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第四回 家族みんながハッピーになる眠り

ーー
 質問 
著書を読んで、絵本を読むなどの
ねんね前のルーティンを作ったほうが良い
とありましたが、おすすめの絵本は
ありますか。
愛波
ママやパパが読んでいて楽しいと思える絵本です。
本屋さんに行って、わたしはこういう絵本が好き、
こういう物語やキャラクターが好き、
というので選んでいただければOKです。
ーー
たしかに、読む側のテンションに差が出そうですもんね。
好きな絵本の方が、読んでいて楽しいですし。
愛波
この絵が響くなとか、
本当に自分がいいなとか、思ってることって
きっと全部伝わります。
自分もハッピーだし、子どももハッピーになれるので、
そういう本を選んでいただければと思います。

ーー
 質問 
ねんねの前におすすめの声がけがあれば
教えてください。
睡眠の質があがるというようなことが
あれば知りたいです。
愛波
もう、大好きだよ、愛してる。
それだけでいいです。
それだけが大事なので。
アメリカの論文をよく読むんですが
誰か大人、それは親ではなくてもよくて、
おじいちゃん、おばあちゃん、
ベビーシッターさんでも、
誰かひとり本当に自分を愛してくれている、
大人がいれば、子どもは育つ
というふうに言われているんです。
なので、わたしは、大好きだよ、愛してる、
うまれてきてくれてありがとうと、
できるだけたくさん伝えるようにしています。
ーー
とてもすてきで、大切なことですね。
 質問 
3歳の長女が寝る前に興奮状態、
例えば「ワンワンわんだーらんど」や
ディズニーの動画を観て
踊りまくっているようなとき、
興奮を鎮めて眠りへと誘うには
どうすればいいか、悩みます。
楽しいのを止めることは難しいし、
方向転換させたいけど、
アイデアが出ないので
ヒントが知りたいです。
これは結構、思い当たる人がいると思いますが、
いかがでしょう?
愛波
楽しんでいるときに、そこから寝ようかという風に
もっていくのは至難の業ですよね。
そのためにもまず動画をみせる時間は、
寝る前ではなく、少し早めてほしいです。
そして、照明は暗くしてほしいです。
日本のご家庭は明るいんです。
アメリカのホテルなんて、
全部明かりをつけても、とても暗いです。
それがベストだと言われているんですね。
だから夕方から夜にかけては、
ちょっと暗くして、涼しくすることで、
心を落ち着かせることができると思います。
寝る前にテレビや動画をみせないためには、
それをみたあとにお風呂に入る、
お風呂からあがったら、もう見ないということを
ルーティン化してしまうとよいかもしれません。
ーー
それはいいアイデアですね。
寝たくないという子どもを寝室に行かせるまでが
大変だという親御さんもいると思うんですが。
愛波
わたしも、何度も経験したのでわかります。
楽しみながら寝室にいけるように工夫をします。
例えば、「今日は猫になって寝室に行こう」
というような声がけです。
「今日はタイガー」「今日はキリン」と
毎日、寝室に行きたくなるようになるので効果的です。
でも、やめた方がいいのは「亀」です。
「ママ、亀はそんなに早く歩かないよ」と言われて、
信じられないほど、時間がかかってしまいました。
もう大失敗でした(笑)。お気をつけください! 
ハイエナとか、速く走る動物にすればよかったです。
ロボットのマネなんかも、いいですよ。
早く寝なさいとか、早く寝室に行きなさいという風に
言いたい気持ちはわかりますが、ちょっと工夫するだけで、
よしよし! 行った行った! と思って
子育てを楽しんでほしいです。

ーー
未就学児の最後の質問です。
 質問 
特に日本で言われているのだと思いますが、
「添い寝のほうが子どもの愛着が育つ」
という内容の本を読んだことがあります。
ねんトレで離れて寝て
子どもの睡眠の質をあげることと、
その後の愛着への影響との考え方について、
どのように考えたら良いでしょうか。
愛波
とてもいい質問です。よくこの質問をされます。
このことについて、
とにかくアメリカの論文を調べたんですが、
「添い寝をした方が愛着がわく」ということは、
どこにも根拠がありません。
反対に、ねんねトレーニングをしているから
自立が早くなるということも、ないんですね。
考え方としては、まず添い寝をしたければ
添い寝をして、いいんです。
安全な睡眠環境をつくれるのであれば、
添い寝することは、とてもよいことです。
わたしは「セルフねんね」が、
いちばんいいんですよと言っているわけではありません。
結局は、ママ・パパ・子ども、全員が質のよい睡眠を
ぐっすり取れていることが大事なんですね。
その寝方が、みんなハッピーであることが、いちばんです。
だけれども、添い寝をすることで、お子さんから
「キックされたり、体勢がわるく腰が痛くなったりする」、
またはお子さんが「毎日1時間起きに起きたりする」、
という風に悩みがあって、
だれかがツライ思いをして寝不足で、
お互いにイライラしてしまうのであれば、
しっかりとお互いに寝床があって、
ハッピーにすごした方がいいよね、
ということで「ねんねトレーニング」を
やっていくことになります。

(つづきます)

2024-09-13-FRI

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    「忙しくても能力がどんどん引き出される  子どものためのベスト睡眠」 (KADOKAWA) 愛波あや 著