乳幼児睡眠コンサルタントと
大人の睡眠コンサルタントの国際資格をもつ、
ニューヨーク在住の愛波あやさんのお話は、
すべて科学的根拠に基づいた内容のはずなのに
「完ペキじゃなくていい!」と言ってくれます。
生きていたら、眠れない日も、
疲れてしまう日もあるけれど、
愛波さんのヒントを知っておくことで、
質の高い睡眠へと、
子どもたちや自分自身を誘えるのだとしたら、
とてもしあわせなことだと思ったんです。
今回は、たくさんの質問に時間のゆるす限り、
ぜ~んぶ答えていただきました。
担当は「ほぼ日」下尾(しもー)です。

この対談の動画は 「ほぼ日の學校」でご覧いただけます。

>愛波あやさんのプロフィール

愛波あや プロフィール画像

愛波あや(あいばあや)

慶応義塾大学文学部教育学専攻卒業。
外資系企業勤務後、
拠点をアメリカ・ニューヨークに移し、
2014年に米国IPHI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。
現在、IPHI日本代表、
Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役。
子どもの睡眠の悩みに関して、
オンラインや講演などの活動を通じて
累計約10万人に科学的な寝かしつけメソッドを伝授。
寝かしつけの悩みを解決する
おくるみスリーパーや遮光シートも開発。
二児の母。
著書に『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、
『マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)がある。

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第六回 日々、調整する

ーー
 質問 
効果的な昼寝で、
スッキリ起床できる推奨時間や
方法があれば教えてほしいです。
愛波
月齢や年齢によるんですが、小学生以上であれば、
昼寝は20分以上はしないでほしいです。
20分以上してしまうと、深い眠りについてしまうので、
逆にだるくなってしまうんですね。
ちなみに少し姿勢が悪い方が、起きやすくていいです。
例えば、電車の中とか、ベッドではなくソファーとか、
そういうところで昼寝をした方が、起きやすいです。
ただ20分だと、もうちょっと寝たい気持ちになって、
起きるとき、お子さんだと不機嫌になることもあります。
例えば、起きたら大好きなバナナが食べられるとか、
起きたら5分だけゲームしてもいいよとか、
起きたあとの楽しみをつくっておくと、よいかもしれません。
大人の方でも、起きられない方は、
朝の楽しみがあるといいですね。

ーー
つづいての質問です。
 質問 
子どもが日々、疲れているので、
週末くらい寝かせてあげたいと
思っています。お昼まで寝ていることが
ありますが、大丈夫でしょうか。
愛波
母親の気持ちとしては、わかります。
でも、本当はまず、
日々疲れているというところを
改善していきたいですね。
おそらく慢性的に寝不足なので、
日々、もうちょっと早く寝かせてほしいなと思います。
しょうがないので、土曜日は、
ちょっとオーバーしてもいいかなと思います。
でも1時間ぐらいです。
じゃないと体内時計が狂ってしまうんですよね。
そうするとまた月曜日すごく大変になっちゃうんです。
月曜日また起きれなくなっちゃうんですよ。
社会的時差ボケ、またはソーシャル・ジェットラグ
っていうんですが、リズムを崩さないことが大切なので、
土曜日は1時間ぐらいはいいかなっていう風に思います。
ーー
ありがとうございます。
 質問 
小学生の子どもの睡眠時間が短めです。
愛波さんの本を読んで、
睡眠が大事だと知ったときには、
もう子どもが大きくなっていたのですが
今から始めても大丈夫でしょうか?
うちの子、すでに大きいけど間に合うだろうかと、
心配をしてしまう方も多そうですね。
そういう方へのお声がけをお願いしたいです。
愛波
気づいたときに改善すればいいんだと思います。
過去のことをどうこう言ったってしょうがないので、
今からできることをやっていきましょう。
ただ、11時に寝ていた子をいきなり9時に寝かせることは、
身体が慣れなくて、すぐにはできないんですよ。
30分ずつ、ちょっとずつ、前倒しにしていく。
それを5日間くらい試して、
まずは10時半に寝てみる、10時に寝てみる、
9時半に寝てみるみたいな感じで、
徐々に徐々に体に負担なくやっていただければ、
睡眠時間が長くなっていくので大丈夫です。
わたしも、わたしの子どもたちも、
そんな完璧に毎日睡眠をとっているわけではないんです。
ちょっと睡眠不足だなと思ったら、ちょっと早く寝かせる、
風邪ひきそうだなと思ったら、早く寝かせるっていう風に、
日々調整していただければいいと思います。
ーー
ありがとうございます。
ホッとできた方もいらっしゃるのではないかと思います。
つぎの質問です。
 質問 
ベッドに入ってから、なかなか寝付けない
時はどうすればいいですか?
大人にもいえることかもしれません。
目をつぶっているだけでも、
まずは安らげると聞いたことがあります。
他には何が必要でしょうか?

愛波
はい。そうですね。
目をつぶっているだけでもいいんですけれども、
やっぱりそういうときって、
いろんなことを考えてしまうと思うんですよ。
先ほどもお話しましたが、
「3つのイイコト」を考えるといいです。
あとは、その前に! 
ベッドに入ったら眠れないことが毎日続くと、
ベッドに入ることが、すごく不安になると思うんです。
だからその不安を和らげるために、
まずは睡眠環境をしっかりと整えることが大事です。
暗くする、涼しくする、
電子機器を持ち込まないというところですね。
つぎに、ベッドに入る前に90分前に体温を上げる。
足湯でもいいって言われているんですが、
40度前後ぐらいのお風呂に15分ぐらい入っていただく、
90分後に体温が下がってくるときにベッドに入ると、
ちょうど質のいい睡眠が取れるようになって、
入眠がすごくよくなります。
大人も、子どもも試してほしいです。
ただですね、90分なんか待ってられないよ、
っていうときもあると思うんです。
そんなときは、昨日もですね、わたし、
お風呂に入って、その時点で夜遅かったので、
すぐ体温を下げたいと思って冷房をガンガン使いました。
早く寝たいよっていうときには、
トマトを食べるとかもいいんですよ! 
そうすると眠くなるという根拠があることを知っておくと、
ちょっと安心して眠れるようになるので、
試していただければさいわいです。

(つづきます)

2024-09-15-SUN

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    「忙しくても能力がどんどん引き出される  子どものためのベスト睡眠」 (KADOKAWA) 愛波あや 著