──

ちなみにですが、どーもくんって、
コマ撮りでしかつくってないんですか。

松本

期間限定のＣＧキャラみたいなことは
やったことあるんですが、
でも、ほぼほぼ「コマ撮りだけ」です。

──

そこは、貫いている。

合田

続けることって、意味があるのかなと。

──

絶対あると思います！
残すっていうか、そういった意味でも。

でもそうか‥‥「これからはＣＧだ！」
という時代に
コマ撮りをはじめたんですね。
それも「逆張り」したわけじゃなく、
純粋に「コマ撮りいいな」って思って。

合田

実際、25年前に、
はじめてどーもくんを世に出したとき、
「よくできたＣＧだね」
って言われたこともよくありましたし。

松本

言われた、言われた。

合田

立体のキャラクターが動く姿を見たら
「ＣＧでしょ？」
とういう時代にはなっていたんです。

──

なるほど、そんな状況から
コマ撮りし続けて、25年なわけですね。

いまや「コマ撮りといば、dwarfさん」
って感じですけど、
その間にも、
どんどん仕事の幅を広げていって‥‥。
こないだ、
めちゃくちゃ感動した件がありまして。

松本

何ですか？

──

今年の「生活のたのしみ展」のテーマ曲、
というか「テーマ音頭」の
「らいふいずトリドリ音頭」を、
コンドウアキさんとdwarfさんでつくった
WOWOWのマスコットの
「ウーとワー」が踊ってくれた件ですよ。

コマ撮りで。

松本

あー、勝手にすみません。

──

そうです。dwarfさんが勝手につくって、
たのしみ展の数日前に、
とつぜん送り付けてくださったんですよ！

松本

ほんと、すみませんでした。

──

なんで謝るんですか。全員が感動ですよ。
音頭をつくった
レ・ロマネスクのTOBIさんもふくめて。

ものすごいサプライズです。
自分は以前に
峰岸さんにインタビューをしていて、
コマ撮りとは
「８時間、作業して４秒半」
みたいな世界であると知っていたので、
仰天も感動もひとしおでした。
「いやいやいやこれ、
お仕事として発注したらハウマッチ？」
みたいな、
リアルなハテナも浮かんでは消えました。

松本

もうね、躍らせたくなっちゃって。

ほぼ日さんだし、
「生活のたのしみ展」のキャラクターも
コンドウさんだし、
「やっちゃおっか！」みたいなノリで。
怒られるんじゃないかなとか思いながら。

──

めっちゃよろこびました。

松本

これ、怒られたら
冗談ですって、すぐに取り下げてね‥‥
って言いながら、
ほぼ日さんとやり取りしていた担当者に
パスしたんですけど（笑）。

──

素敵すぎるプレゼント自体も
当然うれしかったんですけど、
やっぱり
人形が踊ってくれてるんだということの、
そのうれしさもあったんです。

その動画は「生活のたのしみ展」会場の大きなスクリーンで流しました！

松本

WOWOWさんにも
「もう、これやっちゃったんですけど、
いいっすよね？」って言いに行ったら、
すごくよろんでくれたんですけど、
「ウーとワーの着ぐるみを貸してって
言われるのかと思った」って言ってた。

──

まさか人形を踊らせるとは、と（笑）。

松本

そうそう（笑）、
「え？　コマ撮りやっちゃったの？」
ってビックリされました。

でも「ぜんぜん、いいっすよ」って。

──

dwarfさん、コンドウさん、WOWOWさん、
みなさんのご厚意が
ひとつになって‥‥いままたウルっと。

感動の不意打ち攻撃ですよ。やられました。

松本

コマ撮りしたくなっちゃうんです。
人形がいたら動かしてあげたくなっちゃう。

ほぼ日さんを好きなスタッフがいて、
「たのしみ展」を楽しみにしてるスタッフもいて、
コンドウさんとも仲良しで、
だったら
「見切り発車でよかろう」と判断しました。

──

感動プロデューサーだなあ。

感動と言えば‥‥いまでも覚えているのが、
震災直後の
「てをつなごう　だいさくせん」です。
世界中のなだたる人気キャラクターたちが
手をつないでいる‥‥という。
あれって、dwarfさんとしての企画ですか。

松本

ま、合田ですね。

──

合田さんの個人企画的な色彩が強い？

松本

合田が言い出したことなんで。

──

ものすごいことです。思い返すに。

松本

あれは、動き出すのも早かったんです。
震災の翌々々日‥‥
金曜日が地震だったと思うんですが、
週明け月曜日には、
合田、もうその話、してましたからね。

──

そんなすぐに？

合田

個人的にも大きなプロジェクトでした。

大震災という大きな災害に見舞われて
「おまえは何屋さんなんだ？」
ということを、つきつけられたんです。
食品メーカーなら
お腹を満たすものつくって送れますし、
建設会社なら、
壊れた道路を直すことができますけど、
「じゃあ、おまえは？」って。

──

ああ‥‥。

合田

そう考えたときに、
「キャラクターとかアニメーションで、
みんなに楽しんでもらったり、
気持ちを和ませてもらったりしてきた。
それが、ぼくらの仕事だ」
って、あのとき思ったっていうか‥‥。

「だったら、その仕事をしよう！」と。
はじめは
dwarfだけのつもりだったんですけど。

──

あ、そうなんですか。

合田

はい、まずはdwarfのキャラクターに、
手をつないでもらったんです。

で、そのときも
コンドウアキさんなんですけど、
当時いろいろやりとりしている最中に、
「こういうことをやってるんだけど、
コンドウさんは、どう思いますか？」
って、聞いてみたんですね。

──

ええ。

合田

そしたら‥‥
「リラックマが手を広げている画像」が、
ピョンと送られてきたんです。

──

わー‥‥。

合田

「ああ、てをつなごうってことだな」と。

そして、もしかしたら
コンドウさんだけじゃないんじゃないか、
と思ったんです。
そこで‥‥思いつく限りのキャラクターに
声をかけたら。

──

ええ。

合田

次々に「手を広げた画像」が届いたんです。

──

泣ける。

合田

なかでも、ミッフィーが早かったんですよ。
ディック・ブルーナさんですけど。

松本

それこそミッフィーなんて、
ぜーったい、いろいろ厳しいはずなんです、
ルールっていうか、そういうものが。

でも、生みの親のブルーナさんが、
「こういうとき、
こういうことにＯＫしないでどうするんだ」
って言ってくださったみたいで。
ふだんよりも
アプルーバルのハードルをぐーんと下げて、
すぐにＯＫしてくださったんです。

「てをつなごう　だいさくせん」の壁紙は公式サイトからいまもダウンロードできます。