ボールペンで絵を描く中村隆さん。
ひたすら点をうち、ひたすら線をひき、
カラフルで心地よい世界を
フリーハンドで描きだします。
どうやったらこんな絵が描けるのか、
ちょっと気になりませんか?
そこで、日々の作品づくりのようすを、
3ヶ月ほど連載してもらうことにしました。
中村さん、よろしくお願いします。

>中村隆さんプロフィール

中村隆(なかむら・たかし)

画家、イラストレーター。

1976年、新潟県生まれ。
98年日本デザイン専門学校卒業。
以後、フリーのイラストレーターとして活動しながら、
定期的に個展をひらいて作品を発表している。
作品は「Ondo online store」などで販売中。

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#16

実家の壁

 
部屋の絵、これで最後です。
更新を4回に分けたので、
すこし仕上げをゆったりできました。
逆にいままでの絵で仕上げっぽいことを
抜かしているような気がしてきました。
きっとあとでやるのではないかと思います。
いつかの自分に期待します。
カゴみたいなゴミ箱を描きます。
畳も本当はこんなふうに
畳の目っぽいのまで描きたかったのですが、
今回はくどくなりそうなのでやめました。
ちょこちょこ短い線で
組み立ていくのは楽しいのですが。
畳の影をすこし足してから壁を描きます。
壁は緑色です。子供の時から。
なぜうちの壁は緑色なんだろうか。
おそらく理由はないと思います。
畳の影は線を重ねて
色を濃くすることで描きましたが、
壁の影は黒の点で描きました。
単純に影の色が濃いというのもあるのですが、
なんとなくその方がいいと思ったのもあります。
黒のペンを使うときは
意外とすぐに乾いてくれません。
描いたあとその部分を触らないように
他の部分を進めているのですが、
よく失敗して触って、紙の上の線や点が、
納豆が糸を引いたような状況になります。
あと少し、小物に手を加えます。
それでこの絵はおしまいです。
一応、できましたが、
この絵がどんな絵なのか、
自分でもよくわからないし、
人の目にどんなふうに映るのかは
もっとよくわかりません。

(次回の更新につづきます)

2022-07-22-FRI

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