一枚の絵が完成するまでの過程を、
作家本人が解説するシリーズの第3弾。
今回はピクセルアーティストの
maeさんに連載していただこうと思います。
延々とつづく無限ループの世界。
やさしく、なつかしく、
どこか夢の中のようなおぼろげな風景。
maeさんのピクセルアートは、
どのようにして生まれているのでしょうか。
テーマ探しから完成までの3ヶ月間、
毎週木曜日に更新します。
- こんにちは。maeです。
- 前回はまだアイデア段階でしたかが、
どんな風景を絵にするか決めました。
「祖母の家の玄関先から見た空」をモチーフに、
今回の絵を描いてみることにします。 - 実際の場所をそのまま写すのではなく、
自分の想像や思いつきを織り交ぜて描いていきます。
そのためにはいくつかポイントがあります。
まずはラフスケッチです。
- ペンと紙で描いた複数のスケッチをもとに、
デジタル上で下描きをします。
散らばっていたイメージを
ひとつにまとめるような作業です。 - アナログでスケッチするときは、
ひらめきを自由にアウトプットする目的で、
キレイにまとめようとせずに、
何枚も大雑把な絵を重ねました。
いままでのアイデアの中で、
あらためてよいと思った要素をまとめたのが、
このデジタルで描いたラフスケッチになります。 - ピクセルのサイズ感を考えながら
作品サイズを決めていくので、
ピクセルに取りかかる前の
準備運動のような感覚もあります。
今回はとりあえず、
300x480のキャンバスを用意しました。
(あとから変更するかもしれません) - そういえば、このあたりまで、
撮影した写真は見返さずに進めています。
写真を見ながら描いてしまうと
現実の景色に強く引っ張られてしまい、
まじめで固い構図になってしまう気がするからです。
ぼくが描きたいのは
自分の中にあるイメージの景色なので、
ここまでは想像のみで突っ走っています。 - そして、ここまで描いたあとで、
「どれ、実際はどんな感じだったかな‥‥」と、
実際の写真と見比べたりします。
「ここは案外そのまま描いてるな」とか、
「ここはけっこう現実と違ってるな」とか。
そうやって自分の内側のイメージと
外側の世界を混ぜ合わせながら描いていきます。 - 写真がさらに活躍するのはこのあと、
もっと細かな部分を描いていく段階です。
しっかり観察しながら描かなければ、
整合性のない不自然な絵になってしまうので、
資料を見ながら描くことも大切にしています。 - スケッチの次は、配色です。
- 自分がイメージする空の青色を決めたあと、
全体を数色でざっくり塗ってみます。
なんとなくのイメージで大丈夫です。
そこから少しずつ色を塗り足します。
このあたりは探り探りで、
塗ったり消したりを繰り返しています。
- パソコン上で描きながらも、
「ここにこれを描きたいな」
「これは描かなくてもいいな」と、
アイデアを浮かべては足し引きしていきます。
- 今回はここまでにします。
すこしずつ絵の雰囲気が出てきた気がします。
キャンバスサイズは、
いつのまにか270x480になりました。
このあとどんなふうに変わっていくのか、
自分でも楽しみです。 - ではまた、次回!
(つづきます)
2024-05-30-THU