一枚の絵が完成するまでの過程を、
作家本人が解説するシリーズの第3弾。
今回はピクセルアーティストの
maeさんに連載していただこうと思います。
延々とつづく無限ループの世界。
やさしく、なつかしく、
どこか夢の中のようなおぼろげな風景。
maeさんのピクセルアートは、
どのようにして生まれているのでしょうか。
テーマ探しから完成までの3ヶ月間、
毎週木曜日に更新します。
- こんにちは、maeです。
- 絵が進むにつれて、
だんだん心や身体のコンディションが
良くなってきている気がします。
「どうなるかなぁ‥‥」という不安が、
「どうなるかなぁ‥‥!」という期待に
だんだん変わってきているのかな。
この「!」が重要なんですね、きっと。 - 今回は、絵の土台をすべて描き上げたいと思います。
いままで後ろの方に見えていた
ラフな部分とはここでお別れになります。
- けっこう絵の雰囲気が出てきました。
いつのまにか、だいぶピクセルアートらしく
なってきたかなと思います。
- 一気に進んだ気がするので、
自分の中でポイントになっている部分を
いくつか紹介します。
- ひとつめ。
このトタンのような屋根は自分の中でけっこう重要で、
路地を暗くするために、
そしてそこにぽつぽつと光を落とすために設置しました。
色付きの透明のトタンにして、
影に色をまとわせるのもいいなと思っています。
奥の砂利道も、あとから少しキラキラさせる予定です。
- ふたつめ。
この辺りに物干し竿があったら、
路地に抜けができて、
窮屈すぎない感じが出るかなと思って描きました。
日当たりは悪そうですけど。
- みっつめ。
最後まで残すかわかりませんが、
浮かんでいる幽霊を描きました。
高いところから何かを見守っているイメージです。 - そういえば、絵のタイトルを、
どういうタイミングで決めるかですが、
ぼくの場合は最初から考えていることが多いです。 - じつはタイトルを考えるのがけっこう好きで、
絵を描くのと同じように、
最初はぼんやりとしたイメージを仮でつけて、
だんだんブラッシュアップしていきます。 - 今回は「日陰から見た日向」「陰影」「青空」などの
イメージがあったので、
明るさや空にまつわる言葉が入りそうだな、
と思っていました。 - 「sky」だと普通すぎる、
「blue」だと他にも青い絵はいっぱいあるし、
と考えながら、
晴れた空の他の表現がないかなと探しているうちに
「fairweather」という言葉に出合いました。 - 「晴天」という意味ですが、
和訳したときに出てくるシンプルな
「clear sky」よりも少しひねった、
一枚挟んだような呼び方が好きです。
なので、いまのところは、
この言葉を入れたいなと思っています。 - それに関連して
「fair-weather friend」という言葉も
おもしろいなと思いました。
「いい順境のときだけ寄ってくる友達」
という意味だそうです。
調子のいいときだけ擦り寄ってくる人っていますよね。
そうではなく、
「rainy-day friend」でありたいものです。(対義語) - こんな流れでタイトルについても考えています。
- どんな絵に、タイトルになるか、
少しずつ見えてきている気がします。 - また来週もよろしくお願いします!
今回もお読みいただきありがとうございました。
(つづきます)
2024-06-27-THU