一枚の絵が完成するまでの過程を、
作家本人が解説するシリーズの第3弾。
今回はピクセルアーティストの
maeさんに連載していただこうと思います。
延々とつづく無限ループの世界。
やさしく、なつかしく、
どこか夢の中のようなおぼろげな風景。
maeさんのピクセルアートは、
どのようにして生まれているのでしょうか。
テーマ探しから完成までの3ヶ月間、
毎週木曜日に更新します。
- こんにちは、maeです。
- 今回はこの続き、
アニメーション前の元絵をおおむね完成させます。
まだ描きこんでいない奥のほうの家を進めたり、
全体をよりよくしたりしていきたいと思います。
では、早速描いていきます。
- だいぶ完成に近づいてきました。
寂しかった部分の情報が詰まって、
にぎやかになってきました。
- 今回はこのトタン屋根でとくに手を焼きました。
- 透けてる感じを出しながら、
薄汚れてるような感じも出したいな、とか、
色味はどうしようかな、とか。
線のバランスも難しかったです。 - 最初はもっと赤みがかった色にしようとしていたのですが、
主張が強くて全体の色のバランスを
崩してしまいそうだったので、
なじむような色に変更しました。
- そして、換気扇や窓。
ひとつだけ描くのでもいいし、
真っ直ぐならべて描いてもいいんですが、
絵のリズムを感じながら数を考えたり、
位置をずらしたりしていたらこうなりました。 - これらの部分は絵の中のリズム隊なのかもしれません。
全体を支えながら流れをつくっています。
- そうやって考えてみると、
風車やてるてるぼうずはリードギターに近いのかな。
華があって主張は強いんだけど、
常に主役ではなくて、
支えながらメロディをつくっているイメージ。
- 植物は、ストリングス系。
これは何だか自信があります。 - 黒ねこは難しいです。
リードギターもできるし、
ギターボーカルもできそう。
ギターを弾きながらコーラスかもしれません。
- メインボーカルはこの幽霊だと思います。
静かに淡々と歌うけど、
なぜか気になるような魅力があります。 - ‥‥ええと、ついてきていただいてますか?
勝手に盛り上がってしまいましたが、
ずっと意味不明だよ、
とお思いの方がいたらすみません。 - いまのような話は、
おそらく視線誘導の話にもつながるのかなと思います。 - 全部描きたくて描いているものではあるのですが、
かといって全部が主張しすぎると
ぶつかり合ってノイズになってしまいます。
音楽のように絵の中にもそれぞれに役割があって、
引き立て合うことでハーモニーをつくっていると
ぼくは思っています。
- 全体の色の調節など、もう少し細かいところを整えて、
次回はいよいよアニメーションに取り掛かります。
ここまで長い道のりでしたが、
振り返ってみるともう随分進んできた気がします。 - 残りも数回ですので、
ぜひ完成まで見届けていただけたらうれしいです。 - 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もよろしくお願いします。
(つづきます)
2024-08-01-THU