一枚の絵が完成するまでの過程を、
作家本人が解説するシリーズの第3弾。
今回はピクセルアーティストの
maeさんに連載していただこうと思います。
延々とつづく無限ループの世界。
やさしく、なつかしく、
どこか夢の中のようなおぼろげな風景。
maeさんのピクセルアートは、
どのようにして生まれているのでしょうか。
テーマ探しから完成までの3ヶ月間、
毎週木曜日に更新します。
- こんにちは、maeです。
- 今まで長いこと描いてきた絵も、
ついに今回でアニメーションに入ります。
ここまでくれば、あともうひとふんばりです。 - と、その前に「色調補正」をして、
全体の色をととのえておきます。 - コマを増やす前に、
一枚絵の段階でほとんど完成に近い色を目指します。
- いい色になってきたと思います。
バランスがよくなって空間を感じられるようになりました。
こうして見ると、元の状態はかなり暗かったですね。 - 全体の色にまとまりがなかったので、
奥のほうに進むにつれて
だんだんと同系色の青緑になるように
まとめてみるなどもしました。 - こうすることで、
ごちゃごちゃと色んなものが描いてあっても
主張がまるくなり、
絵の軸となる部分を
より見てもらえるようになったと思います。 - 最後にもまた仕上げの調整をしますが、
一枚絵としては、ひとまずこれで完成です!
- こうして最初から見返してみると、
「だいぶよくなってきたなぁ」
「ここまでがんばったなぁ」と、
しみじみ思います。
最初に描こうとしていた要素も、
かたちを変えながらけっこう残っていますね。 - なんだか、何回も見ちゃうなぁ。
それほど、ここまでたどりつけるかさえ
不安だったんだと思います。 - 涙がこぼれそうになって、やっと先に進めます。
- では、これまでの軌跡に背中を押されながら
アニメーションに取りかかっていきたいと思います。
- 囲ったところを動かす予定です。
最初にこうしてマーキングしてから進めます。
あとでにぎやかすぎると思ったら、
動かさないかもしれません。
- 今回はこれらの小さな部分を動かしてみました。
- 絵の向こうの世界が呼吸しはじめました。
- ぼくはアニメーションの中でも、
とりわけループするGIFアニメが好きです。 - その中で永遠に世界が続いているような、
または画面の向こうの違う世界と交信しているような
不思議な気持ちになります。 - アニメーションをつくるときは、
ずっと動き続けていても不自然ではないモノ、
そのスピードや頻度などを意識して、
少しでも深く没入できるように考えています。
あとは、始まりと終わりの継ぎ目が
わからないようにするというのも心がけています。 - SNSのタイムラインで
一瞬で通り過ぎてしまうかもしれない絵。
でも、もしかしたら
気に入ってくれる人がいるかもしれない、
ということを思います。 - そして、せっかく足を止めてもらえたのなら、
絵を見てくれた人の1秒をもらうのなら、
いい時間にしたいと願っています。 - 自分自身と向き合うことに加えて、
こういうこともモチベーションに
つながっているのかなと思います。
コメントや反応をもらえると、
幻想かもしれなかった願いが
実際に届いたというのがわかって、
とてもうれしくなります。 - この記事を書くにあたっても、
読んでくださる方の1秒をもらっているという意識で、
自分なりに一所懸命に言葉を選んでいます。
今回も読みに来ていただいてありがとうございました。
少しでも、何かになっているのならうれしいです。 - また次回もよろしくお願いします。
(つづきます)
2024-08-08-THU