一枚の絵が完成するまでの過程を、
作家本人が解説するシリーズの第3弾。
今回はピクセルアーティストの
maeさんに連載していただこうと思います。
延々とつづく無限ループの世界。
やさしく、なつかしく、
どこか夢の中のようなおぼろげな風景。
maeさんのピクセルアートは、
どのようにして生まれているのでしょうか。
テーマ探しから完成までの3ヶ月間、
毎週木曜日に更新します。
- 子どもの頃から心のすみっこで、
「霊が見えるようになりたいなぁ」と
願い続けている気がします。
- なんでだろう。
居ることを確かめたいだけなのか、
ご先祖さまに感謝を伝えたいのか、
交信して人助けでもしたいのか、
「霊になるってどんな感じなんですか」と尋ねたいのか、
はっきりした理由はわかりません。
でも、こんなこと全部できたらいいなと思います。 - 自分がなぜ生まれて、何のために努力して、
そしてバトンをつなぐのか。
ついそんなことを考えながら
絵を描いていることが多いので、
同時に霊的なことについても
いろいろと考えることがあります。 - 「霊」というのは、ぼくの中では
「どこにもいないけど、どこにでもいる、
いつでも接続できる意識のエネルギー」
というイメージです。 - 絵の話をしていないようですが、
じつはこれが絵にもつながっていると思っています。
こうした思いを抱きながら、
残りのアニメーションを仕上げていきます。
- 自分がもしも霊になったら、
大切にしていた人たちのこと、
そっと見守りたいなと思います。
でも、それって霊になってからじゃなくても、
いまできることでもあると気づきました。 - 自分が誰かのことを想うように、
誰かが自分のことを想ってくれている。
生きているか、死んでいるかに関わらず、
寄り添う想いそのものにエネルギーがある。
そして、霊には「たましい」という読み方もあるそうです。
そう考えると、
もっと自由に解釈していけるのかもしれません。 - こんなことを考えながら、
「悲しいときに寄り添ってくれる存在」
という意味を込めて、
「Rainy Day Ghost」というタイトルを
絵に付けることにしました。 - 最後に虹を描き加え、
もう一度色を調節して、
長い時間見つめてきた絵がついに完成しました。
- 長い時間見つめすぎていたので、
いまはまだあまり客観視できていません。
でも、優しい絵を描けたのではないかなと思います。 - いまは言葉があまり出てこないのですが、
少しほっとしているような、
何も考えたくないような気持ちというのが
正直なところです。
(さっきまであんなにいろいろ考えていたのに) - 自分の中に漂っていた思い出のかけらが
「絵」としてかたちになって目の前に存在しているのが、
なんだか不思議な気分です。
いまは落ち着いてゆっくり絵を見つめながら、
連載を通しての感想を次回に書きたいと思います。 - 完成まで作品を見守っていただいて、
ほんとうにありがとうございました。
作品を見ていただいて、
みなさんはどんなことを思い浮かべるのでしょうか。
何か少しでも、絵がみなさんの心に
寄り添うことができたならうれしいです。 - 最終回もぜひよろしくお願いします。
(最終回は8月22日に更新します)
2024-08-15-THU