家で過ごすことが増えたいま、
充電のために時間をつかいたいと
思っていらっしゃる方が
増えているのではないかと思います。
そんなときのオススメはもちろん、
ほぼ日の学校 オンライン・クラスですが、
それ以外にも読書や映画鑑賞の
幅を広げてみたいとお考えの方は
少なくないと思います。
本の虫である学校長が読んでいる本は
「ほぼ日の学校長だより」
いつもご覧いただいている通りですが、
学校長の他にも、学校チームには
本好き・映画好きが集まっています。

オンライン・クラスの補助線になるような本、
まだ講座にはなっていないけれど、
一度は読みたい、読み返したい古典名作、
お子様といっしょに楽しみたい映画や絵本、
気分転換に読みたいエンターテインメントなど
さまざまな作品をご紹介していきたいと思っています。
「なんかおもしろいものないかなー」と思ったときの
参考にしていただけたら幸いです。
学校チームのメンバーが
それぞれオススメの作品を
不定期に更新していきます。
どうぞよろしくおつきあいください。

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no.5

『マンガでわかる世界の名著』


NHK「100分de名著」制作班

敷居のひくい「名著」への入り口  

『罪と罰』『幸福論』『獄中からの手紙』
『夜と霧』『ハムレット』『エミール』……
どれも、一度は読みたい、読んだほうがいいんじゃないか、
と思うタイトルばかりです。
でも、なんとなく後回しになってしまいがち。

でも古典を知っておくと、おもしろいことが増えます。
たとえば、「あげくの果て」の「あげく」が、
連歌の最後の歌である「挙句」からきていることや、
連歌の「花の座」を
その人にやってもらうことを意味するのが
「花をもたせる」の語源であることなど、
万葉集講座・第8回の永田和宏さんの授業を聞くまで
私は知りませんでした。
知らないで使っている「古典のことば」が
たくさんあることに改めて気づいた瞬間でした。
先日もオンライン・クラスを楽しんで下さっている方から、
テレビで俳優さんが口にした「明日、また明日……」
というセリフを聞いて「知ってる!『マクベス』」
と思ったというメールが届いていました。

そんな人生を彩ってくれる「名著」を
「ハイライト漫画」と短い解説で
紹介してくれるのが本書です。
どんな風にわかりやすいか、
『赤毛のアン』を例にご紹介しましょう。


『マンガでわかる世界の名著』
NHK「100分de名著」制作班著 漫画:斉藤的作(SBクリエイティブ刊 1500円)

『赤毛のアン』といえば、
カナダのプリンス・エドワード島を舞台に、
男の子を望んだ老兄妹に、
ちょっとした行き違いでひきとられた孤児の女の子、
アン・シャーリーの成長と、
彼女を取り囲む人々のドラマを描いた
不朽の名作であることはご存じの方が多いと思います。

その本をNHK「100分de名著」で取り上げた
制作班はこう解説します。

「この作品は一般的に、子ども向けのイメージがあります。
とくに、女の子の読む『少女小説』というイメージが
定着しています。(中略)
ですが、大人にこそ『赤毛のアン』を読んでほしい。
女性だけでなく、男性にも。
そう考えて、番組で取り上げました。なぜなら、
この作品には、現代を生きる私たちが忘れがちな、
人間関係における大切なことがつまっているからです」

そうなのです。『赤毛のアン』には
「大切なこと」がぎっしり詰まっているのです。
ハイライト漫画の最後のコマが紹介する
アンのもっとも有名な言葉が、
この本を象徴しています。

「自分の未来は、まっすぐにのびた
道のようにみえたの。
ずっと見通せる気がしたの。
ところが曲がり角にきたのよ。
角をまがった先に、何があるかはわからない。
でも——でもきっと、
いちばん良いものにちがいないわ!」

あー、『赤毛のアン』を再読したくなりました。
そして、この名著がどのようにして、
日本の子どもたちに紹介されたか。
NHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」の
元となった史実があるのですが、
それはまた別の機会に。

(つづく)

2020-04-23-THU

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