「まゆげ」の子、「マラソン」の子、
「政治に詳しい」子、「料理上手」な子、
彼女のことを思い浮かべたときに浮かんでくる、
彼女をカタチづくることばたちは
実に多種多様で、
一体彼女は何で出来ているのかわからない。
がんばりやさんの彼女が
本当は何をもとにつくられているのか、
どんなジャンルにもしばられない
「井上咲楽」のレシピを紐解く。
担当は「ほぼ日」下尾(しもー)です。

>井上咲楽さんプロフィール

井上咲楽(いのうえさくら)

1999年うまれ。栃木県益子町出身。
2015年、高校生の頃に「第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で特別賞を受賞し、芸能界デビュー。
以来タレントとして幅広く活動。
『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ)などレギュラー番組多数。
マラソン、選挙、ぬか漬けなどの多彩な趣味を持つ。
2024年5月に『井上咲楽のおまもりごはん』(主婦の友社)を出版。

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第2回 自分のためのレシピ

──
疲れて帰ってきても、自炊しますか?
咲楽
そうですね。
なんかすごく疲れていて、すごくお腹が空いてるときって、
何を食べたらいいか、わからないときがあるんですよ。
とりあえずパパッと食べて済ませようと思っても、
食べたときに「なんかこの味じゃない」
みたいなことがあって。
ちょっと時間がかかっても
自分で作った方が、なんとなくお腹も落ち着くし、
気持ち的にも、ようやく帰ってきたなと
落ち着くことに気がつきました。
結局、料理をしてる間、その音を聞いたり、
作業したりすることで、だんだんと
暮らしをしている自分に戻っていくみたいな瞬間が
自然と心地いいなっていう風に感じているんだと思います。

──
自分のための時間ですね。
ご自身でつくられるものの中で
「ぬか漬け」はキーワードな気がしたんですが、
今も作っていらっしゃいますか?
咲楽
はい! 地方のぬか床を買ってきて試したり、
実家に帰った時に、ぬか床もらったりすることもあって、
ちょこちょこ漬けています。
──
最近のおすすめのぬか漬けはありますか?
咲楽
一時期は、すごくいろいろ漬けていましたが、
その中でも気に入ったのが、ゆで卵です。
すごくおいしいなと思って漬けています。
──
ゆで卵は、何分ぐらいゆでるんですか?
咲楽
わたしは、沸騰してから6分半です。
──
なんで6分半なんですか?
咲楽
黄身がとろっとしてるんだけれども、
ちょっとだけ流れていないんですよ。
それぐらいの黄身を目指して作っています。
──
それは、ぬか床につけたら、どうなるんですか?
咲楽
なんだろう、
ちょっと中がもちっとするんですよね。
全体的にキュッとするというか、
塩分のおかげかわからないですけど、
なぜか、もちっとする感じがします。
──
おいしそうですね。
じゃあ、疲れて帰ってきたら、
まず、それを食べようって思いますか?
咲楽
あー! そうですね。なんか料理をする前に、
ボリボリボリボリボリーってかじって、
そこから料理をつくり始めるの、好きですね。
とりあえず、ひとくち食べて料理をがんばる感じです。

──
ほかに、料理をしながら、やっちゃうことはありますか?
咲楽
お酒をちょっと飲みながら料理を作っています。
ひとりでいるときに、普段あんまりお酒は
飲まないんですけど、飲むとしたらキッチンです。
お酒を飲みながら料理をして、
ご飯を食べるときには、お酒を飲みません。
──
何のお酒を飲むことが多いんですか? 
料理に合わせて? 
咲楽
いや、ビールか、日本酒を
飲んでいることが多いですね。
ふわーんってした感じで、
気持ちよくご飯を作りたいっていうときに飲みます。
日本酒を飲むとわたしは、ふわっとするので、
日本酒を一杯、おちょこに入れておいて、
ちょこちょこ飲みながら作っています。
ふわふわした感じで、ご飯を作るのが
好きなんだと思います、たぶん。
──
あと土鍋で、ご飯も炊いていらっしゃいますよね?
咲楽
そうですね。
小学生のときから母が、ご飯と味噌汁、卵焼きは
絶対に作れるようにと、井上家4姉妹は教えられてきて。
というのも、実家の周りにコンビニとか、
簡単に行けるようなファミレスがなかったので、
親が家にいないときは、お昼ご飯を自分たちで
作るしかなかったからなんですね。
──
どのくらいの年頃からそうだったんですか? 
咲楽
小学校低学年ですね。
いやー、そのときから土鍋で教えられてて。
──
えーっ! 炊飯器じゃないんですね。
咲楽
そうです。炊飯器を使ったのは人生で少しだけです。
上京したときに、最初に住んだ家にコンロが
ひとつしかなくて、炊飯器を使いました。
18歳で一人暮らしをするまでは、
ずーっと土鍋で炊いていました。
──
すごいですね。
咲楽
そのおかげで、いまも、
土鍋で、ご飯を炊くと、心が落ち着きます。

(つづきます)

2024-08-17-SAT

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  • その人の「人となり」を知りたくて、
    料理本を買うという自分自身の経験をいかして、
    丁寧につくられた「井上咲楽のおまもりごはん」。
    彼女のあたたかい、ホッとできる一面が
    随所にあらわれている。
    特にそれぞれに書いてある「咲楽メモ」がオススメ。
    料理が下手な人でも、背伸びしなくて、
    ちょっとやってみたらできるかもと思える料理たち。
    盛り付け方にいたるまで、井上咲楽さん自身が、
    一生懸命こだわった一冊です。

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