ほぼ日の「老いと死」特集は、
佳境に入ってきました。
入ったからにはこの方に
ご登場いただかなくてはなりません。
みうらじゅんさんです。

このインタビューの動画は、
ほぼ日の學校でごらんいただけます。

>みうらじゅんさんのプロフィール

みうらじゅん

1958年、京都生まれ。イラストレーターなど。
武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。
以後、作家、ミュージシャンなど、多方面で活躍。
1997年には「マイブーム」が
新語・流行語大賞のトップテンに選出。
「ゆるキャラ」の名づけ親でもある。
2018年、仏教伝道文化賞沼田奨励賞受賞。
著書に『アイデン&ティティ』『色即ぜねれいしょん』
『「ない仕事」の作り方』
『通常は死ぬ前に処分したいと思うであろう100のモノ』など。

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第9回 みうらじゅんが決めたのだ!

──
みうらさんは
『アウトドア般若心経』という本まで
出しておられます。
やはり仏教の「空」という考え方に
共感されたのでしょうか?
みうら
すべてに実体はないってことですが、
「空」をわかりやすく説いたのは
「イマジン」という歌だと思います。
──
ジョン・レノンの。
みうら
そうです。
「ないと思ってみて」と
優しく歌われますよね。
しかも最後には
「僕を夢想家だと思うかい?」と、
そんなこともおっしゃる。
ジョン・レノンは「イマジン」で、
お釈迦様のおっしゃるところの「空」を
ポップにわかりやすくしたんだと見ています。
僕、じゅん・レノンとしてはですが(笑)。
それに従うと「アウト老」なんていうのも
無いことになってしまいますが、
じゅん・レノンとしては
「年を取るのはおもろいぞ」
ということを伝えたいわけです。

──
老々飲み会も、悟った人ばかりでは、
盛りあがりに欠けるかもしれないですから。
みうら
そこなんです。
真理というものは、特に飲み会では
盛りあがりませんからね。
そこがクリスマスと
お釈迦様の誕生日、花まつりの違いだと
思っています。
──
たしか4月8日ですよね、花まつりは。
みうら
よくご存知で。
じつはこの日、12月25日より
覚えやすいんですけどね。
4月8日ですよ、よく考えてください、
し・や・かと読めるでしょ?
──
(笑)知りませんでした。
インドの方ですが、
やっぱりそこは語呂を日本ふうに。
みうら
ですね(笑)。
日本語は言霊と言いますから。
まずそういうところから
ポップにしていかなきゃいけないと
思います。
「マイブームじいさん」としても、
老いのポップ化を目指したいんですよね。

──
これからの老後は、
明るく生きていきたいと思いました。
みうら
ほんとうですか?
それはたいへんうれしいですけど、
はじめは明るいふりからですよ。
──
あっ、ふりからなんですか。
みうら
だって、すべてはプレイだと思い込んで
はじめなきゃ、長続きはしません。
ほんとうは年を取るって
しんどいんじゃないですか(笑)?
なかなか明るく生きていけないものです。
けれども「気は持ちよう」なんです。
いままでみなさんはずいぶん
「老後はつらいことばかり」と
教え込まれてきたことでしょうから、
すぐに考えを切りかえにくいとは思います。
老後はつらいとか、暗いとか、いったい
誰が決めたのでしょうか?
きっと誰かが勝手に決めたことですよ。
昔だったらバカボンのパパが
「国会で青島幸男が決めたのだ!」
と言うところです(笑)。
──
すいません、ぜんぜんわからなくて、
何も返せなくてすいません。
みうら
こちらこそすいません、
わからないこと言ってしまって(笑)。
これじゃ、アウト老ならぬ老害ですよね?
昔は「国会で青島幸男が決めたのだ」で、
だいたいのものごとは収まってたんですけどね。
──
ははぁ。
みうら
ですからもう、アウト老も
「みうらじゅんが決めたのだ!」で
許してもらえないでしょうか。
お願いします。

(明日につづきます。明日は最終回!)

2024-11-20-WED

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