加賀美健(かがみ・けん)
1974年東京都生まれ。現代美術作家。国内外の美術展に多数参加。彫刻やパフォーマンスなど様々な表現方法で、社会現象や時事問題をユーモラスな発想で変換した作品を発表している。
https://kenkagamiart.blogspot.com/
instagram: @kenkagami
買ったもの_その15
「きんさんぎんさんの写真集」
平成の「きんさんぎんさんブーム」って、91年とからしいんです。とすると、ぼくはまだ18とか19くらい。当時はファッションの専門学生で、何の興味もありませんでした。ま、きんさんかぎんさんかと聞かれたら「きんさんかな」くらい。でも、こうして40代後半になった今、もうれつにキテます。きんさんぎんさんが。とくに、きんさんが。かわいいんですよ、うまれたての赤ちゃんみたいで。もうね、おんぶしたい。グッズも集めていて、ぬいぐるみやテレホンカード、赤い手形をペタッと押したサイン色紙なんかもゲットしました。いまイベントがあったら確実に行くと思う。これ、100歳の双子のおばあちゃんをアイドル的に売り出したわけですよね? それが時代の空気にバチッとハマって、国民的ムーブメントを巻き起こした。とんでもなくないですか、冷静に考えたら。このポスターとか、この世のものとは思えない。金屏風の前に、きんさんぎんさん。こういう現代アートありますよ。編集部の人も「しあわせをよぶきんさん、ぎんさん」とか書いてて、勝手でいいなあ(笑)。座布団も金と銀のリバーシブル仕様で、めでたすぎるし。この本は、そんなふたりの全盛期っていうか、大ブレイク当時の写真がたっぷり見れて幸せなんですけど、他にも興味深いデータが掲載されてます。基本的なところでは西暦1892年うまれとか。つまり、きんさんは107歳まで、ぎんさんは108歳まで生きたんだ。あと、きんさんが「身長130cm/体重30kg」なのに対し、ぎんさんは「身長135cm/体重35kg」だったとか。けっこうちがうんですね。きんさんの好物は赤身魚だけど、ぎんさんの好物は白身魚だし。おどろいたのが、きんさんってお子さんを11人も生んでるんです。ぎんさんも5人生んでいて、それだってすごいけど「11人」って。きんさんが結婚したのは19歳、当時は数え年だろうから実際は17とか18だったとして、末っ子の「幸男さん」を生んだのが39歳でしょ。つまり、20年ちょっとで11人も生んでる。もうそれだけで偉大です。きんさんは57歳のときに旦那さんを亡くしてるから、50年も未亡人だったんだなあ。あと、ふたりがやってるVサインはVサインじゃなくて、ぎんさんの名字の「蟹江」の「カニポーズ」だそうです。カニエ・ウェストとコラボさせてあげられなかったのが悔やまれます。せめて蟹江敬三とか。さらに「もう一組、別のきんさんぎんさんがいた」という驚愕の事実も。本家が100歳のとき、アナザーきんさんぎんさんは88歳。しかもうまれた日も本家と同じ「8月1日」というんだから、これを奇跡と言わずに何と言う。あー、きんさんぎんさんのラバーマスクが出てたらすぐ買うのになあ。等身大フィギュアとか。見つけたら教えてください。
加賀美さん、完全に「きんさん推し」(笑)。それにつけても「もう一組、別のきんさんぎんさんがいた」って! 4人で写ったツインツーショット(?)も載ってました。昔は双子の女の子がうまれたら「きん、ぎん」と名付けたりしたんですね。ちなみにきんさんはアントニオ猪木さんの大ファンだったそうで、生前、訪問も果たしていました。「元気」の似合うお三方、いまごろ天国のリングサイドで再会してるかな。してるといいな。
フーディのポケットから指
ボロボロの古着フーディのポケットから指を出すというハイセンスなオシャレのご提案です。ポケットに手を入れたまま何かを指差したりできるので便利です。ただし、調子に乗ってもう片方のポケットからも指を出したら「やり過ぎ」になってしまいます。あくまでも「指は、片方のポケットからしか出さない」のがポイントです。
2023-05-16-TUE