これは一通のメールから実現したコンテンツです。
千葉県佐倉市の「国立歴史民俗博物館」ではたらく
女性から届いたそのメールは、
中止になった企画展の図録を
「ほぼ日カルチャんWEBショップ」で
販売できないでしょうか、という内容でした。

企画展のタイトルは、「昆布とミヨク」。
ミヨク?
韓国語で「わかめ」という意味だそうです。
つまり「昆布とわかめ」。
どういう企画展が開催されるはずだったのか、
メールをくださった玄角愛さんと
企画展の担当者、松田睦彦さんにお話をうかがいました

インタビューをお読みいただく前に、呼びかけをひとつ。
「ほぼ日カルチャんWEBショップ」での
販売を希望する方の募集を、この機会にはじめます。

前へ目次ページへ次へ

インタビュー #3

次は歴博で会いましょう!

───
日本と韓国の食文化ということでいいますと、
これは歴博さんのウェブサイトで
読んだのですが、
明太子のお話をぜひうかがいたくて。
松田
はい、明太子。
───
韓国からやってきた明太子は、
いまは日本式のものが
韓国で定着しているそうで。
松田
そうですね。
朝鮮式の明太子っていうのは、
戦前から九州や山口の方に
入って来てはいたんです。

───
そんなに前から。
松田
でもそのときはあまり広がらなかった。
戦争が終わって日本に引き上げてきた方が、
もう一度売り出したんです。
それがどうも、日本人の口に合わなかった。
朝鮮式って、塩辛文化なんですよ。
塩と唐辛子であえて、すこし熟成させる。

▲韓国は塩辛の文化。 国立歴史民俗博物館企画展「昆布とミヨク」会場写真 ▲韓国は塩辛の文化。 国立歴史民俗博物館企画展「昆布とミヨク」会場写真

───
塩っ辛そうです。
松田
それに改良を加えたのが、現在の明太子です。
日本の明太子は、出汁の文化なんですね。
調味液につけているんです。
かつお出汁なんかを効かせて。
塩辛とは、決定的に違います。

▲日本は出汁の文化。 国立歴史民俗博物館企画展「昆布とミヨク」会場写真 ▲日本は出汁の文化。 国立歴史民俗博物館企画展「昆布とミヨク」会場写真

───
日本人の口に合うよう改良したそれが
韓国の人たちの口にも合った。
これもまた、
お互いに受け入れている感じがします。
松田
そうですね。
───
オリジナルの明太子は食べたことありますか?
松田
ええ、韓国で。
───
どうでした?
松田
ちょっとクセがありますから、
好みがあるとは思いますが、
しっかりした味でした。
塩分と、魚の匂いが日本のより強いです。

▲日韓の明太子。 国立歴史民俗博物館企画展「昆布とミヨク」会場写真 ▲日韓の明太子。 国立歴史民俗博物館企画展「昆布とミヨク」会場写真

───
おもしろいなぁ‥‥。
お話をうかがっていると
どんどん展示が見たくなってきます。
今後、あらためて開催されるということは‥‥?
松田
うーーん、
もったいないので
開催したいのはやまやまなのですが‥‥。
そう、展示の様子を
You Tubeですこし見ることはできます。
※こちらからどうぞ。
3~4分の動画が5本あります。
───
そうですか。
それはぜひ、あとで拝見します。
松田
再開までのつなぎというつもりで作った動画です。
───
結果的には開かなかったわけですから、
展示の様子が見られるのは
You Tubeだけということですか。

▲国立歴史民俗博物館企画展「昆布とミヨク」会場写真 ▲国立歴史民俗博物館企画展「昆布とミヨク」会場写真

松田
そうですね。
ただ、共同研究の成果としては、
論文集がありますので。
一般の方々には図録もありますし。
───
こうなると、
図録があるというのは、ほんとうにありがたい。
展示が詰まっているわけですからね。
松田
ありがたいです。
───
図録だけでも、
かなり多くの方々が関わったのでしょうね。
松田
外部の専門家の方にもコラムのようなかたちで
参加していただきましたので。
書いた人だけでも20人以上になるかと。
さらに編集作業や写真の提供など、
述べ人数で言うとそうとうな数になると思います。
玄角
すばらしい図録なので、ぜひ読んでください。
───
もちろんです、たのしみです。

───
玄角さんと松田先生、
おふたりはふだん、お話されたりするんですか?
玄角
わたしが先生のところに
友の会の講座とか広報誌の
記事をお願いしに行く、という立場です。
───
なるほどぉ。
松田
わたしはカップラーメンを買いに(笑)。
玄角
そうですそうです(笑)、
カップラーメンも売っているんです(笑)。
───
いいですねぇ。
博物館は、何名くらいのスタッフで
運営されているんですか?
松田
研究部で約40名、
管理部も同じくらいの人数で、
フロアスタッフの方、警備の方‥‥
玄角
わたしが所属している財団法人の事務所は、
ミュージアムショップの店員が6名と
事務が4名。
松田
だいたい100人以上の規模だと思います。
───
そんなにいらっしゃる。
常設の展示にはどのようなものが?
松田
ぜんぶで6室あります。
「先史・古代」「中世」「近世」
「民俗」「近代」「現代」。
玄角
いちにちでは回りきれないですよ。
───
そんなに!
存じ上げませんでした。失礼しました。
松田
いえいえ(笑)。
───
松田先生は、この博物館で
別の企画展のご予定などあるのでしょうか。
松田
いまのところ予定は入っていないですが、
なにかおもしろいテーマが見つかれば
手を挙げてみようかな、と。
───
そのときはお知らせください。
玄角さん、
再び博物館がひらく日がたのしみですね。
玄角
はい。
友の会には、
歴博のことを好きな方が
ほんとうにたくさんいらっしゃるんです。
みんなでお勉強会をしたりとか、
先生の講座を受けたりとか、
週に何度もいらっしゃるような方々が、
いま歴博に行けないことがすごくさみしいと。
「まだ開かないの?」「いつ開くんですか?」
というメールをたくさんいただくんです。
───
うれしいですね。
玄角
はやくお客様と対面でお会いして、
以前のようにお話できるといいなと思っています。
───
もうすぐだと思います。
ぼくらも、かならず行きますので。
玄角
ぜひ! お待ちしてます!
松田
そのときは館内をご案内しますよ。
───
わー、たのしみです。
じゃあ次は歴博でお会いしましょう!
おふたりさま、
本日はどうもありがとうございました。
ふたり
ありがとうございました。
───
たいせつな図録、おあずかりします。
販売させていただきます!

(インタビューを終わります。 最後までお読みくださりありがとうございました。)

2020-06-05-FRI

前へ目次ページへ次へ
  • 世に出せなかった図録を販売します。

    『昆布とミヨク
    潮香るくらしの日韓比較文化誌』

    定価¥2,420(税込) 310ページ

    お買い求めはこちらからどうぞ。