前回の連載のなかで、
「ご実家などに眠っている
ファンシーなグッズはありませんか?」
と、呼びかけたところ、
メールやツイッターで
たくさんの投稿をいただきました。
どうもありがとうございます!
なんとメロさん、ほぼ全ての方の
投稿写真を鑑定してくださったんです。
ぱっと見ただけで、「あ、これはですね~」と
あらゆる方向に話が進んだ鑑定の様子を、
そのまま、こってりとお伝えします。
レアで貴重な「ファンシー絵みやげ」の数々、
その当時の時事ネタもおたのしみください。
担当はほぼ日のフジタです。
- ーー
- 続いての方は、コメントはなく、
お写真を3枚送ってくださいました。
(飛鳥緑)
- メロ
- いいですね、淡路島。
これは何がすごいというと、
国生み神話のイザナギとイザナミを
ファンシーカップルにしているところです。
イザナギが持っている
天沼矛(あめのぬぼこ)で混沌をかき回して、
それを抜いたときに落ちた泥で日本列島を作った、
というのが国生み神話なんですけど、
そのとき最初にできたのが淡路島とされています。
淡路島には伊弉諾(いざなぎ)神社もありますし、
淡路島のキャラクターとしてはイザナギと
イザナミが多いですね。
- ーー
- 中が揺れるようになっているし、凝っていますね。
色もあざやかで素敵です。
(飛鳥緑)
- メロ
- これはさっきの大門多美先生と
同じしおりのシリーズですね。
北海道のキタキツネかな。
- ーー
- 飛鳥緑さん、まだありますよ。
これはすごい。見るからに要素が満載です。
(飛鳥緑)
- メロ
- 甲子園で、星型で鍵型で鍵の中に砂時計、
しかも砂がピンク。
そして星型部分は、オーロラが光るホログラム仕様。
甲子園というと、阪神タイガースの本拠地であり、
高校野球の聖地である甲子園球場ですが、
観光地でもあるわけで、
商品がいろいろ作られているんですね。
これすごいのが真ん中にいる応援団長。
右がチアリーダーで左に高校球児か野球選手。
「野球選手がセンターじゃないの?」って思います。
- ーー
- たしかに。
- メロ
- 構図の問題なのかもしれませんが、
これがセンターだというのがおもしろいし、
めずらしいですね。
この甲子園という文字が
ちょっとロゴマークっぽくなっていますが、
これは当時の球場公式のロゴかもしれないです。
会社が勝手に作ったにしては、
凝りすぎているような気がします。
球場施設はだいたい
「認められた業者しか球場内で売れません」
というのもあるので、ちゃんとそうやって
ロゴを使っているケースがありますね。
(飛鳥緑)
- メロ
- 高徳瑞女先生のイラストですね。
右下にはエキスポランドの絵があるんですが、
このジェットコースターの柱に「瑞女」と書いています。
- ーー
- それでわかるんですね、さすが。
- メロ
- エキスポランドというと、
大阪にかつてあったエキスポランドが有名ですけど、
もともと万博をした場所ですね。
今、沖縄の美ら海水族館になっているところ、
あそこも海洋博の跡地でして、
エキスポランドがあった場所です。
他にも、玉泉洞とか沖縄の
観光スポットが絵になっています。
首里城の守礼門もあります。
この前火事で燃えた首里城の正殿は、
たぶんこの時代はまだ復元されていないと思いますね。
パッと見て絵がないようなので。
もしかしたら首里城の
正殿復元前のものかもしれないです。
- ーー
- 沖縄の話がでましたが、
つづいては北海道です。
北から南まで、全国津々浦々ありますね。
おそらく1984~1987年頃の、
北海道土産のハンガーです。
よろしくお願いいたします。
(たきぞう)
- メロ
- 1984年から87年頃というのは
どこから推測されたんでしょう。
そこが気になります。
- ーー
- そのころに買われた、とかでしょうか。
- メロ
- そうですね。
「北の国から」と入ってますが、
これはドラマの『北の国から』が流行ったことで、
とりあえず文字だけ入れよう、
ということでしょうね。
「北の国から」というのは、
まあ一般的な言葉とも言えるので
無許可で使ってそうです。
最初の放送は1981年、その後、
スペシャル版が1983年からだから、そのあたりから
このハンガーの年代を推測されたのかもしれませんね。
そして、ほっぺたの下にあるのは手なんですかね、
それとも襟かな? ちょっと気になります。
お正月に滋賀の実家で、
両親の寝室の引き出しから発掘しました。
現在40代半ばの私がおそらく小学生のころに
家族旅行で自分のお土産に買った
(買ってもらった?)ものです。
場所は確か三方五湖だったように記憶しています。
値段は350円
(もちろん消費税なんてありません)、
郵便番号は5桁です。文通の時代、
レターセット集めるの流行ってたんですよねー。
(いりこ)
- メロ
- 「滋賀の実家で、正月に両親の寝室の引き出しから」
なぜ両親の寝室の引き出しを見たのでしょうか。
三方五湖、というと、福井県ですね。
- ーー
- おお、さすがすぐわかる。
日本全国で保護活動なさっているだけありますね。
- メロ
- イラストのタッチもいいな。
これはさっきの高徳瑞女先生とか
大門多美先生のものに近いですね。
たぶんこれは同じ会社のものですね。
350円という値段からも、描き方も似ているので。
これはもう完全に、どこでも売れるように作られた、
どこでもない風景が描かれていますね。
でも間違いなく観光地で売っているものです。
観光地で書いてそこの郵便局から送る。
そういう需要があって作られたものですね。
お正月に新潟市の実家に帰ったときに
探してみたところ、
あちこちに普通に置いてありました。
いつからあったのかわからないくらい
部屋に馴染んでいたので、
今回ファンシー絵みやげの連載を読んで初めて
目に入ったというところです。
けれど親に聞いても、
さっぱり覚えてないそうです。
熊のベルは見えにくいところに
AKAKURA&MYOKOとあったので、
妙高あたりの絵みやげかと思います。
連載はとても楽しく読ませていただきました。
私も修学旅行でファンシーなおちょこを父親に
買っていったとか、自分用にキーホルダーを
買っていたことを思い出しました。
(かきすけ)
- メロ
- 「部屋に馴染んでいた」、はい、わかります。
普段は気にしてなくて、
言われてみたらウチにもあったってケース、多いんです。
これ、さっきも出てきた妙高高原ですね。
赤倉温泉は新潟県と山形県にあるけど、
「アンド妙高」と書いてあるなら、
もうこれは新潟県の赤倉です。
「ファンシーなおちょこを父親に買っていた」
というのもいいですね。
- ーー
- お父さんにはやっぱり灰皿か
おちょこって決まっているんですね。
- メロ
- お父さんがお酒を飲むとか、
タバコを吸う人ならわかりやすいんです。
何をあげたらいいか迷わないし。
ところで、「AKAKURA&MYOKO」のロゴ、
たぶんこのコルクを貼る位置に困って、
ベルの裏側に貼ったんでしょうね。
- ーー
- これ、2行にできなかったんでしょうか。
- メロ
- たぶんこのコルクのシールの形は
定形だと思います。
だからしようがなく細長い字で書く。
詰め込んでます(笑)。
(かきすけ)
- メロ
- これは沖縄の温度計。
‥‥ですが、後ろの「ウォーリーを探せ」の
ジグソーパズルが気になってしようがないです(笑)。
まずジグソーパズルを額装して
飾るというのが時代を感じますし。
そして、とにかくサーフィンブームですね。
これ「沖縄」とシールで貼ってあるので、
いろんな海水浴場で売られていたものですね。
- ーー
- 2頭身だけじゃなくて、
ちゃんとこういう細長いキャラもいるんですね。
- メロ
- そうですね。
基本的に2頭身が多いんですけど、
3頭身、4頭身もあります。
(かきすけ)
- メロ
- 那須高原。ダジャレですね。
那須高原は、ご当地キャラクターに
「九尾の狐」がいるんですよ。
「殺生石」というのがありまして、
それが形を変えた「九尾の狐」。
ただ妖怪だし、9個尻尾を描かなきゃいけないので
ファンシーにしづらいので、少ししか見つからない。
そこで野菜の「ナス」にしちゃうケースは
非常に多くあります。それです。
ファンシー絵みやげにダジャレは意外と少なくて、
しかもダジャレでキャラを作らないんですけど、
那須高原は特別です。
押し入れから救助して洗濯しました!
沖縄土産です!
(ななまる)
- メロ
- 「100%ヘルシーがんばるくん」。
いかにも子どもが好きな
半裸と全裸のキャラクターですね。
「僕らはライバル」とありますが、
「ライバル」のスペル‥‥すごいな。
「raibalu」って、こんなスペルじゃないですよ。
ローマ字だとしてもラ行で
「R」と「L」が混在してます。
- ――
- 「rival」が正しいです。
- メロ
- ですよね。
「君には負けないぞ。
あっぱれ、あっぱれ、げんきくん」
とか言ってる場合じゃないです(笑)。
この黒地に蛍光色というのも当時のブームで、
今はあまり見ないです。
黒地に蛍光色にするって、
ネオンサインっぽくてすごく映えるんです。
当時はやっぱり派手なものが好まれたんですね。
これは30年ほど前に
軽井沢で買ったメモスタンドです。
実はこのシリーズのその後の行方を
本気で探しています。
確か「OMOIKIRI/NIGHT」だったと思います。
これはくろ豆様で、仲間に栗きんとと様という
クリーム色のキャラクターがいたかと思います。
山下メロさん、もし、
もしご存知でしたら教えてください!
もう少し探せばこのくろ豆様のぬいぐるみとかもあります!
(よんハハ)
- メロ
- 続いて、「軽井沢で買ったメモスタンド」ですね。
「もう少し探せばこのくろ豆様の
ぬいぐるみとかもあります」
とのこと。
ぜひ探してほしいです。
ただ、このシリーズのその後といっても、
残念ながらこの会社のことは詳しくなくて、
知らないんです。すみません。
ただ「栗きんとと様」といったら、
送ってくださった、裏側の写真に
描いてあるこのネコのことですね。この子。
(よんハハ)
- ーー
- かわいい。
栗きんとと様。
- メロ
- うちにもいます、このキャラ。
かわいいですよね。
今住んでいる家は夫の実家で、
結婚したときは義姉の部屋や夫の部屋に
たくさんのファンシーグッズがあったのですが、
7年前家を建て替えた際、殆ど処分してしまいました。
唯一残っていたのがこの陶器のビールジョッキです。
夫が1986年に友人3人とフェリーで北海道に行き、
バイクで一周した時に購入したそうです。
(スナックしおから)
- メロ
- こんにちは。
スナックしおからさんは、
旦那さんのご実家に住んでるんですね。
いやあ、おみやげ品というのは基本的に
人からもらったものなので捨てられないんですよね。
親も、捨てちゃダメでしょ、みたいに言いますから。
ただ、引っ越しとか建て替えになると、
免罪符のようにあっという間に捨てられるという。
これはしょうがないです。
「ほとんど処分してしまいました」、
しょうがないです、みんなそうです。
「唯一残っていたのは陶器のビールジョッキです。
陶磁器ですかね、これ。
そしてなるほど、ちゃんと1986年と彫ってる。
これはいいですね。
- ーー
- どのあたりがいいでしょう。
- メロ
- はい、まず、
ビールのパッケージを模してるんですね。
「LIVE BEER 100% HEALTY」
とありますが、
どういう意味かな。生きてるビール?
- ーー
- 生ビール100%?
- メロ
- 生ビールを直訳でLIVE BEER。
メチャクチャですよ、もう。
しかも、ビールだけど、
「100%ヘルシー」。
- ーー
- (笑)
そうですね。
- メロ
- このエンブレムみたいなWMって書いてあって、
まるでワーナーブラザーズの
「WB」みたいに書いてますね。
ホワイトマジックって下にリボンで書いてあったり、
やたら裏側にも書いてあったりで、
これがブランド名っぽいですね。
ここで特筆しなきゃいけないのは、
両側に「HOKKAIDO JAPAN」と入ってるんですけど、
このJAPANという表記が大変めずらしいんです。
今でこそインバウンドの外国人の方増えたので
JAPANって書かれたおみやげって多いんですけど、
当時はそういう感覚がないので、
ファンシー絵みやげで
JAPANとか日本って書かれてるものって、
ほぼ見たことがない。
- ーー
- ああ、なるほど。
- メロ
- これはおそらく、
ビールそのものにMADE IN JAPAN
みたいな表記があるので、
ビールのデザインを模したかったがゆえに、
入れてるんでしょうね。
いろいろめずらしい要素がありますね。
あとこのキツネちゃんが、
ダボッとしたセーターを着てて、
ちょっと肩が落ちてる感じ‥‥
このディティールはなかなかめずらしいですね。
ここを細かく描くケースすごく少ないんですけど。
漫画的な、こんな細かい描き込み、
あんまりファンシー絵みやげ全体では見ない。
これはめずらしい。
このキャラ自体あんま見たことない。
当時多かったですよね、そういうダボッとした
ビッグシルエットのセーターを着て、
肩落とす、片方だけね。
- ーー
- ちょっとバンドマンみたいな。
格好いい。
- メロ
- そうそう。ビートパンクス。ジッタリン・ジンとか。
この肩の出てる感じ、いいです。
しかもペアマグ。
あれ、この左側、ちょっと欠けてないですか。
欠けても尚置いておいてくれてるというの、
すごくうれしい。
今後も大事にしてほしいです。
連載時から、そういえばうちにもあるな‥‥
と思っていた北海道みやげです。
年代もばっちり、1990年前後のものです。
(かおさん)
- メロ
- これNORTH FOXと書いてあって、
初代ファンシー絵みやげの
「ナキギツネ」と同じシリーズなんですよね。
ただちょっとめずらしいのは、
ナキギツネと違って大きく鼻を描いてます。
目の位置はすごい低いんですけど、
キツネ目で、目の真横に紅潮表現的なものがある。
この描き方は、その後姿を消していき、
さらに鼻を省略するというのが
一般的になっていきました。
そしてこれ、尻尾の中に
キタキツネの文字が入っていて、
最初のキがグイーンってなってます。
- ーー
- (笑)キがグイーンとなってますね。
- メロ
- キャベツの箱とかに書いてありそうな独特な
ロゴタイポグラフィーですね。
このキャラちなみに立体化もしていて。
ソフトビニールや、プラスチックでできた
キーホルダーや人形が存在します。
そもそも立体化するというのは、
当時の有名キャラだけに許されてる特権なので、
これも1つの有名キャラだったということですね。
その後消えてしまうんですが、
ほんとにナキギツネと同じく初期のキタキツネを
引っ張った重要なキャラクターです。
これは、キーホルダー掛けですかね、用途としては。
- ーー
- キーホルダー掛け。
- メロ
- 1つの、どこかにこの上の紐を掛けて、
その下に鈴がついてる、ちっちゃいベルがついて、
2つのフックみたいのがあって、
ここにキーホルダーがかかる。
何でもかかるんですけど、このサイズ感だと、
鍵とかキーホルダーぐらいですかね、
キーホルダー取るときにベルが鳴る。
すごく実用的です。
貯金箱です。(かおりん)
- メロ
- これは、陶器メーカーの貯金箱ですね。
「ルネ」とか、いくつか陶器メーカーがあって
町の陶器店でも売っているし、
地名とか関係なく全国に流通しているものなんです。
ただこれを観光地のみやげ店で売っていないかというと、
売っているパターンもあります。
なので、広義ではファンシー絵みやげと
呼べなくもない、という感じです。
でもいいです、かわいいですね。
実家(北海道)の食器棚で見つけた爪楊枝入れです。
(ぬりこ)
- メロ
- またこれは‥‥
ウシが哺乳瓶でミルクを飲んでいる。
子牛はお母さん牛から直接飲むはずなんですけど(笑)
「HOKKAIDO」はたぶんシールです。
陶磁器でデコボコしたものに印刷はできないので。
しかも、ウシのグッズは、
牧場とか日本中で売られているので、
あえて地名を入れていない。
急須みたいな取っ手が付いていますが、
もしかしたらコーヒーを出すときに
一緒に出すミルクポットだったかもしれないな、
と思ってます。後ろ側に注ぎ口があれば、ですが。
わからないですけど。
見たまんまの北海道土産です。
(みどりのり)
- メロ
- これまた時代を感じて、大変興味深いです。
衣装がアイヌの伝統的な模様。
ラワンブキかな、大きいフキがある。
そして、男女がフキの下でキスしています。
これはおそらく足寄とかかな。
大きいフキの葉っぱの下にいるこの2人は、
普通の人間な可能性もありますが、
アイヌの伝説に登場する
「コロポックル」かもしれません。
アイヌの場合、人間を登場させるときは、
だいたい酋長とかになるので。
白鳥もいるので、
屈斜路湖のおみやげの可能性がありますね。
- ーー
- これもファンシー絵みやげなんでしょうか。
- メロ
- これは難しいところですね。
まずこの人形はファンシー絵みやげとは言いづらいです。
いわゆる手芸のカントリー調の人形とも違うのかな。
ただ、北海道でも白鳥飛来地は
ほかにもあり得ると思うんですけど、
個人的に思うのは屈斜路湖。
コタン湯というアイヌの温泉があって、
保護活動のあいまに泊まりましたけど、
屈斜路湖の湖のきわっきわのところに
露天風呂があるんですよ。
白鳥が泳いでいる手前で入れるんです。
- ーー
- へえー!
- メロ
- 後ろには雪山がバーッと開けていて、いいところです。
白鳥なので、もしかしたら
屈斜路湖のみやげということなのかもしれない。
そういうことが衣装からも
読み取れておもしろいですね。
(つづきます)
2020-04-04-SAT