前回の連載のなかで、
「ご実家などに眠っている
ファンシーなグッズはありませんか?」
と、呼びかけたところ、
メールやツイッターで
たくさんの投稿をいただきました。
どうもありがとうございます!
なんとメロさん、ほぼ全ての方の
投稿写真を鑑定してくださったんです。
ぱっと見ただけで、「あ、これはですね~」と
あらゆる方向に話が進んだ鑑定の様子を、
そのまま、こってりとお伝えします。
レアで貴重な「ファンシー絵みやげ」の数々、
その当時の時事ネタもおたのしみください。
担当はほぼ日のフジタです。
- ーー
- さて、場所を変えまして。
前回までは「メールでの投稿編」でした。
ここからは「ツイッターでの投稿編」です。
- メロ
- はい、ツイッター。
こちらもたくさんありますね。
- ーー
- ツイッターの特性上、
コメントの短いものもあります。
つまり、そのぶん情報が少ないので、
お写真から読み取れることでご判断いただけたらな、と。
- メロ
- わかりました。
後半お一人目、これは暖簾かな。
福島県会津若松市の日新館(白虎隊の学舎)の
お土産屋さんにて発見しました!
(なつこ)
- メロ
- 暖簾って撮影するの大変なんですよね。
こういうことを言っていいのかわかりませんが、
ベッドの端に置いて撮ったのでしょうか。
- ーー
- (笑)そこ見るんですか。
- メロ
- 私も経験があるんです。
結構な大きさのものなので、
壁に貼って撮るか、
誰かに持ってもらって撮らないと難しい。
日新館は「什の掟」で有名な場所ですね。
何がすごいって、色がピンクです。
白虎隊は、会津藩を守るために編成された部隊で、
全員が未成年の男子です。
飯盛山で、鶴ヶ城のほうで煙が上ってるのを見て
陥落してしまったと思い込み、
集団で自害したという歴史があります。
同じ未成年の学生が修学旅行で来て、
悲劇の歴史を学ぶ場所なんですね。
その鶴ヶ城をリアルに描いた背景と
ファンシーな絵を合わせ、
さらにピンク色に塗るという。
- ーー
- ピンク色に塗る。
- メロ
- 世界観を無視したピンク色。
当時、ランドセルも
男子は黒、女子は赤、という時代なので、
女の子向けのピンクと
男の子向けの青と2パターン作るものが多かったです。
たぶんこれ青もあるんじゃないかなと思います。
歴史的な意味合いより、かわいさの方が
売れるためには大事だということで、
奇抜な色をドーンと使ったんでしょうね。
幼いころ旅先で買ってもらったものですが、
残念ながら地名表記がなく
どこのお土産なのか分からず‥‥。
色あせることなく
不思議と捨てられずに大切に残してあります。
(akemi)
- メロ
- 「残念ながら地名表記がなく、
どこのお土産かわからず」とありますね。
名前を選ぶ形式のおみやげには、
めったに地名が入ってないです。
それこそ、たくさんの名前の分だけ
作らなくてはならないので
それに別々の地名を入れていったら
大変な数になります。
大量生産するために
地名は入れないことがほとんどです。
名前部分が見えるように
タオルを折り畳んだ状態で売っていて、
その中から自分の名前を探して買う、というものですね。
- ーー
- はい、この前も出てきましたね。
- メロ
- 結構いろんなところで見ますね、これは。
今も観光地で見かけることがあります。
ただ全ての名前が揃ってることはほとんどなくて、
残った名前だけがカゴに詰め込まれてたりしてます。
そしてタオルの右上に書かれた
「ダン&ベティ、ムー&ミー」は、
名前だと思うんですが、
どれが誰かわかりません(笑)。
けっこう小さなタオルなので、
ランチボックスを包むというよりは、
お昼のときに手を拭きましょう、というものですね。
観光地の名前などは入っていないので、
ファンシー絵みやげではないのかもしれませんが、
イラストがファンシーかな?とおもったので、
鑑定お願いします!
(ハナ)
- メロ
- これは、たぶん陶磁器メーカーが作ったもので、
ファンシー絵みやげではないと思います。
ただ言いたいのは‥‥
私も好きで持ってます。おそろいです。
- ーー
- メロさんとおそろい。
この絵が好きで買われたんですか?
- メロ
- そうです。
マグカップと、カップ&ソーサーと、あと鍋つかみ。
ハナさんと同じく私の琴線にも触れております、
ということは伝えたいです。
これは観光地で売られてる、というよりは、
おそらく陶器メーカーとかが作って、
町の陶器屋さんやファンシーショップで
売っていたものかもしれません。
具体的な流通経路はわからないんですけど、
ファンシー絵みやげの要素をすごく持ってます。
ちょっと少女漫画寄りのタッチで。
(ハナ)
- ーー
- 次の方は、投稿してくださった写真は2枚、
でも1枚のなかに、いろいろあります。
義実家にて。
半年前に「こういうのはもうとっておいても仕方ないか」
なんて話していて、
もしかして捨てちゃったかな‥‥と。
良かった、まだとってあった。
鑑定してもらえたら嬉しいな‥‥わくわく。
(mn)
- メロ
- まだ取ってあって、良かったです。
捨てないでください、ほんとに。
捨てるぐらいなら私に寄付を(笑)。
まず左上の「行くぞ甲子園、強いぞ野球部」。
これ、まさに部活ものですね。
- ーー
- あれ、今回の鑑定で
はじめてじゃないですか、部活もの。
- メロ
- そうですね。
さきほど甲子園のキーホルダーが
ありましたが(※第5回)、
こちらは「行くぞ甲子園」ですから
行ってないわけです。
行ってないということは、
甲子園のお土産ではないのです。
もしかしたら甲子園でも
売られてたかもしれないですけどね。
これは、このどでかいバットに書いてある通り、
「私は野球部です」
ということを表明するために買うものです。
2、30人くらいで合宿へ行き、
お土産コーナーへ寄ったときに、
「俺たち野球部だよな。みんなで買おうぜ」と、
集団圧力で全員が買ったりするわけです。
- ーー
- はい、想像できます。
- メロ
- 今の若い子も「○○部」というものを
つけてたりするんです。
部活に対する忠誠心は今も変わらないですから。
ただ、デザインが全然違います。
この前は、Tシャツに、
「俺たちの心は常に一つ」みたいなフレーズが
ポエムのように書いてあるのを見ました。
このキーホルダーは、そういった
部活ものの源流とも言うべきものですね。
そしてその下、傘のキーホルダー。
これは「アメダス湿度計シリーズ」ですね。
- ーー
- え、アメダス湿度計?
- メロ
- 新選組で誰でもないキャラを作るときって、
新選組の「誠」のマークから
「誠くん」にされがちなんです。
手に持っている傘も、本来なら和傘なんです。
でもこれは洋傘を持っている。
- ーー
- たしかに、
スワローズの応援みたいになってますね。
- メロ
- 東京音頭聞こえてきそう(笑)。
この洋傘部分には湿度で色が変わる素材が
貼ってあったと思うんですが、
時を経て状態が悪くなってしまってます。
傘の部分で天気予報みたいなことができるんですね。
あまり正確じゃないですけど、
そのときの湿度によって、
晴れだの曇りだのという天気が表せるんです。
- ーー
- この傘の色が変化するんですか。
へええ。
- メロ
- 最初に売られていたときは、
赤は晴れとか青は雨とか書かれた
説明のシールが貼ってあったと思います。
このシリーズ、ものすごく多くて、
クジラが傘を持ってたりとか、あらゆるキャラクターが
傘を持たされるという異常事態になってるんです。
- ーー
- 異常事態(笑)。
- メロ
- 左上は上州路。
赤城の山と国定忠治ですね。
これめちゃくちゃかわいいなあ。欲しい。
- メロ
- 何がすごいか説明します。
前回(※第2回)、いろんなキャラクターが
スポーツバイクに乗せられてるという話はしましたよね。
あれは大体真横とか前から描かれてました。
でもこれはちょっとななめ後ろから描かれています。
- ーー
- あ、そうですね。
- メロ
- つまりちょっとななめ後ろからとらえることで、
足の掛かり具合とか、
ハンドルの握り具合がわかるわけです。
でも普通そんなディティールは描かない、
資料写真そのままの真横のバイクを描いて適当にごまかすところを、
ちゃんと乗ってる感じに描けています。
しかも国定忠治を使っていて、味わい深すぎます。
この漫画的表現もいい。
- ーー
- たしかに少年漫画っぽい表現です。
- メロ
- 「WE ARE GOOD FRIENDS」とありますから、
友達にあげるものですね。
上のほうの液晶部分、これは
温度計になっていて、さっきのアメダスと違って、
こちらは温度で色が変わる液晶印刷を用いています。
薄く16、18と出ているのが気温です。
更に最上部に、0、1、5,10、30、50と
小さな数字が書かれています。
何の数字かわかりますか?
- ーー
- わからないです。
気温じゃないなら、湿度ですか?
- メロ
- これややこしいことに、
テレホンカードを模してるんです。
- ーー
- えええ(笑)
全然気温関係ない。
- メロ
- 混乱の極みです。
気温関係ないです。
この時代、テレホンカードが流行ったんです。
多いんですよ、このパターン。
数字と数字でややこしいんですけど‥‥。
これが当時の「何でも詰め込む精神」です。
- ーー
- はあー。お見事です。
mnさんからもう1枚お写真がきています。
(mn)
- メロ
- あ、これも同じように温度計で、
液晶部分に16という数字が見えてますね。
使われている絵は、
岩手県の花巻のイラストマップですね。
有名な伝統芸能、鹿踊りの絵が描いてあります。
このキーホルダーが
「ファンシー絵みやげ」かというと、
非常に判断が難しいところですが、
地図を基にしたイラストマップというのは、
当時すごくありました。
- ーー
- 地図があると、実用的な感じがしますね。
- メロ
- そして「ワンパクサスケ」ちゃん。
手裏剣の形の上に、風車を持った忍者を描いてます。
風車の弥七ですかね。
いろいろいいものをお持ちです。
- ーー
- mnさん、たくさんありがとうございました。
次の方、いきましょう。
なまはげマグカップです!
(なつこ)
- メロ
- きましたね、なまはげ。
- ーー
- なまはげがかわいく描かれてますね。
出刃包丁は持ってますが。
- メロ
- なまはげは、2018年に、
来訪神の1つとして、
世界無形文化遺産に登録されました。
秋田というと、男鹿半島を中心に、
とにかく秋田全体なまはげなんですよ。
秋田犬、かまくら、竿灯祭り、
あと秋田小町‥‥と、
ほかにもいろいろいますが、
とにかくなまはげが強烈で、キャラクターにしやすい。
なまはげのお面って恐ろしいじゃないですか。
そのぶんギャップを出して、
「かわいくしました感」が出やすい。
- ーー
- 顔が赤なのにかわいく見えるって、
すごいことですね、これ。
- メロ
- あと、ものによっては、
なまはげが私服なこともあります。
- ーー
- なまはげが私服?
- メロ
- 私服を着ているなまはげもあるんです。
子どものなまはげで、
普通にパーカーみたいの着ていて、
なまなまキッズ、みたいな。
このマグカップはちゃんと藁の服を着ているし、
藁の深靴も履いている。
男鹿の観光案内所に
どでかいなまはげが立ってますが、
これと同じ装いをしてます。
実家にて。もっとたくさんあるはずなのに、
見つからなくて悲しい。
鑑定していただけますように。
(hiyotori)
- メロ
- 「もっとたくさんあるのに見つからなくて悲しい」
もっとあるのかな。
引き続き探してほしいところですが、
でも知らないうちに捨てられている恐れもありますね、
実家ですから。
- ーー
- そうですね、実家とはそういう場所ですね。
- メロ
- 奈良の大仏さんの、カラー湯飲み。
上が白くてツートンカラーになってますね。
大仏さんがピース‥‥これ、無茶なピースに見えます。
奈良の大仏さんなので、
ほんとは右手をあげている。ピースじゃない。
しかも手も反対。
「Run Run」は、ランランじゃなく、ルンルン。
ファンシー絵みやげには、
ルンルンという表現がすごく出てくるんですけど、
これは当時『ルンルンを買っておうちへ帰ろう』
という本がベストセラーになりまして‥‥。
- ーー
- あ、林真理子さんですね!
もしかして、「ルンルン」表記は、
林真理子さんのエッセイからきたんですか。
- メロ
- 一応ルンルンは、
『花の子ルンルン』というテレビアニメと、
『ルンルンを買っておうちへ帰ろう』というエッセイ、
このふたつが源流とされています。
ルンルンは流行語になるぐらい一般化しましたが、
それまではなかった言葉です。
でも『花の子ルンルン』は名前なんですよ。
でも『ルンルンを買っておうちへ帰ろう』は気分。
そう考えると、ファンシー界に広まったのは、
林真理子さんのエッセイのほうかもしれません。
- ーー
- へえー!
- メロ
- で、このシカもすごいですね。
「三笠の山に出でし月かも」
阿倍仲麻呂ですね。
この湯飲みは、ふたつとも
現地で売られているのを見た覚えがあります。
- ーー
- さすがです。
さて、次、たくさんあります。
キーホルダー好きだったのでよく集めてました。
お気に入りは獲物を狙ってるカエルちゃん。
地名は書いてなかったけど、
裏に「草津」ってシールが貼ってありました。
あと、貯金箱。
(あじさい)
- メロ
- あ、「秩父路」がある!
秩父のファンシー絵みやげは少ないんですよ。
埼玉自体が少ないので。秩父いいな、欲しい。
あとこのカエルね、獲物を狙ってるカエル。
- ーー
- これ、あじさいさんのお気に入りだそうです。
- メロ
- 「DO! UP!」というシリーズ、ノリがいつも変なんです。
これはハエを狙いつつ、
「腹減った、ご協力お願いします」と書いてる。
- ーー
- 食わせろと。
- メロ
- まさにでもこういうノリです。
かえる以外に、カニを見たことがあります。
でも、どれも結構いいものをお持ちですね。
- ーー
- あじさいさん、たくさんありがとうございました。
次は湯呑みとマグカップをお送りくださった方です。
実家にあった湯呑みです。
白虎隊、hyokin boyって‥‥。
(hiyotori)
- メロ
- 「He is a very hyokin boy」って、
急に英文の中にローマ字で
「hyokin」が入ってますけども、
ひょうきんは日本語ですからね。
- ーー
- (笑)
- メロ
- これと同じ言葉が入ったもので、
バイクに乗っている新選組バージョンを
見たことがあります。
でも白虎隊のものがあったのは知りませんでした。
しかもスクーターに乗ってますね。
(hiyotori)
- メロ
- こちらは新選組のマグカップ。
「俺たち、町のガードマン」とありますが、
GADOMAN?
ガードのスペル、これじゃないですよ。
GUARDですよね、たしか。
すごいなあ、これをGADOMANと。
さらに裏側、新選組の隣に生きものがいるんですが‥‥
何でしょうね、これゾウ?
ネコでもイヌでもなさそう。
(hiyotori)
- ーー
- お姫さまにもみえますが、
ネズミ? 何でしょう。
- メロ
- この絵もはじめてだし、このキャラもはじめてだし。
何だろう。何か見覚えがあるような。
NHK教育テレビに出てきたキャラかな。
私もいろいろ見てきているので、
新選組にまつわるキャラは
ある程度わかるはずなんですけど、
さすがにこれはわかんないです。
- ーー
- これはわからない。
メロさんにもわからないことがありました。
- メロ
- 気になります。
このキャラが何かわかる人がいらっしゃったら、
ぜひ教えてほしいです。
(つづきます)
2020-04-05-SUN