前回の連載のなかで、
「ご実家などに眠っている
ファンシーなグッズはありませんか?」
と、呼びかけたところ、
メールやツイッターで
たくさんの投稿をいただきました。
どうもありがとうございます!
なんとメロさん、ほぼ全ての方の
投稿写真を鑑定してくださったんです。
ぱっと見ただけで、「あ、これはですね~」と
あらゆる方向に話が進んだ鑑定の様子を、
そのまま、こってりとお伝えします。
レアで貴重な「ファンシー絵みやげ」の数々、
その当時の時事ネタもおたのしみください。
担当はほぼ日のフジタです。
- ーー
- 次の方も、たくさんのお写真を
送ってくださいました。
- メロ
- 「YOKOHAMA’89」が2つありますが、
これは平成元年に「YES89」と略される
横浜博覧会が行われたときのものですね。
メインのマスコットは、
手塚治虫が手がけたブルアちゃんというキャラクターで、
裸の男の子が地球を持っている絵でした。
でも、「YES98」という名称や
ブルアちゃんを使うと使用料が発生するので、
オリジナルキャラを作って、
「YES98」とは言わない手法をとっています。
横浜といえば港ですので、
水兵さんみたいなセーラーカップルを使ってますね。
(けいこ)
- ーー
- なるほど。
- メロ
- このキャラクター、右側を向いてますよね。
これ、前(※第4回)にお伝えした、
右側を見ているキャラクターの
フォーマットを流用したか、
他社が勝手に似せて来たか、どちらかだと思います。
あとこの方の投稿でおもしろいのは‥‥
(たくさんの写真のなかから選んで)
あ、奥多摩のキツネちゃん、
これ、書いてないけど、
「星に願いを」のシリーズだと思うんです。
(けいこ)
- ーー
- 星に願いを。絵もかわいいですね。
- メロ
- 星が流れているので、
これはお星さまにお願いごとをしているんですね。
奥多摩エリアには、
湖やダムや立派な鍾乳洞があって、
観光客が多い場所なので、
いろいろな商品がつくられているんですけど、
特にこれといったキャラクターはいないんです。
基本的にキツネやクマやリスといった
野生動物ばかりです。
- ーー
- 「ジョイフルランド・奥多摩」というのも
いいですね。
- メロ
- あと、レアだなと思ったのは、
「陽明門」のキーホルダーです。
見ざる言わざる聞かざるの「三猿」が
描かれています。
これのおもしろいところは、
聞かざるだけ耳栓をしているところなんです。
(けいこ)
- メロ
- 普通こういうものには、
見ざるはサングラス、
言わざるはマスク、
聞かざるはウォークマン、
というイラストが基本なんですけど、
この絵は、見ざると言わざるだけ
手で押さえているのに、
聞かざるだけ耳栓。
しかも、「三ザルDAYO」の、三が漢数字で
ザルがカタカナ、
DAYOをローマ字って、この表記法もめずらしい。
- ーー
- (笑)たしかに。
- メロ
- 日光のお土産は、「日光」としか書かないし、
「東照宮」とすら書かないのがほとんどなんです。
だから、陽明門という特定の場所を書くというのは、
かなりめずらしい。
- ーー
- へえ〜。
あと、この赤い紐状の何かも
気になります。
- メロ
- ああ、説明不足でした。
これはよくあるフォーマットで、
下駄を模しているんです。
裏側には下駄の歯みたいなものが
ふたつ出ています。赤い部分は鼻緒です。
- ーー
- ああ、下駄!
- メロ
- ただ、このフォーマットだと、
せっかくの絵が見づらいんですよね。
普通に平面でいいんじゃないかと、
いろんなところで見かけるたびに毎回思ってます。
わざわざ穴開けて、そこに紐通して、
すごく凝ってますけど。
でも、こういう過剰さがおもしろいと思ってます。
陽明門、欲しいですね。
- ーー
- 「欲しい」がでました。
さて、次もお願いします!
こんなの出てきた。回転させて、
窓に表示される文字を変えられるやつ。
下にベルがついてたけど、なくなっちゃった。
(1073)
- メロ
- これはドアプレートかな。
「なくなっちゃった」というベル、
たぶん入室する人が鳴らせたんでしょうか。
これ地名はないみたいですけど、
飯ごう炊さんとテントが描かれているから、
キャンプ地とか、その周辺の観光地で
おそらく売られてたんでしょうね。
ファンシー絵みやげよりも
ちょっと前の時代だと思います。
- ーー
- (笑)
- メロ
- でもこれ、いいイラストですよ。
私は好きです。
しかしメインのキャラは何なのか、
イマイチよくわかりません。
ほっかむりみたいなものをかぶって、窓を開けていて。
こういう出窓みたいな半円の窓は
昔のファンシー建築に見られますが、
リアルにこういう、上が丸くなった窓、
なかなかないですね。
去年保護したものです!
(寿司山寿司子)
- メロ
- なんかすごいの来ましたよ。
「去年保護したもの」ということは、
これ、去年まで残ってたんですか。
黒部峡谷、私も行きましたが、
これは見つけられなかったです。
黒部峡谷のトロッコ列車ですね。
立山黒部アルペンルートというのがあって、
富山の立山から長野に抜けるには、
トロッコに乗って、トロリーバスに乗って、
ケーブルカーに乗って‥‥
といろいろ乗り換えながら行くしかない。
途中、トロッコで赤い鉄橋を渡る。
一番特徴的なのは、
この赤い鉄橋を渡っているところで、
よくみやげもののモチーフになってます。
だいたいカップルが乗っているか、
動物が乗っているかですけど、
これは、先頭、トロッコそのものを
キャラクター化してますね。
- ーー
- (笑)
しかも張り切ってますね、
「行くぞ!」みたいに。
- メロ
- かわいい。おもしろいです。
ただこれ、「ファンシー絵みやげ」の
くくりに入れるかどうか難しい点があって、
よく見るとシールなんです。
- ーー
- シール? あ、ほんとですね。
- メロ
- ちょっと色数が多いでしょう。
ファンシー絵みやげの時代は、
ここまでの色数は使わないです。
たとえば赤い鉄橋の麓にある緑も2色あります。
こういう表現はほぼないんです。
1色でベタッと塗って終わりで、
影もあまり描かないんですよ。
ちょっと印刷方式が新しいような印象です。
- ーー
- なるほど。
レトロ感もあるけれど、
少し新し目のお土産ではないか、と。
- メロ
- まさに過渡期の、90年代最初の方に出たのかも。
そういう意味でめずらしい気がします。
小学生の頃、お誕生日会やお土産で貰ったものです。
(m)
- メロ
- このモザイクみたいなものは何でしょう?
- ーー
- 投稿いただいた画像がこうなっていましたので、
おそらく背景を加工されているのだと思います。
- メロ
- これは京都の新選組ですね。
六芒星みたいなパーツの下に、
メタルのパーツが3つ付いています。
- ーー
- かっこいいです。
- メロ
- あとこのカニ。
このシリーズは、ほかにも恐竜なんかがいます。
これ、すごいのは、
新選組、3つとも全部キャラクターが違ううえに、
レリーフ調の半立体で作っている。
かなり手間がかかってます。
(m)
- メロ
- これはファンシー絵みやげとは
違うかもしれませんね。非常に近いですが。
ちょっと「おはよう!スパンク」みたいな絵柄ですし、
少女漫画からきた
ファンシーグッズなのかもしれません。
おもしろいですね。
猫がオバケみたいになってますね。
もうひとつありました。
どこか旅行で行った先のお土産屋さんで
買ってもらったものです。
ビーズが取れているのは
自分が何かにビーズを使いたくて
取ったみたいです。
(m)
- メロ
- これは非常に、手芸寄りなカントリー感があります。
ただ、さきほどの犬のケースよりは、
こちらの方がおみやげ店で
売られている可能性が高いです。
- ーー
- mさんは、さらに2つ送ってくださっています。
今も現役のピニームーの裁縫箱と、
こちらもお土産でもらった
名前入りの指輪とキーホルダーです。
皆さんのファンシー小物が拝見できて
素敵な企画ですね。
(m)
- メロ
- 名前入りの指輪とキーホルダー、
これは、たしかに観光地で売られていました。
少し後の時代かもしれませんが。
やはりその場で名前を彫ってくれるサービスは
健在だったんですね。
裁縫箱に用いられている「ピニームー」は、
その後、「すみっコぐらし」や「リラックマ」が
大ブレイクするサンエックスのキャラクターです。
- ーー
- へええ。リラックマの。
- メロ
- 当時、裁縫箱そのものがファンシーで、
それを小学校で注文しましたよね。
- ーー
- あ、はい。私は、
「うちのタマ知りませんか?」
の裁縫箱でした。
- メロ
- ‥‥お、その話になりましたか。
その話をさせていただくと、
うちの学校も、裁縫箱は
「うちのタマ知りませんか?」でした。
ただ私には7つ上の姉がおりまして、
私が小学校に入ったとき、姉は中学生。
つまり姉の要らなくなった
お下がりを使わさせられてたんです。
習字セットは、女子用の赤い習字セットを持たされ、
それが恥ずかしくて、
習字セットを墨で全部黒く塗りました。
でもところどころ剥がれてきて
赤が見えてきちゃって‥‥。
- ーー
- (笑)
小学生にとっては一大事ですね。
- メロ
- そうです。子どものころはすごく嫌で、
絵の具セットだけは親に無理を言って、
中身はいいからバッグだけ、
バッグだけは青いやつ買ってくれ、みたいな、
そういう苦労をし続けてきたんです。
その最たる例が裁縫箱!
- ーー
- 裁縫箱、はい。
- メロ
- みんなが一斉に、
かわいい「うちのタマ知りませんか?」
シリーズの裁縫箱を注文。
クラス全員がお揃いの、猫のイラストですよ。
そんな中、自分だけ、
リアルな子猫の写真の裁縫箱だったんです。
みんなはファンシーな猫のイラストを使っているのに、
私だけリアルな、猫の写真。
- ーー
- リアルな猫の写真。
それもかわいいと思いますけど、
みんなと違った、という
思い出が蘇ってきたわけですね。
- メロ
- ええ、ピニームーを見ていたら、
トラウマを思い出しました(笑)。
- ーー
- この企画の最初のほうの投稿でもありましたが、
裁縫箱にはファンシーが
使われがちだということですね。
- メロ
- そう。
私が手に入れられなかったファンシーです。
(つづきます)
2020-04-06-MON