糸井重里が監修し、企画、設定、全シナリオを手掛けた
RPG『MOTHER』シリーズ。
そのことばをすべて収録した本を
2020年12月に発売したことをきっかけに、
立ち上げたのが「ほぼ日MOTHERプロジェクト」です。
『MOTHER』にまつわるコンテンツや
アイテムをつくっている本プロジェクトのなかから、
代表的なアイテムの
つくり手のお話や現場のようすをお伝えします。

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ペーパークラフト サターンバレー 第1回 2010年8月の企画書が実現しました!

『MOTHER2』のサターンバレーが
ペーパークラフトになりました。
どせいさんのおうちの屋根をとると、
部屋のなかには黒電話やテーブルが。
ピンク色の温泉には、
どせいさんミニフィギュアが入浴できるよう、
くぼみをつくりました。
工作がたのしい、そしてできあがったあと
インテリアとしてうれしいアイテムです。
※どせいさんミニフィギュアは別売です。

つくってくれたBANDAI SPIRITSの
フィギュアプロデューサー、
阪田典彦さんにお話をうかがいました。

──
このペーパークラフトは
昔、阪田さんが持ってきてくれた
分厚い企画書にあったんですよね。
たくさんのアイディアがあったけど、
そのなかで、サターンバレーのジオラマが、
わぁ、素敵だなぁと思って。
でも、夢のまた夢と思ってました。
それが実現するなんて!

阪田
そうですね。
当時は、今みたいに
『MOTHER』のプロジェクトが
始まってたわけではないので。
完全に僕とデザイナーさんの個人的趣味で
企画を持ち込みました。
僕ら、当時バンプレストっていう会社で‥‥。
──
ほんとだ。
企画書にバンプレストって書いてある。
2010年8月ですね。

阪田
当時も思ってたんですけど『MOTHER』って、
僕もいろんなキャラクターのフィギュアとか、
おもちゃをやらせていただくんで思うんですけど、
『MOTHER』ぐらい背景が引き立っている
コンテンツって、
けっこう少ないかなと思っていて。
──
え、そうですか?
阪田
はい。どこを切り抜いても絵になるというか。
ほぼ日さんが手がけられている商品も、
おそらく背景をメインにしたものを
今までやられてると思うんです。
それって、普通はあまりないんですよ。
──
背景‥‥ゲームで言えば、
町の情景とか?
阪田
そうです、そうです。
たぶん『MOTHER』は、
けっこうそういうのが得意で。
──
そうかもしれません。
マップごとに街の雰囲気が
全然違いますもんね。
阪田
はい。それがめちゃくちゃ際立っているのが
特徴だなと思っていて、
どせいさんが人気あるので、
最初はサターンバレーからやってみようって。
当時、気合い入れてたんで、
大がかりなジオラマが作れたらいいな
と思ってたんですけど、
将来はもっとコンパクトにしたほかの街も、
やってみたいですね。
──
いいですねえ。
阪田
このサターンバレーの
ペーパークラフトって、素材は紙ですが、
すごい考え抜かれたもので、
パーツがとても多いですし、
安くはないんです。
だから、もっと手頃なサイズの
街をつくりたいなって思っています。
今回は、ちょっと気合いが入りすぎて、
やってしまいました(笑)。

──
やってしまったというくらい
すごいんですね。
そのおかげで、ほかにはない、
お宝にアイテムができました。
阪田
これ、作られる方も
けっこう大変だとは思います。
たぶん4~5時間は
かかるんじゃないかな。
貼る作業が‥‥、
とにかく貼る、貼る、貼るという。

──
お作りになったんですもんね、
阪田さんも。
阪田
やりました。やりました。はい。
没頭していただければなぁと。
うちは「ガンプラ」もそうですけど、
ものすごく複雑なプラモデルもありますが、
‥‥複雑っていっても、
組み立てること自体、
とても技術が進化してて、
だいぶ組み立てやすくなっていますが。
まあ、プラモデルって普通の人からすると
ちょっと敬遠しがちなのかも
しれないんですけど、
世界中で、もうほんと大人気で。
世の中には組み立てるとか、
作る楽しみを大事にする人が
実はたくさんいらっしゃるんですね。
──
へえー。
阪田
で、ペーパークラフトも、
たぶん作ったことない人が多い
と思うんですけど、
そもそも、30年前のゲームをいまだに好きで、
それだけ長い間、待ってた、
その耐え忍ぶ心があるんだったら、
ちょっと4~5時間組み立てるぐらい、
僕は何でもないんじゃないのかなと思っていて、
今回はここまでのスケールの大きいものを
ご提案しました。
──
30年間、耐え忍ぶファン心(笑)。
2025年に、このプロジェクトは
始まって5年目になるんですけど、
はじまった当初は、
こんなに長く続くとは
思っていなかったんです。
支えてくださるファンの方が
応援してくださるおかげです。
これほどの大物を、世に出せるのも、
ファンの方のおかげです。
開発も時間かかりましたねえ。
阪田
時間かかりましたね。
最初の設計ですすめたら、
もう数ヵ月前倒しできたんですけど、
デザイナーさん含め、
もっとこうしたいみたいなことが
どんどん出てきていて、
そういうところのねばりとかで。
あと、材質もプロトタイプからは
けっこう変えたので。
──
そうでしたね。
最初とは大きさも素材も変わりましたね。
阪田
で、これが最終版のサンプルなんですが、
いや、外袋、いいですよ。

──
かわいいー!
外袋の裏面に印刷されている
キャラのドット絵を切り抜けば、
ペーパークラフトに置けるんですよね。

阪田
キャラそれぞれの
フィギュアまで作るとなったら、
高くなっちゃうから。
これで、お好きに遊んでいただければと。
──
たのしい!
阪田
はい、飾って。遊んで。
ただ、作っといてなんですけど、
僕だったら切らないで
袋ごと取っておきます。
──
(笑)。
阪田
なんですかね。
『MOTHER』の世界とこの紙の親和性。
『MOTHER』は
紙のコンテンツではないですけど、
合うなぁって思います。

──
わ、ほんとに。
絶妙な立体感がいいですよねぇ。
温泉や池のところも、
段差があるのもいいんですよ。
阪田
温泉にどせいさんを
入れていただくこともできます。
──
気が利いてる。
阪田
こういうところも、無駄に。
──
プレゼントボックスを見るだけでも
気持ちが浮き立ちます。
阪田
はい。
──
この組立の説明書もすごいですよね。

阪田
一番、力が入りました、やっぱり。
──
説明書も素晴らしい。
ずっと見ていられるというか。
校正が出たときに、
チェックする自信がなかったんです。
で、阪田さんに正直に
「自信がない」とお伝えしたら、
「任せてください」と。
「プラモデルの会社ですから」
って言われて、あ、なるほどと。
こういうノウハウがすでに。
阪田
そうですね。
そして、デザイナーさんが大変でした。

──
この図解も全部、
作画するんですよね。
阪田
すごい大変ですよね、これ。
──
すごいです。
そして、作り方ですけど、
ハサミとかカッターはいらなくて、
パーツは指で押せば、きれいに取れちゃう。
歯型の精度がすごいですよねえ。

阪田
はい。
テープを貼ってもらえさえすれば
完成します。

(つづきます。)

MOTHER2
ペーパークラフト
サターンバレー
12,760円(税込)

素材
紙、専用テープ付き

サイズ
組み立てた状態 横385×奥行290×高さ190mm

重さ
900g


 

どせいさんミニフィギュア
1,540円(税込)

素材
本体PVC、台座ABS

サイズ
高さ55×横40×奥行40mm

重さ
50g

Model:
Leo Holderman / Nana Mchedlidze

Stylist:
Yutaka Aoki

Hair makeup:
Shoko Narita

Photographer:
Kyosuke Azuma(Styled Images)
/ Hiroyuki Oe(Product Detail)

 


 

2025-01-04-SAT

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