糸井重里が監修し、企画、設定、全シナリオを手掛けた
RPG『MOTHER』シリーズ。
そのことばをすべて収録した本を
2020年12月に発売したことをきっかけに、
立ち上げたのが「ほぼ日MOTHERプロジェクト」です。
『MOTHER』にまつわるコンテンツや
アイテムをつくっている本プロジェクトのなかから、
代表的なアイテムの
つくり手のお話や現場のようすをお伝えします。

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ペーパークラフト サターンバレー 第2回 ファン心をくすぐる工夫がいっぱい。

阪田
当時の『MOTHER』をやった人なら、
きっと気に入ってくれると思うんですが、
たとえば、この「ぐんまけん」とかも
そうですけど。

──
(笑)
こんなところに「ぐんまけん」が。
阪田
『MOTHER』は、
たぶん絶対に必要ではないものが
たくさんあって、
その心のくすぐり方が、
強烈にうまかったというか。
それで、僕も絶対に必要ではないものを
どこかに入れたいという‥‥。

──
あー。
11月に『MOTHER2のひみつ。』の
本ができ上がりまして‥‥。
取材で開発者の方々が、最初の2年ぐらいは、
ずっと自主練のようにドット絵を描いたり、
セリフを考えていて、
たまりにたまったものが
一気にぐっと凝縮した
というお話をしてくださって、
確かに遊び部分というか、
寄り道がとても多いとおっしゃっていました。。
寄り道やふつうはムダといわれるものごとが
あふれていますよね。
阪田
ですです。
なので、箱も、お客さんが開けたときに、
なんかちょっとほっこりするような
ポイントがあるといいなあと。
──
はい。
阪田
なんですかね。別にそうしなくても、
たぶん、お客さんは文句言わないと思うんです。
──
はい。
このどせいさんのおうちも、
中は真っ白でもほんとはいい話で。
でも、屋根をとって、
電話とか見えると、かわいいって
テンションあがります。

阪田
両面印刷も
しなきゃいけないわけなんで。
──
メーカーさんの手間はかかるけど、
部屋の中もあってくれてうれしいです。
阪田
こういうのに、
「わー!」ってなりますよね。
おうちにどせいさんを
入れたいみたいな気持ちがこう‥‥。

──
あ、どせいさんが入るんですね。
阪田
入ります。
一応、家なんで、
どせいさん入るんですよ。
──
どせいさんが家にいるのが、
かわいいー!
阪田
なかなかちょっと
どせいさんが、
紙のお家に包まれてるだけで‥‥。
──
テンションが
むちゃくちゃ爆上がりしました、
ほんとかわいい。
阪田
できれば、どせいさんは
ちょっとできるだけ多く集めていただいて、
お家に住まわせていただけると。
──
そうですね。
このサターンバレーに
何人も住んでいるといいですね。
ところで、話がかわりますが、
制作でご苦労なさったところとかは?
阪田
そうですね。
どこまでやっていいのかな、みたいな。
──
ドット絵の平面を
立体化することについてですか?
阪田
2010年の時点では、
ペーパークラフトで作るつもりはなくて、
フィギュアの成型物を想定していたんですね。
ただ、それをやったら、
もうコストがとんでもないレベルに。
販売価格が数十万円とか、
たぶんいっちゃうと思うんですよ。
──
うわー。
阪田
それは現実的じゃないなと思ったときに、
ペーパークラフトの方々と知り合えて、
これだったらいけるなって。
ペーパークラフトを
バンダイとしてもそんなに
過去出してるわけでもないので、
とても勉強になりましたね。
例えば、切り株をどう表現するんだろうとか。
あ、こういうふうにできるんだとか。

阪田
で、ペーパークラフトも
たぶんおそらくここ10年で、
以前よりもたぶん技術が
上がってると思うんですよね。
そこまで難しくならずに作る方法の
お話を聞きながら、
制作していったという感じですね。
ペーパークラフトって
いろんな方向で作れるんですよ。
そこの線引きを決めるのが
難しかったというか、楽しかったというか。
──
阪田さんにしても、
ペーパークラフトはやり慣れたお仕事ではなく。
阪田
そうですね。
──
チャレンジャーですよね。
毎回、新しい領域に挑戦されていて。
阪田
まずペーパークラフトの方々に
設計をしてもらって、
後はそこにドットの要素を詰めていってって、
そのリレーをずっと続ける感じでした。
──
確かにすごくゲームの中にいる感じがします。
阪田
そうですね。
このドット感は
ペーパークラフトならではで。
おそらく成型物だと、
やっぱりドットはできないんですよね。
ほんとにやろうと思ったら
できなくはないとは思うんですが、
たぶん彩色の工程的に
ドットをひとつひとつ
手作業で塗っていたら、コスト的に‥‥。
やっぱり紙だから、
この『MOTHER』感が
出てるんだろうなみたいな。
──
ゲームのドットがそのまま生かされて。
阪田
はい。
もしかしたらお客さんも違和感なく、
ここにスーッと入れる。
まあ見慣れた風景というか。
入ってこれるんじゃないのかな。
──
心が浮き立つものを
つくってくださって、
ありがとうございました!

(おわります。)

MOTHER2
ペーパークラフト
サターンバレー
12,760円(税込)

素材
紙、専用テープ付き

サイズ
組み立てた状態 横385×奥行290×高さ190mm

重さ
900g


 

どせいさんミニフィギュア
1,540円(税込)

素材
本体PVC、台座ABS

サイズ
高さ55×横40×奥行40mm

重さ
50g

Model:
Leo Holderman / Nana Mchedlidze

Stylist:
Yutaka Aoki

Hair makeup:
Shoko Narita

Photographer:
Kyosuke Azuma(Styled Images)
/ Hiroyuki Oe(Product Detail)

 


 

2025-01-05-SUN

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