こんにちは、ほぼ日の奥野です。
以前、インタビューさせていただいた人で、
その後ぜんぜん会っていない人に、
こんな時期だけど、
むしろZOOM等なら会えると思いました。
そこで「今、考えていること」みたいな
ゆるいテーマをいちおう決めて、
どこへ行ってもいいようなおしゃべりを
毎日、誰かと、しています。
そのうち「はじめまして」の人も
混じってきたらいいなーとも思ってます。
5月いっぱいくらいまで、続けてみますね。

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第4回 やっぱり、ライブが最高。今は、何かうみだしたい気持ち。[ギターウフルセイジさん]

──
セイジさん、こんにちは!
今日は、お時間ありがとうございます。
セイジ
いやいや、とんでもない。
──
さっそくですが、こんな状況になって
セイジさんは今、何をされていますか。
セイジ
そんなに変わりはないよ。
映画を観たり、本を読んだりしてるね。
ふだんはギターの練習ってしないけど、
今は、けっこう弾いてるかな。
──
あ、そうですか。
セイジ
新しい曲をつくりたいなと思っていて。
ミュージシャンなら、同じだと思うよ。
この期間が終わったときに、
新曲ガーンと発表したいっていうのは。
──
何かを、うみだしたい気持ち。
セイジ
うん、そういう気持ちが高まってます。
つくりたいって欲求が、すごく。
──
音楽関係、イベント関係のみなさんは、
行動自粛の影響を、
とりわけ強く受けていると思うんです。
セイジ
そうだね。みんな、飛んじゃってるね。
──
音楽を「配信」してれる人たちもいて、
ぼくら「観る側」としては、
ありがたいなあと思うんですけれども。
セイジ
うん、ネット配信って方法は、
ライブとは、また「別のもの」として、
広まっていくんじゃないかな。
──
そこで、あえてお伺いしたいのですが、
日本だけでなく、
世界の都市をツアーしてまわっている
セイジさんにとって、
ライブの良さって、何だと思いますか。
セイジ
みんなとの「ドッキング」だね。
それがうまくできたら
最高の快感をみんなと分かち合える!
──
音楽自体はネットで配信はできるけど、
それでは代替できないもの。
セイジ
根本的に「ちがうもの」なんだと思う。
ライブは、爆音を直に浴びて、
隣の人とガンガンぶつかり合いながら
感情を丸出しにするものだから。
──
なるほど。
セイジ
ネットでのライブ配信は、
もっと冷静に見てもらえるよさもある、
とは思うけど。
──
ライブの前って、どんな気持ちですか。
セイジ
ウキウキとドキドキ。期待感と緊張感。
そのふたつが絡み合ってゾクゾクする。
──
ウキウキして、ドキドキして、
ゾクゾクする。いざ、はじまったら?
セイジ
もう、メチャクチャ(笑)。
──
ウキウキして、ドキドキして、
ゾクゾクして、
はじまったら、メチャクチャ。
セイジ
うん。はじまっちゃったら、
自分の魂を爆発させ続けるだけだから。
──
気持ちいいんでしょうね。
セイジ
最高に気持ちいいよ!
だから、1日も早くライブをやりたい。
そのためにも、
今は我慢して終息させていかないとね。
──
そんなセイジさんが
大人しくステイホームしてるんだから、
ぼくらも、
時期がくるまではがまんだと思えます。
今年の海外ツアーも、おやすみですか。
セイジ
7月までに組んでいた
ヨーロッパの各都市をまわるツアーも、
3月の時点で、
ヨーロッパから中止だと連絡がきた。
今は、秋にいつも島根県でやっている
シマネジェットフェスと、
その後に予定してるアメリカツアーが、
できるかどうかって状況。
──
やれるといいですけどね‥‥。
セイジ
どうだろうね。
──
どの都市をまわる予定だったんですか。
ヨーロッパツアーでは。
セイジ
そのときどきによってちがうんだけど、
前回はドイツとかだったから、
今回はスペイン、イタリア、フランス。
──
おお。
セイジ
あるいは、少し上の方へ足を伸ばして
スウェーデン、フィンランド、
ノルウェー、デンマークへ行ったりね。
──
北欧方面。
セイジ
あと、イギリスだね。
ヨーロッパツアーは
だいたい1ヶ月くらいかけて。
1年に1回か2回は
行っているのだけど。
──
それぞれの国によって、
ファンの人の感じってちがうんですか。
セイジ
俺らが最初にアメリカやヨーロッパを
ツアーでまわりだしたのは、
もう24、5年くらい前なんだけどね。
そのころは、
まだインターネット黎明期だったんで、
その土地その土地で、
けっこう色が際立ってた気がするなあ。
──
インターネット以後は‥‥。
セイジ
ちがいが薄まってきてる気はするかな。
昔のスペインなんてさ、
何のせいなのかはよくわからないけど、
ものすごかったからね。
──
お客さんのテンションが、ですか。
セイジ
うん、異常な状況だった。
南米のアルゼンチンでやったときにも、
当時、株価が暴落して、
お客さんの鬱憤がたまっていたのと、
海外のロックアーティストが、
けっこう、めずらしかったみたいでね。
──
ええ。
セイジ
暴動寸前みたいな感じになっちゃって。
あのときもヤバかったよ。
──
でも、今から20何年も前に、
ギターウルフみたいに
海外ツアーをまわっていた人たちって、
どれくらいいたんですか。
セイジ
そんなには、いなかったんじゃない。
──
どういうきっかけで、
海外ツアーへ出ることになるんですか。
セイジ
俺たちがやってるのは、
ガレージパンクという音楽なんだけど、
アメリカのシアトルで
ガレージパンクのフェスをやっていて、
最初、そこに呼ばれたんだよ。
まさか海の向こうの人たちが、
俺たちを見ていると思わなかったんで、
ビックリしたんだけど。

──
ええ。
セイジ
そのとき向こうに友だちができたんで、
その後もライブするようになった。
そうするうちに、
マタドールってレーベルから話がきて。
──
有名なインディーズレーベルですよね。
セイジ
うん、ジョン・スペンサー
(・ブルーズ・エクスプロージョン)
とかが、いっしょだった。
──
日本のミュージシャンで言いますと、
コーネリアスさんだとか、
ピチカート・ファイヴさんだとか。
当時「ジョンスペ」のアルバムを
めちゃくちゃ聴いてたので、
いっしょだったなんて超リスペクトです!
セイジ
世界ツアーは、
マタドールの人たちが組んでくれたんだ。
そのとき世界の人に知ってもらったんで、
今でもライブできてるって感じ。
──
世界をツアーでまわると決まったときは、
どうでしたか。
セイジ
命からがらだったよ。最初は。
──
セイジさん、それ、何歳だったんですか。
セイジ
30ちょっとかな。
一発目のツアーが2ヶ月もあったんで、
何がきつかったかと言うと、
やっと1ヶ月が終わったときに、
「あと1ヶ月もあるんだ」
って、果てしない気持ちになったこと。
──
「長い」と(笑)。
セイジ
今は、そんな過酷なツアーも、
へっちゃらで、できるようになった。
楽しくやっているよ。
──
ラヂヲ先生もおっしゃってましたけど、
ギターウルフの作品って、
曲そのものももちろんですけど、
タイトルが、すごくいいと思うんです。
たとえば「環七フィーバー」なんかは
すごい好きですし、
最新アルバムの『LOVE&JETT』でも
「パリのスケバン」とか(笑)。
セイジ
ああ(笑)。
──
8曲目の「ボーリングIN高田馬場」は、
「駅前のBIGBOXかな?」と思ったり。
セイジ
ああ、あれは、また別の。
小滝橋の方に歩いていくとある店でね。
──
でも、そのあたりの感じって、
海外の人には伝わらないわけですけど、
それでも、
ライブでは通じ合えるものなんですか。
セイジ
もちろん、もちろん。
アメリカでロックンロールがうまれて、
イギリスに渡って、
60年代には
ビートルズやストーンズが発展させた。
──
ええ。
セイジ
そういうロックの歴史を考えると、
日本から
ロックンロールをやりに行くなんて、
ちょっと照れくさいなって、
そういう気持ちもあったんだけどね。
──
そうなんですか。照れくさい。
セイジ
でも、その照れくささを振り切って、
自分のほうから爆発して、
ズガーンと爆音を轟かしてやったら、
その瞬間、
あっちとこっちの垣根がなくなった。
──
おお。
セイジ
カッコいいと思うものに対して、
本能的に、ワーッと手上げてくれた。
そのことが、うれしかったな。
ライブでしか味わえない感覚だよね。
──
照れずに、
こちらから先に「爆発」しちゃえば、
言葉とか関係なく、こたえてくれる。
セイジ
そうだね。
──
ライブって「最高」ですね。
セイジ
コロナが落ち着いたら、ぜひ来てよ。
──
はい、必ず行きます。
お話、とってもおもしろかったです。
セイジ
ああ、ほんと? 
奥野くんも納豆食べて気をつけてね。
──
はい、ありがとうございます(笑)。
たしか「1日2個食い」が、
セイジさんのオススメなんですよね。
セイジ
俺、海外でのツアーが続くときに
どうすれば身体の調子を
絶好調にしておけるかということを、
常に考えているんだけど。
──
ええ。
セイジ
以前に、発酵学者の小泉武夫氏の
ご著書を読んで、
「これだ!」と思って、それ以来。
世界をまわるときには、
かならず乾燥納豆を持ってってるし。
──
じゃ、セイジさんは大丈夫ですね!
セイジ
絶好調です!

2020年4月23日 東京都世田谷区←ZOOM→東京都のどこか 2020年4月23日 東京都世田谷区←ZOOM→東京都のどこか

(明日はイラストレーターの大伴亮介さんの登場です)

2020-05-07-THU

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