こんにちは、ほぼ日の奥野です。
以前、インタビューさせていただいた人で、
その後ぜんぜん会っていない人に、
こんな時期だけど、
むしろZOOM等なら会えると思いました。
そこで「今、考えていること」みたいな
ゆるいテーマをいちおう決めて、
どこへ行ってもいいようなおしゃべりを
毎日、誰かと、しています。
そのうち「はじめまして」の人も
混じってきたらいいなーとも思ってます。
5月いっぱいくらいまで、続けてみますね。
- ──
- そこは「シャバ」ですか。
- パンダ
- 当たり前じゃないですか!(笑)
逮捕されてません。自宅です。
- ──
- 自宅風のバーチャル背景ではないと。
失礼しました。 - どうです、最近。パンダさん的には。
- パンダ
- 実は映画を撮ろうと思っていて‥‥。
- ──
- えっ、映画?
- ドローンでダンスグループのPVを
撮ってらしたのは知っていましたが、
映画?
- パンダ
- はい。ドローンがテーマの映画です。
ドローンを操縦する女の子のお話。
- ──
- すごいじゃないですか。映画監督!
- パンダ
- 舞台は、瀬戸内海にある白石島です。
- 主人公の女の子のお父さん‥‥が、
漁師なんですけど、
そのお父さんが、ひょんなことから、
ドローンを持ち帰ってくる。
そこから物語がはじまるんですけど。
- ──
- 立派なドローン、お持ちですもんね。
- パンダ
- 去年からずーっと準備をしてまして、
尺は30分くらい、
ミニシアターで上映するなら、
ザックリいって、
予算100万円から130万円で、
何とか撮れるかなというところまで、
ソロバンをはじいておりまして。
- ──
- 映画監督兼プロデューサー!
- パンダ
- さあ、今年から撮りはじめるぞーと、
張り切っていたんですが。
- ──
- ええ、ええ。‥‥えっ、まさか。
- パンダ
- はい。
- ──
- コロナで?
- パンダ
- 中止になっちゃいました。
- ──
- そうですか‥‥それは残念すぎます。
- パンダさん初の、
監督兼プロデュース作品だったのに。
脚本とか、どうしてたんですか。
- パンダ
- ぼくです。撮影も、もちろん、ぼく。
- ──
- 監督・脚本・撮影・プロデュース作。
- パンダ
- はい。
- ──
- いやあ、それは残念だったなあ‥‥。
- ぼくたちもいくつか経験しましたが、
準備していた企画がダメになるの、
かなりのダメージがありますものね。
- パンダ
- そうなんですよ。身体に来ますね。
- ──
- でも、パンダさん、映像の方面にも
チャレンジしてるんですね。
いまはもう、音楽だけじゃなくって。
- パンダ
- そうですね、おととしくらいから、
ハンディーカムで
撮りはじめたレベルの映像仕事が、
いろいろ転がり出していて。
- ──
- その先に「映画監督」があったんだ。
- パンダ
- この外出自粛の期間も、
映像の仕事で、なんとかやってます。
- ──
- ああ、やることがあるということで、
少しは気も紛れますか。
- パンダ
- そうですね。というか、もはや、
音楽より映像のほうが楽しいくらい。
- ──
- あ、そうですか。
- パンダ
- ええ。なんだか。
- ──
- 音楽家、作曲家のお仕事というのは、
さまざまなスタイルが
あると思うんですけど、
大まかには、自分でつくった音楽を
オーディションに出したりとか?
- パンダ
- そうですね。
- ちょっと込み入った話になりますが、
ぼくは、もともと音楽が好きで、
ミュージシャンになりたいと思って、
生きてきたんですよ。
- ──
- そうですよね。知ってますよ。
フリッパーズ・ギターが、大好きで。
- パンダ
- 若いころ、メジャーデビューの前も、
バンドをやっていて、
それがうまく行きそうだったりとか、
やっぱりダメだったりとか、
いろいろなことがあったんですけど。
- ──
- バンド時代もあったんですか。
- パンダ
- 結局は「パンダ 1/2」という名義で、
音楽プロデューサーになって。 - 音楽で成功するんだという「夢」を、
追いかけてきたんです。
18から32くらいまで、ずーっと。
- ──
- はい。
- パンダ
- その間、スリランカで逮捕されたり、
いろいろあったりしつつ‥‥。
- ──
- その件については
わりと詳しく知ってます(笑)。
- パンダ
- 釈放されて日本に帰ってきたあとも、
音楽プロデューサーとして、
楽曲提供を、再開していたんですね。
- ──
- ええ。
- パンダ
- でも、何か、その‥‥あるときから、
ぼくの弱さだと思うんですけど。 - こういう音楽が売れるから、
こういう音楽が求められているから、
こういう曲を
つくってもらっていいですか‥‥
みたいな業界へ、
自ら入っていってしまったんですよ。
- ──
- 商業音楽の世界へ、という意味?
- パンダ
- そう。で、思えば、そのころから、
「ほんとに
ここを目指していたんだっけ?」
といった疑問も膨らんできて。 - 心のどこかに
「これでいいのかな」なんて思う
自分もいたんです。
- ──
- そうなんですか。
- パンダ
- よくある話だとは思うんですけど。
- ──
- とつぜん深い話になりました。
- パンダ
- ハハハ。
- ──
- 会って話したいような内容ですね。
- パンダ
- すいません。
画面越しに重めの話をして(笑)。
- ──
- つまり「音楽」が、いつの間にか、
「自分発」じゃなくなっていた。
- パンダ
- そうなんです。
- もちろん、そうやってつくる曲にも、
自分のメロディーや
自分のテイストは入るんですが、
その前の段階で、えらい人から、
たとえばですが、
WANDSみたいな曲でとか、
DEENみたいな曲でとか、
宇多田ヒカルさんみたいな曲で‥‥
という注文が、わりとあるわけです。
- ──
- ああ‥‥。
- パンダ
- メロディーはぼくのものなんだけど、
アレンジもぼくがやってるけど、
ぼくの中から生まれた音楽なのかと
問われれば、
ちょっとちがうんじゃないか。
- ──
- ええ。
- パンダ
- そういうものが、できあがる。
- それこそ「商業音楽」というもので、
当たり前のように
この世の中に存在するわけですが、
ぼくは、その「商業音楽」を、
自分の中で、納得させられなかった。
- ──
- 葛藤があったんですね。パンダさん。
- パンダ
- その一方で、
大空高く自由にドローンを飛ばして、
気持ちいい映像を撮って、
それを編集することに、
自分が昔、音楽に感じていた衝動を、
感じるようになっていました。 - そのことに、3年くらい前からかな、
気づきはじめたんです。
- ──
- じゃあ、もしかしたら、
自宅にこもって映像をつくっている
いまのこの時期が、
ターニングポイントになるかも、と。
- パンダ
- そうかもしれない。
- ──
- いま、手掛けてらっしゃる映像を、
もしよろしければ、
少しだけ、教えていただけますか。
- パンダ
- はい。
一匹のねずみさんの物語なんです。
- ──
- へえ、ねずみ。
- パンダ
- はい、ねずみのシーモア、という
キャラクターを映像化していて。
- ──
- ええーーーーっと、あれっ?
- ぼく「ねずみのシーモア」って、
名前を知ってるんですけど、
すいません、
何か有名なお話なんでしたっけ。
- パンダ
- ええ、作画のご担当が、
フクダさんという有名な方です。 - まだ、ぼく自身は、
お会いしたことないんですけど。
- ──
- フクダさん。フクダ何さん?
- パンダ
- イラストレーターの福田利之さん、
とおっしゃる‥‥。
- ──
- その福田さんかぁ!
- パンダ
- あ、お知り合いですか?
- ──
- ええ、めちゃくちゃ知ってますよ。
- ぼくもそうですけど、
うちの会社全体と仲のいい人です。
- パンダ
- ほんとですか。奇遇ですね!
- ──
- だから名前を知っていたんだ~。
- そうそう、知ってます知ってます。
以前、ほぼ日で、
人形劇とかも、やってたはずです。
- パンダ
- わあ、そうですか。
- ぼくの友人の山田はるかさんって
人形操演の方が、
福田さんとはじめたのが、
「ねずみのシーモア」だそうです。
- ──
- 絵本にもなってますよね。
- パンダ
- いま、つくっているムービーは、
シーモアが、
世界を旅するというシリーズ物で、
今回は「パリ編」です。 - 山田さんが、
いま家から出られないお子さんに、
観てほしいと言って。
- ──
- で、そのムービーを撮って、
編集なさっているのがパンダさん。
- パンダ
- そうです、そうです。
- ──
- パンダがネズミを撮ってる(笑)。
- パンダ
- そうそう。ハハハハハ。
- ──
- ちなみに、福田さんは
親しい人たちから親しみを込めて、
カッパと呼ばれていて。
- パンダ
- えっ、そうなんですか。
- ──
- パンダが、カッパのネズミを‥‥。
人間がひとりも出てこない(笑)。
- パンダ
- なんてことを言うんですか(笑)。
- ──
- でも、ありがとうございます。
思いがけない、うれしいニュース。 - いつ、リリースされるんですか。
- パンダ
- そろそろ、です。
GOOD LUCK SEEMORE Vol.1 (in PARIS) - グッドラック・シーモア ①(パリ編)
(明日はギャラリーTOMの山本ゆきみさんの登場です)
2020-05-12-TUE