こんにちは、ほぼ日の奥野です。
以前、インタビューさせていただいた人で、
その後ぜんぜん会っていない人に、
こんな時期だけど、
むしろZOOM等なら会えると思いました。
そこで「今、考えていること」みたいな
ゆるいテーマをいちおう決めて、
どこへ行ってもいいようなおしゃべりを
毎日、誰かと、しています。
そのうち「はじめまして」の人も
混じってきたらいいなーとも思ってます。
5月いっぱいくらいまで、続けてみますね。
- ──
- 20年はいかないと思いますが、
17年、18年ぶりくらいでしょうか。
- 窪川
- ほんとですね。
いや、ごぶさたしています(笑)。
- ──
- 世の中がコロナでこうなってから、
窪川さんが
インスタグラムで発信されている
「#インテリアのチカラ」
という投稿を、
いいなあと思って拝見してました。
- 窪川
- みんなが、これだけ
家にいなきゃいけない状況なので、
インテリアの専門家として、
できることをやろうと思いまして。
- ──
- ええ、ええ。
- 窪川
- でも、そのときに、
ハイ、少しでも「おうち時間」を
充実させましょう、
この素敵なチェアはウン万円です、
みたいなのは、ちがうかなと。 - みんなの家にありそうな、
お金のかからないものを利用して、
技術的にも、
リメイクするくらいの気がるさで
できることばかりなんですが。
- ──
- いやあ、着なくなったTシャツを
パネルにするアイディアとか、
簡単そうだし、
自分でもやってみたくなりました。
- 窪川
- ああ、ぜひぜひ。
- ──
- もともと気に入って買って、
着倒して、襟ぐりが伸びちゃった
Tシャツなわけだから、
部屋の壁に飾れたら、
けっこう、うれしいと思うんです。
- 窪川
- うん、気に入ってたTシャツって、
なかなか捨てれず、
箪笥の奥に眠ってたりしますしね。
- ──
- 窪川さんご自身は、
ご自宅にいる時間が長くなって、
どうやって、
気分転換をされてるんですか。
- 窪川
- ぼくはもう、こういう仕事なんで、
ほぼ毎日模様替えしてますが、
ま、そんな人はまれだと思います。
- ──
- たしかに(笑)。
- 窪川
- まあ、知り合いの女の人なんかは、
テレワークでも、
ちょっとでもメイクしたりすると、
テンション変わるねみたいに
言ってますけど、
あるていど、外に出れるくらいの
きちんとした服に着替えることは、
大事だと思います。
- ──
- 部屋着だと、
ダラダラしちゃいますもんね‥‥。
- 窪川
- 襟付きのシャツを着るくらいでも。
- 香水の習慣のある人は、
家の中で、つけてもいいですよね。
- ──
- 自分たちの暮らす空間を
少しでも居心地よくすることって、
こうなってはじめて、
すごく重要なことなんだなあって、
わかったんです。 - まめに掃除をするようになったし。
- 窪川
- あ、そうですか。いいですね(笑)。
- ──
- 窪川さんはスペシャリストとして、
インテリアの大事さって、
どんなところにあると思いますか。
- 窪川
- 日々の生活のベースになる空間が
豊かで整っていることは、
何を着るか、何を食べるかと同様、
すごく重要なことだと思います。 - 居心地のいい空間で過ごせたら
単純に気持ちいいし、
自宅で仕事をするような場合には、
効率性にも関わってきますから。
- ──
- それは、実感してますね。
- 窪川
- 衣食住って言いますけど、
そのなかで、「インテリア」って、
なかなか「偏差値」があがらない。 - 洋服や食べ物については、
「好み」がハッキリ出てきますし、
スタイリストとか、
食の評論家になれそうなくらい、
詳しい人っていると思うんです。
- ──
- 一般の人の中にも。ええ。
- 窪川
- でもその点、住、インテリアって、
洋服が大好きで、
美味しいお店も知っている人でも、
さほど気にしていなかったり。
- ──
- まず、自分の好みがわからないし、
自分でなんとかできる範囲も、
あんまりなさそうって、
思ってしまうのかも知れないです。 - 自分自身が、そうなんで。
- 窪川
- じつは、そんなことないんですよ。
- 時間やお金をかけなくても、
居心地のいい空間をつくることは、
できるんです。
- ──
- ええ、そうするためのヒントを、
窪川さんは
SNSで発信してるんですものね。 - もし、そのへんのコツがあったら、
おうかがいできますか。
- 窪川
- たとえば、ご自宅の「床」って、
もう「飽和状態」じゃないですか?
- ──
- はい、そのとおりです。
素敵な家具を置く余裕はないです。
- 窪川
- なので、狭いし、これ以上、
何ともしようがないなと思っても、
まわりを見渡してみたら。
- ──
- ええ。
- 窪川
- 前後左右に「壁」がありますよね。
- で、床よりも面積の広い「壁」が、
スコーンと抜けちゃってるはず。
- ──
- ああ、そうです。
ほとんど、壁にはなにもないかも。 - おしゃれそうかな‥‥とか思って、
いつだったか、
気まぐれに買ったポスターとかが、
貼ってあったりするだけで。
- 窪川
- とすれば、
たとえ床がギッシリ飽和状態でも
「壁」で、
インテリアを楽しめばいいんです。 - いまは、かんたんに
貼って剥がせるような壁紙なども、
売ってたりしますし。
- ──
- ああ、なるほど。
柄とか色を変えちゃうのもアリか。
- 窪川
- 石膏ボード用のピンなどを使えば、
それなりの重さがあるものでも、
掛けられますし、
収納をプラスすることもできます。
- ──
- ええ、ええ。
- 窪川
- そもそもの話、日本の住宅って
「障子」と「襖」で、
部屋を仕切ってきたんですよね。 - そのせいで「床の間」以外には、
壁を装飾する文化が、
あんまりなかったと思うんです。
- ──
- そうだ、実家のようすを思えば。
- 壁はスッカラカンかもしれない。
カレンダーくらいで。
- 窪川
- だから、ポストカードでも、
雑誌の切り抜きでもいいんです。 - ちょっとしたものでも、
けっこう気分は、変わりますよ。
大切なのは、
気に入っているものを飾ること。
- ──
- なるほどー。
- 窪川
- とにかく、部屋の「重心」が
床から1メートルくらいのところに
集中していることが多いです。 - で、そこから上には、何にもない。
- ──
- ああ、大人の目線の高さに、
目に入ってくるものがないんですね。
- 窪川
- だから、すこし「高さ」を意識して、
スタンドライトとか、
背の高い観葉植物を置いてみたり、
1メートル20センチで
終わってしまいがちな空間に、
なんらかのアクセントを足してみる。
- ──
- 目線から上あたりを意識して。
- 窪川
- もちろんアートでもいいけど、
そうじゃなくても、ぜんぜん大丈夫。 - 絵や写真や家具やインテリア雑貨を
わざわざ買わなくたって、
自分が好きで持っているアイテムを、
飾ってあげればいいと思います。
- ──
- たとえば‥‥。
- 窪川
- 最近は、あんまりいないんですけど、
昔、奥野さんと一緒に
ファッション誌のインテリア特集を
つくっていたときとか、
壁一面スニーカーを飾ってた子とか、
いたじゃないですか。
- ──
- いました。いましたねえ。
自分の「好き!」が爆発してる部屋。
- 窪川
- たとえば、ああいうことですよね。
- おもちゃでも、服でも、帽子でも、
フィギュアでも、
好きだと思う何かを飾ってあげる。
- ──
- ええ、ええ。
- 窪川
- もしも、それらが
これまで、床を占領していたのなら、
壁の棚に並べてやるだけで、
飽和状態の床をサッパリさせつつ、
スッカラカンだった壁は、
自分の好きなもので一杯になります。
- ──
- 絵だとか写真だとか、
無理して「背伸び」しなくっても、
自分の好きなものなら、
無理なく飾ることができますよね。
- 窪川
- そう、好きかどうかもわからない
ポスターを貼るくらいなら、
自分の好きなものを、
思いっきり並べちゃうほうがいい。 - そのほうが、ぜったい、
その人らしい空間になりますから。
- ──
- その人らしい‥‥っていうことが、
きっと重要なんでしょうね。
- 窪川
- そうだと思います。
- 本好きの人の図書館みたいな部屋、
みたいなほうが、
借りものふうのオシャレ部屋より、
よっぽど魅力的ですよ。
- ──
- ああ、なるほど。
- 窪川
- 好きなものに囲まれた部屋のほうが、
だんぜん居心地いいですしね。
- ──
- いまのステイホームの時間のなかで、
趣味で集めているものを、
インテリアとして見直してみるのも、
いいかもしれませんね。 - ついでに部屋もスッキリしそうだし。
- 窪川
- はい。なにより楽しいと思いますよ。
(つづきます)
2020-05-27-WED