2024年、ほぼ日の「老いと死」特集
満を持してスタートしました。
そのかたすみで、
ひっそりと生まれた企画がひとつ。
「正直、老いや死のことを、
まだあまりイメージできない」という
2、30代の乗組員が、ざっくばらんに話し合う
「老いと死の歌座談会」です。
おそらく私たちの手に負えるテーマではないけれど、
いま考えていることを、気張らずに話してみます。

‥‥タイトルの「歌う」が気になっている方も
いらっしゃるかもしれません。
よくぞ気づいてくださりました。
そうなんです、座談会の最後は、
毎回のおしゃべりから誕生した歌を
みんなで歌います。
どんな歌が生まれるのか、少しだけ、ご期待ください。
担当は、ほぼ日の20代、松本です。

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第4回〈その4〉知らないたのしいことを。

菅野
防御といえば、
老いに対する防御もありますね。
松本
ああー、たしかに。
みなさん、最近老いを感じたことはありますか。
佐藤
運動ができなくなりました。
え、そうなの? 
まだまだ体力がありそうだけど。
佐藤
息を切らさずに走れる距離が短くなってしまって。
松本
いやいや!(笑)
走っているだけで、かなりすごいですよ。
佐藤
弟がふたりいるんですが、どちらもよく走るんです。
昔は私も一緒に走っていて、一番速かったのに、
もう全然追いつけなくて。

全員
ああーー。
佐藤
弟たちの成長と、自分の体力低下とのダブルで、
老いを感じました。
高澤
私は、さきほども話に出た、
訃報でお名前が上がる著名人が、
どんどん自分の知っている人になってきたときに
老いを感じたかな。
佐藤
うわー、わかる。
高澤
自分の知っている人が亡くなっていくということは、
自分も老いに近づいているんだなと。
加藤
私は、疲れが取れなくなってきました。
小学生のときは、朝起きたらもう、
昨日の分の疲れは全部リセットされていたんですよ。
毎朝「よっしゃー、きょうも遊ぶぞー」
みたいな感じで飛び起きられたんです。
なのに、いまは起きた瞬間に、すでに疲れを感じる。

全員
(笑)
加藤
そのことに老いを感じます。
みんなは、そういうことはないですか? 
佐藤
あります、あります。
いままでは、何もしなくても回復できたのに、
自分に対して何かしてあげないと
回復できなくなってきました。
わかるかも。
佐藤
たのしいことや気が安まることを、
自分に自分が与えてあげないと回復ができない、
と感じるようになりました。
松本
自分ではなくて、
親の老いについての話なのですが‥‥。
私の親が、例えば「どこかに遊びに行こう」
という計画をみんなで立てても、
「やっぱり面倒だから私は行かない」
と言うことが増えたんです。
私も面倒くさがりなので、
その気持ちはよくわかります。
でも、全部のたのしみに対して、
そうやって諦めていくのはよくないと思ったんです。
うん、うん。
松本
いま親は50代で、人生100年時代だとしたら、
これから人生がもう一回あると
言ってもいいくらいですよね。
そのなかに、まだまだ知らないたのしいことが
たくさんあるはずなのに、
何度も「やっぱり行かない」と言われてしまって、
「そんなふうにしてたら、
楽しいことなくなっちゃうよー!」
と、キレてしまったことがあります。
菅野
キレたの!?(笑)
松本
最近は、親とケンカすることは
あまりなかったのですが、そのときは‥‥(笑)。
「それじゃダメだと私は思っているんだよ。
もっとお母さんに人生をたのしんでほしいんだよ」
と、必死に伝えてしまいました。
もちろん、もともとの性格もあるとは思いますが、
年を取っても、
いろいろなことを諦めないでほしいという気持ちが、
親に対しても自分自身に対しても、あります。

(4曲目〈その5〉に続きます)

2024-11-11-MON

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