2023年春の「ほぼ日の大開拓採用」。
今回の採用について、背景にある思いまで
くわしくお伝えできたらと、
ふだんからほぼ日という会社について
経営の立場で考えてきている
「糸井重里」「あやや」「もとお」の3人に、
ほぼ日のいまとこれからについて
話をしてもらいました。
会社全体についての話が多いですが、
こんなふうに、一緒に未来を作っていける
新しい仲間と出会えたらと
わたしたちは本気で考えています。
応募の参考にしていただけたら幸いです。
- ──
- 前に、今回の採用で来てほしい人の
イメージについて話をしていたとき、
糸井さんが「知的なアスリート」という
話をされていたと思うんです。
そこについても教えていただけますでしょうか。
- 糸井
- 本当に理想の教育って、例えば仙台なら、
仙台の駅の前に子どもを置いてきて、
「家まで帰ってきなさい」みたいな、
そういうことだと思うんです。
これ、安全はどうかとか、お金はいくら渡すかとか、
知らないおじさんに話しかけられたらどうするかとか、
実際やるとなると問題がいっぱいあるんだけど(笑)。 - それはともかく、理想は
「どこかから帰ってこれる力」だったり、
「大変なことが起きてもなんとかできる能力」とか、
「環境が変わっても泳ぎきる力」とか。 - ぼくが言っている「知的アスリート」って、
そういう力を持った人のことなんです。
それさえあれば、個別の能力はあとでも磨けるんで。 - 身近なところで言えば、たとえばお客さんから
なにか正解のないことを言われたときに、
自分の頭で「こういうことだな」と判断して、
「だったらこれがありますよ」とか言えること。 - 生きるって、ある意味ではみんな
「置き去り」なんですね。
置かれた状況のなか、
自分でなんとかやっていくしかない。 - でも、いまはありとあらゆる場所で、
なにか答えのないことが起きたときに、
「上の者に聞く」というのが普通になっているわけです。
そんなことまで、というくらいのレベルで。 - だけど、うちの子たちはわりと
「自分でなんとかする」という価値観を
身につけていると思うんです。
だんだんできるようになっていくのか、
もとからできている子が入るのかは
わからないですけど。 - たとえば「映像のことをもっとやろう!」となったら、
別に経験がなくても、それぞれが
工夫をしながら得意になっていったり、
得意な人を呼んで来たりするんですよね。 - ほぼ日の活動も、基本的には
「やったことないことをやろう」だらけだし、
そういう「自分でなんとかしようとする」
人たちが多いのは、
すごくぼくらのいいところだと思ってます。
- あやや
- そういう「それぞれが自分でなんとかする」っていう
日々の鍛錬の結果が、いちばん現れる場面が
わたしは「生活のたのしみ展」の現場かなと思っていて。 - 乗組員全員で、アルバイトさんたちの力を借りながら
毎回一から作り上げているイベントですけど、
そのときはみんな、普段の仕事とは関係なしに、
役割を割り振られるんですね。
だけどみんなちゃんと、自分の判断で
現場のいろんなことに対応してますから。
- 糸井
- 「生活のたのしみ展」は典型的ですね。
- あのイベントを、外部のイベント会社と組まずに
「内製でやってます」と外の人に言うと、
よくびっくりされるんです。
「普段から担当の部署があるんですか?」
とか聞かれるけど、
「ないです」って。
- あやや
- ときどき企業の方とかが見学にいらっしゃって、
「どのくらいの人数、予算、納期でやれば、
このイベントはできるんでしょう?」
みたいなことを聞かれることもありますけど、
たぶん、そういうことでもないというか。 - みんなの日頃からの蓄積とか、
「ほぼ日」独自の文化風土に根づいたものなので。 - 「生活のたのしみ展」は、
セクショナリズムの考えだと成立しないんですよ。
いつ何が起こるかわからないから、そこで
「ここは自分の範疇じゃないから判断できません」
だと困るんです。 - あらゆる仕事が転がってるから、
誰もがその場で臨機応変に考えたり、
工夫したりして、なんとかする。
限界を決めずに、高い当事者意識で
不測の事態をたのしむというか。
- もとお
- そうですね(笑)。
- あやや
- 実際にはほぼ日の仕事って
そういうものだらけなので、
ハプニングも含めておもしろがるような人のほうが
向いているかもしれません。 - 逆に、この会社に向いてない人がいるとしたら、
「そんなこともルールで決まってないんですか?」
って考える人。 - 決まった前提のなかで動いていきたい人だと、
あまりにも決まってないことが多すぎて、
働きながらストレスが多いかもしれないです。
- 糸井
- もともとぼくらは手帳が素人ですからね。
素人で、何もわからないところから
「こういうものがあったらほしい」と
つくっていったのが、ほぼ日手帳ですから。 - ほぼ日は素人だらけだから
「え、そこの球とっちゃいけなかったの?」
みたいなことも平気でやっちゃってて、
逆にそういう発想から新しいものが
生まれたりしていることも多くて。
- あやや
- ほぼ日がこれまで出してきた
さまざまなコンテンツのことを思うと、
「素人だったからスタートできた」という場面は、
本当にたくさんあると思うんですよ。 - なにか新しいことをやろうとするとき、
プロと言われる人たちに話を聞くと
「ものすごく大変だからやめたほうがいい」
とか、怖い話ばかりされるんです。 - どのプロジェクトでも、
そういうことを聞きすぎていたら
何もできなくなっていたかもしれないです。 - そういう意味で、
「これ、できないかもしれない」
「これ、わたしたちノウハウないな」とかを
何かを辞める理由にしないのも、
わたしたちの特徴のひとつだとは思いますね。
(つづきます)
2023-02-28-TUE
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写真|池ノ谷侑花(ゆかい)