こんにちは。
「ほぼ日の大開拓採用」に応募し、
今年1月に入社した新人乗組員の「サノ」です。
1年前、大開拓採用の応募ページを見たとき、
「呼ばれてる‥‥かもしれない」と
じぶんは思いました。
それは、「スキルや経験」がどうこうという話以上に、
「ほぼ日がこれから向かっていきたい未来」や、
「ほぼ日が大切にしていきたいと思っていること」に、
じぶんの「こういうふうに生きていきたい」が
重なったからだったと思います。
このコンテンツが、
「ほぼ日のいわゆる管理部門」ではたらくということと、
この募集に興味を持ってくださっているみなさんそれぞれの
「こういうふうに生きていきたい」とを
じっくり照らし合わせることができる時間にできたら、
と想像しながら、
管理部門を担当する取締役CFOの「もとお」、
代表取締役社長CEO兼CCO「糸井重里」、
それぞれに話を聞いてきました。
ぜひ、応募の参考にしていただけたら幸いです。
- サノ
- 「今回の募集で出会いたい人」って、
糸井さんからするとどういう方なんでしょうか。
- 糸井
- 社内を見てても本当にいろんな人がいるんで、
なんとも言えないんだけど‥‥(笑)、
でも、やっぱり、「思いやり」がある人がいいよね。
- サノ
- 「思いやり」。
- 糸井
- 人が「どういうことしたらうれしいかな」とか、
「こういうことしたらイヤだよな」っていうことを
思いやる想像力ですね。
その「人」の中には、「自分自身」も入るんですけどね。
それはもっと高度かもしれないけど。 - これを自然に頭の中に持ってる人か、というのは、
「できる」とか「できない」とか以上に大事ですね。
- サノ
- 糸井さんは社内でも、
「うちはルールは増やさない」
「じゃあ何を判断基準にして動くかというと、
『思いやり』である」
というお話を、常々されてますよね。
- 糸井
- うん。そればっかりっていうぐらいですよね。
- サノ
- はい。
でも、それこそさっきのもとおさんの、
ほぼ日の管理部門は
ルールを整備して仲間の行動範囲を決めるんじゃなくて、
毎回のプロジェクトごとに
「どうしたらみんなが生き生きと動けるか」
を考える仕事なんだというお話も、
まさに「思いやり」の話だったなと思います。
- 糸井
- あの、べつにルールをひとくくりに
「悪いもの」だと言っているわけではなくて、
「ルールが人を助けてくれる」ってこと自体は、
ものすごくあるんですよ。
例えば、縁起でもない話だけど、
サノくんが離婚をするとするじゃない。
- サノ
- えっ、はい。
- 糸井
- そのときに、
「サノが悪いことしたから別れる」って場合、
あなたがいっぱい慰謝料を払う人になるよね。 - で、サノくんが「お金がないから、月々の支払いにしたい」
って言ったとしても、
相手がまとめて一気に払ってほしいという場合には
「借金してでもまとめて払え」と言える。
これは、「ルール」ができてるお陰なんだよね。
2人いたときに「弱い側」に立ってるのがルールで、
ルールが「何かあったときに助けてくれる」ということは、
大いにあるんですよ。
- サノ
- はい。
- 糸井
- ただ、できることなら、
「何か」を起こさないのがいちばんいいわけで。
たとえば、
取引相手といざこざがあったとき、
いざとなったらルールが助けてくれるかもしれないけど、
いざこざが起きてしまった時点で
もう「それまで通りの関係」とはいかないじゃないですか。
そこの重みみたいなものっていうのは、
わかっていたほうがいいですよね。
「ルール」を持ち出さなくても大丈夫なように
物事を進められるチームでありたいし、
そのためにやっぱり「思いやり」が大切で。 - で、そういうときに必要な「思いやり」というのはきっと、
「ただやさしいだけのもの」とは違うんですよ。
ただ気楽な距離感でああだこうだ言ってるんじゃなくて、
本気で思うと、ここまで考えないとダメだよっていうのは、
じつはけっこう「思いやり」のおもしろいとこだし、
永遠にわかんないところでもあるんですよね。
- サノ
- 「思いやり」っていう言葉を、
「ふわっとしたやさしいもの」みたいに捉えてしまうと、
それは話が違うぞということになってくると。
- 糸井
- そう。
「私の彼はやさしいの」と言った、
その「やさしい彼」に浮気されたりするわけで。
「やさしい」だけだと、女性のほうも
「誰にでもやさしくするから他の子に会っちゃダメ」
と不安になったりして、
「やさしい」という概念のおかげで、
どんどん不幸ができていくじゃないですか。 - だけど、その彼から、
じぶんを不安にさせない何かが感じられたら
「やさしくて」「信じられる」になるじゃないですか。
- サノ
- ああー‥‥そうですね。
- 糸井
- 「信じられる」というのは、口じゃなくて、
やってきたことの積み重ねなんですけど、
それさえあったら、
「やさしい彼」との関係はぜんぜん変わりますよね。 - そういう、「信じられる」がない状態の、
「やさしいだけ」のようなものが
ぼくらの「思いやり」みたいになっちゃったら、
それはきっと、みっともないとこに行きますよね。
- サノ
- 10年くらい前にほぼ日が
「経理と人事総務」というポジションの募集をしたときに、
糸井さんが
「ほぼ日の管理部門は、もうひとつのクリエイティブなんだ」
とおっしゃられていて。 - 「管理部門のクリエイティブ」というのも、
やっぱり「思いやり」が大きく関わってくるのでしょうか。
- 糸井
- 「クリエイティブ」という言葉を分解していくと、
「思いやり」になるんですよ。 - クリエイティブっていうのは、大きく言えば、
「してほしいことをしてあげたいし、
してほしくないことをしないようにしてあげたい」
っていうことなんで。 - 「あなたは何が欲しいですか?」
「あなたは何に退屈してますか?」
「あなたは何をおもしろいと思ってますか?」
「あなたはどこに行きたいですか?」
そういう、相手が思ってることを、
してあげたいなとか、手伝ってみたいなとか、
「こういうことはイヤだ」と思っていることを
やらせないようにしたいな、というようなこと。
全部そうした関係の中で生まれていくわけです。 - それを文章で書いたり詩で書いたりする場合もあるし、
書類を作って、
不自由なく動けるようにしてあげたいと思う人もいるし、
土台を作る人、飛び道具を作る人、いろいろだけど、
そこは全部、根底的には同じで。 - その意味で、ほぼ日の管理部門がやっていくことは、
やっぱり「クリエイティブ」なんだ、ということですね。
(つづきます)
2024-07-01-MON