小倉知巳シェフの
6年連続一つ星レストラン「Regalo(レガーロ)」が、
「生活のたのしみ展」に初登場します。
小倉シェフが実際にレストランで使用している
食材や調理道具、ほぼ日と一緒につくった
エプロンや鍋つかみなどが
「生活のたのしみ展」に並びます。
小倉シェフは、レストランで厨房に立つかたわら、
YouTubeチャンネル
「小倉知巳のイタリアンプロ養成講座」を開設。
基本のパスタからレストランのメニューまで、
「なぜそうするのか」明快に示して実演するため、
「つくってみたい」と思わせる説得力があります。

>小倉知巳さん プロフィール

小倉知巳 プロフィール画像

小倉知巳(おぐらともみ)

2017年から6年連続で
ミシュラン一つ星を獲得している、
炭火焼きとパスタがおすすめの
東京・参宮橋のイタリアン
「Regalo」(レガーロ)のオーナーシェフ。
都内イタリアンの名店で勤務、
イタリアでの研修などを経て、
2008年に「Regalo」をオープン。
2021年に開設したYouTubeチャンネル
「小倉知巳のイタリアンプロ養成講座」は
15万人超の登録者数と、人気を集めている。

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第1回 「簡単ですよ」は簡単ではない。

ほぼ日
今日は最後に、小倉シェフが
スペシャルメニューを
教えてくださることになっています。
小倉
はい。
ふだんのYouTubeでやるのとは、
ちょっと違うメニューを考えてきました。
ほぼ日
少しだけ「ネタばらし」すると、
柿の種を使ったパスタのメニューなんです。
最終回(第3回)にお伝えするので、
みなさま、たのしみになさっていてください。
小倉シェフは、どんなきっかけで
イタリアンの道に入られたのでしょうか。
小倉
幼い頃から、母親の手伝いを兼ねて
わりと料理をするタイプの子どもでした。
食べることが大好きだったので、
高校・大学とずっと飲食店で
アルバイトをしていました。
大学生の頃、たまたまテレビで
TBSの『情熱大陸』を見ました。
山田宏巳さん、1週空けて、落合務さんという、
イタリアンのレジェンドみたいな人たちが
次々に現れて。
当時、渋谷の109の9階にあった、
スパゲティ屋さんでアルバイトしていたのですが、
もう思いきって、飲食業界に入ろうと決意しました。
ほぼ日
イタリアンシェフのドキュメンタリーを見て、
スパゲティ屋さんにいた大学生が。
小倉
そうそう、たまたま重なって
イタリアンの道に進みました。
ほぼ日
そこからミシュランで
一つ星を取られるようになり、
さらにたいへんな登録者数の
YouTube活動もなさっています。
なぜシェフはYouTubeを
はじめられたのでしょうか。
小倉
じつは、シェフになってから、
料理教室をやっていたんですよ。
1~2年くらいだったかな。
ほぼ日
そうなんですね。
小倉
ただ、続けるうちに、
準備のほうに時間がとられるようになって、
本業がおそろかになってしまいました。
だからやめざるを得なかったんですが、
料理を誰かに教えることはすごく好きでした。
その後、新型コロナの活動自粛時期に、
急に時間ができたので、
「教えるのが好きだった」ということを思い出し、
なんとなくiPhoneで撮った動画を
YouTubeにあげてみたりして。
それがはじまりです。
ほぼ日
YouTubeチャンネルのタイトルは
「小倉知巳のイタリアンプロ養成講座」で、
プロレベルの内容を惜しげもなく
披露されています。
しかし、見ているのは、
プロを目指す方ばかりではなく、
きっとふつうの方々が多いですよね。
私自身がまさにそうですが。
小倉
YouTubeにはいろんな料理動画がありますが、
料理の動画って、けっこう
「行間」を読む作業になってしまうんです。
画面のなかで「簡単ですよ」と言ってても、
やっぱり簡単じゃなくて。
ほぼ日
ああ、わかります。
小倉
「このシェフが作ればおいしいんだろうけど、
実際に真似してもうまくいかないだろうな」
ということのほうが多いと思います。
料理動画にはたいてい、
見えないコツがじつはある、という現実が、
なんとなく気持ち悪かったんです。
だったら自分は、
おいしくつくれる動画をやってみたい。
1回目からおいしくできるかどうか
分からないけれど、
慣れればちゃんと上手くなるようなもの。
ところどころ単語が難しかったり、
「何言っているか分からない」
と言われるのはもう良しとして、
プロ目線で徹底的に伝えよう、と決めちゃいました。

ほぼ日
シェフはできるかぎり
言語化しようとなさってるんだろうな、
という印象がいつもありました。
小倉
昔のことですが、
師匠に「パスタ入れておいて」って、
厨房でよく言われていました。
そんなときはパスタをひとつかみ入れるんですが、
人によって手の大きさが違うんでね。
「パスタ少ないよ!」って
急に怒られたりして(笑)。
ああ、ひとつかみっていう表現は、
足りないんだなぁと思ってました。
そうすると、次からは自分で
量るようになりますよね。
ちょっと多めに入れてみたら
「多い」と言われるので、
「何gがちょうどいいんだな」とわかってくる。
毎回目分量もいいんですけれど、
量ったほうが、2回目以降、早いんで。
そうするとだんだん、
「数字ってシンプルなほうがいいよな」と
思ってくるようになるんです。
100gに対して12gが
ちょうどいいかもしれないけれど、
10gのほうが気持ちいい。
だったらいっそ10gにしよう。
経験を数値化して、それを適切にしていく。
ほぼ日
ああ、すごい。
小倉
そのうえで、また、
そうじゃない部分を考えるんです。
食材のコンディションの違いや、
季節の違いもあります。
あえて強いほうがおいしいとか、
ちょっと甘いほうがおいしいとか。
レシピを完成させること、
臨機応変に変化させること、
それ、どっちも重要なんです。
 
 

youtubeで検索してこのチャンネルを見つけました。
僕が最初に観た小倉知巳シェフの動画がこれでした。
トマトソースの作り方から
原理も含めて説明してくれます。
これとまったく同じ工程で作って、
家族から高評価をもらっています!
勝手にアレンジするとイマイチと言われることも。
(ほぼ日 西田)

(つづきます)

2023-04-25-TUE

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  • Regalo 小倉知巳
    一つ星イタリアンのミニマル食材道具店

    小倉シェフが実際にレストランで使用している
    食材や調理道具、ほぼ日と一緒につくった
    エプロンや鍋つかみなどが「生活のたのしみ展」に並びます。
    どうぞおたのしみに!

     

    生活のたのしみ展 2023
    2023年4月29日(土・祝)―5月5日(金・祝)
    11時~19時(最終日は18時まで)
    新宿住友ビル 三角広場(東京都新宿区西新宿2-6-1)
    都営大江戸線「都庁前」駅 直結/東京メトロ丸ノ内線「西新宿」駅 徒歩4分/JR線ほか「新宿」駅 徒歩8分

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