こんにちは、ほぼ日のです。
人生に、一体なんなんだろう、というような
不思議なことが起こったことはありますか?
私はあります。
2017年、北ヨーロッパの国・ラトビアで行われた
「お邪魔者(Saboteur)」という
ボードゲームの世界大会で2位になりました。
いつか世界一になるのが夢です
‥‥なにそれ、と思いますよね。
自分でも思います。
上の写真、隣にいるのは、このゲームの作者、
ベルギー人のフレデリック・モイヤーセンさんです。

個人的な話で恐縮ですが、
一人でも多くの人にこのゲームの楽しさを
知っていただきたく、よかったらお付き合いください
3年間、全力で遊んだ日々の記録です。

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第3回 まさかの優勝。

 
2017年9月8日、
夢の「ラトビア行き」が決まる日本大会の日、
そんな大事な日に私は寝坊してしまいます。
起き抜けのまま会場に駆け込み、ギリギリセーフ‥‥!
同僚たちから「遅いよ!」と怒られつつ、
「お邪魔者日本選手権2017」がはじまりました。

▲一人ずつ自己紹介をし、日本大会がはじまります。
この日はローカルテレビの放送も入っていました。 ▲一人ずつ自己紹介をし、日本大会がはじまります。 この日はローカルテレビの放送も入っていました。

 
ここで少し脱線します。
このゲームは、一度に複数の予選会場に
参加申し込みはできないけれど、
負けた時点でほかの予選会場に人数の空きがあれば
予選に再度出場してもいい、というルールがありました。
私が優勝した「人狼ハウス」での予選会に出ていた
しぐれさん、かぼちゃさん、コンノさんは、
それぞれ別の予選に出て、勝ち上がってきていました。

▲左から「ほぼ日」のひなとヒグ、
「人狼ハウス」で会ったかぼちゃさん、
前年の世界大会3位のコンノさん。
▲左から「ほぼ日」のひなとヒグ、 「人狼ハウス」で会ったかぼちゃさん、 前年の世界大会3位のコンノさん。

 
各地の予選を勝ち抜いて出られる
日本大会ですが、ここでもまた予選からはじまります。
まずは3ゲーム×4セットを行い、
30人中、上位6名が決勝に進出できます。
そして決勝で優勝、
つまり日本一になればラトビアに行けるのです。

▲予選は毎回テーブルを変え、3回行われる。
このように楽しそうな瞬間もあれば‥‥ ▲予選は毎回テーブルを変え、3回行われる。 このように楽しそうな瞬間もあれば‥‥

▲疑心暗鬼になる瞬間もあれば‥‥ ▲疑心暗鬼になる瞬間もあれば‥‥

▲だまされて、「ええー!」となる瞬間もある。
常にハラハラドキドキして、ものすごく楽しいのです。 ▲だまされて、「ええー!」となる瞬間もある。 常にハラハラドキドキして、ものすごく楽しいのです。

 
さて、日本大会の予選をトップで通過したのは
‥‥‥‥私でした。
ふだん私は決して強いとはいえず、
社内の練習会でも負けることのほうが多いです。
しかしなぜかこの日は、
異常なほど運がよく、どんどん勝ち進んでいきました。
「ほぼ日」のひぐとひなは、残念ながら決勝進出ならず。
「絶対勝ってね!」と思いを託されました。
そして座った決勝テーブル、
私以外は全員男性でした。
人狼ハウスで出会った
しぐれさんも決勝まで勝ち進んできていました。
いよいよ決勝‥‥!
この6人のうち1位になれば、
ラトビアに行ける! 
さて、日本大会がはじまる前に伝えられたルールの1つに、
決勝には「予選のポイント」を
持ち越すことができる、というものがありました。
つまり、予選1位で決勝に進んだ時点で、
私は少しだけ有利だったのです。
(2位の人と1ポイント差が付いていました)
でも、頭が混乱している私は、
そのことをよく理解していませんでした。
そして、決勝でも、第1ラウンドで
私はゴール(金を掘り当てる)ができたのです。
それもゴール直前に、クマさんという
「自己中ドワーフ役」を引いたプレイヤーが
とても見事な潜伏をしていたことが判明し、
場がわっと沸き、
そのどさくさでゴールできたという感じです。
そこから、優勝を狙うプレイヤーたちの間に、
「予選でもポイントを多くとっている私に
ポイントをこれ以上与えない」という空気が
できてしまいました。
決勝の第2ラウンドには、
「道具破壊カード」という、
私がプレイすることを阻むカードが
どさどさっと置かれたのです。
敵チームから置かれるのは普通にあることですが、
なんと味方チームからも置かれました。
ラトビアに行けるのは1人だけなので、
味方チームであっても、私に点を与えてはいけないのです。

▲ひどい状況に追い込まれた。 ▲ひどい状況に追い込まれた。

 
そのときの様子を、決勝で戦った
ぼうしさん」という九州のプレイヤーが
書き記してくださっていたので、
許可を得て、一部を転載します。
=============
※ぼうしさんの日記では、
私は「Fさん」と記されていますが、
わかりやすく「フジタ」と書き直しました。
(決勝 第2ラウンド)
ただ、波乱はここからであった。
プレーヤー全員の意向としては
フジタさんに勝たせないという共通認識があった。
ゴールを開けて3ポイント取られればほぼ終わり。
2ポイントでも正直苦しい。
とりあえずフジタさんの前に
道具破壊カードが2枚ほど置かれる。
誰もそれを回復しない。
金鉱堀りチームは協議に協議を重ね、
ゴールを開けようとするが‥‥
いかんせん主要な通路カードを持っていないのである。
このラウンドでも主要カードを手にしていたのは
実はフジタさんだったのである。
なんという強運!
フジタさんはその後も修理カードを自力で引き、
2枚とも自分で修復。
最後フィニッシュできるところまで自力でこぎつけた!
(恐ろしいとしか言いようがない)
===============
テクニックがどうこう、ということではなく、
ただ私が強運だった、
ということが書かれています。
実際、この日はいったいどうしてなのか、
私は運が良かったのです。
そして、結果発表のとき。
点数が低い順に名前が呼ばれていき、
残り1人となった、そのとき。
まわりの同僚の、
「え、まさかまさか」
「行ける、うそ、うそうそ、行けるーーーー!」
という声が先に聞こえてきました。
信じられないことに、
私が、ラトビアに行けることになったのです。

▲優勝が決まった瞬間。 ▲優勝が決まった瞬間。

▲丸田さんから『地球の歩き方』を受け取る。
「いやーーー、まさかまさかね」と言われる。 ▲丸田さんから『地球の歩き方』を受け取る。 「いやーーー、まさかまさかね」と言われる。

 
同僚たちと、
「誰かが優勝したらみんなでラトビアに観戦に行こう」
なんて言っていたのですが、
え、私が、行く‥‥?

▲ほんとに、私が、行ける?
主催のメビウスゲームズ社の奥様
「メビウスママ」さんから熱い抱擁。 ▲ほんとに、私が、行ける? 主催のメビウスゲームズ社の奥様 「メビウスママ」さんから熱い抱擁。

 
ラトビアでの世界大会は2017年11月、
2ヶ月後です。
そこに出場する権利を得たのです。私が。ほんとに?
 
ぼうっと、夢をみているような気持ちのまま、
私はふと思いました。
英語をまったく話せないのに、
どうやってゲーム中の
コミュニケーションをとるのだろう?

(つづきます)

2021-09-29-WED

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  • お邪魔者ってこんなゲームです。

    ドイツ生まれのボード(カード)ゲーム。
    「お邪魔者」と「お邪魔者2」がありますが、
    大会は通常の「お邪魔者」のほうを使います。
    3人以上でできますが、5~8人がベストな人数です。
    最初に引く役割カードによって、
    「金鉱掘り」チームと「お邪魔者」チームに別れます。
    どのチームになったかは自分だけがわかっています。
    各々の言動やカードの出し方を見つつ、
    味方が誰か、敵が誰か、を推理しながら、
    順番に1枚ずつカードを場に出していきます。
    「金鉱堀り」チームは「道」のカードをつないで
    金塊を掘り当てると得点が入ります。
    「お邪魔者」チームは「金鉱掘り」の動きを妨害し、
    金鉱を掘り当てる前に全員の手持ちのカードを
    尽きさせることができると
    得点が入ります。

    基本的な遊び方やルールは
    すごろくやさんのページをご覧ください。
    (動画付きでわかりやすいです)

    ★このほか、日本・世界大会用の特別ルールには、
    「自己中ドワーフ」という
    新しい役割も加わります。
    これによりゲームが一段と楽しくなるので、
    基本的な遊びかたがわかったら、
    ぜひ大会ルールでも遊んでみてください。
    「自己中ドワーフ」の役になった人は、
    「金鉱掘り」になりすまし、 自分のターンで
    金鉱を掘り当てると、 得点を独り占めできます。

    ※「自己中ドワーフ」の役割カードは、
    「お邪魔者」の商品には付いていないので、
    「赤い服を着た金鉱掘り」の役割カードを
    「自己中ドワーフ」にみなすといいですよ。
    (私たちもそうしています)
    2019年の世界大会のルールはこちら。

    協力:メビウスゲームズすごろくや